【コラム:カカオキタ1】 カカオを媒介にして踏み出した一歩
津留歴子(つる・あきこ)
ATJ カカオ事業担当
[box type=”shadow”]APLAニュースレター『ハリーナ』に連載中の人気コラム、「kakao kita(カカオキタ)」ではカカオ産地の様子や生産者の横顔をお伝えしています。バックナンバーを順次ご紹介します。因みに、「カカオキタ」とは、インドネシア語で「私たちのカカオ」という意味です。[/box]
これから、インドネシア領パプアで始まったカカオ事業について連載します。パプアは1969年インドネシアに併合され、その後米国の鉱山会社による銅と金の採掘を皮切りに森林伐採、パームヤシ農園、天然ガス開発などが進められています。近年はこの開発ブームに沸くパプアに仕事を求め流入する非パプア系人口が著しく増加し、都市部では先住民族を数で上回るようになりました。
太古より自然と共生しながら狩猟、採集、漁労、農耕を営んできたパプア人の伝統的社会はこの50~60年の間に急激なスピードで変容を余儀なくされています。「人が土足で家に踏み込んできて、我々の財産(天然資源)を奪っていく」。パプアで進行している開発は、先住民族の人びとにとっては理不尽な収奪以外の何ものでもないのです。
私は、このパプアに1995年から通いつづけ、1999年~2003年は州都ジャヤプラにあるNGOに居候しながら、パプアの人びととどっぷり付き合い、インドネシアの中でパプア社会が直面する弾圧や差別や周縁化といった問題も肌で感じました。このように書くと、パプアはいかにも暗い社会のように思うかもしれませんが、パプアに行った人はその美しく雄大な自然に圧倒され、やさしい人びとに胸を熱くします。「パプア人って世界中で一番いい人たちですよね」と何人かの人が言うのを聞いたことがあります。
そんなパプア人、少し前までは自分たちの置かれている状況を嘆くばかりでしたが、最近はそれにも飽きた様子。「嘆いても物事は一向によくならない。自分たちで変えなければならない」と。それは、少数民族の社会で慣習法を基準に生きてきた人が、より合理的な関係で築かれている社会と接触し伝統的な価値観が変容していくこと。その過程を「カカオ」というモノを媒介にすすめようとしています。その様子をリアルタイムで皆さんにも知っていただき、一緒に考えていただければと思います。
*この記事はAPLA機関誌『ハリーナ』19号(2013年2月)に掲載されたものです。なお、『ハリーナ』バックナンバーは、最新号を除くすべての記事が無料でお読みいただけます。
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