レポート

明らかになった産地の被害全容―台風オデット被害状況【第2報】

2022年1月11日

 昨年12月16日夜から17日にかけてフィリピンを直撃した台風22号(フィリピン名:オデット)による産地の被害状況が明らかになってきました。

茎から折れたバナナ(ネグロス東州カンラオン市)

 ネグロス島には900名近くのバナナ生産者がいます。オルタートレード・フィリピン社(ATPI)及びオルタートレード・フィリピン財団(ATPF)が行った現地調査によると、約5万3千本のバナナが根こそぎ倒れ、15万7千本のバナナに茎が折れたり、葉が裂けるといった影響がありました。

倒伏したサトウキビ(ネグロス西州ラカステリアナ町)

一方、マスコバド糖の原料となるサトウキビ畑では、300ヘクタールのうち約40%にあたる115ヘクタールでサトウキビが倒伏する被害が出ました。

 被害程度にもよりますが、バナナは回復までに6-10か月を要する見込みです。また、台風に比較的強いサトウキビも倒伏したため糖分の含有量が減る影響が心配されています。他にも生産者の水田、ココナッツ、様々な種類の果樹や野菜、家畜にも被害が出ています。

全壊したパッカーの家(ネグロス東州北部)

 家屋の被害も甚大です。ネグロス島では生産者、集荷や運搬担当者、バナナのパッカーなど90軒の家屋が全壊、半壊は300軒近くに上りました。さらにボホール島、ミンダナオ島北部のバナナ産地でも、生産者の家屋倒壊はなかったものの、それぞれ1万本近くのバナナに被害が出ている模様です。

 ATPIとATPFが産地の被害状況を動画にまとめました(約5分)。
倒伏したバナナやサトウキビ畑、倒壊した家屋の惨状には目を覆うばかりです。夜半から朝方に通過した台風の豪雨と強風は本当に怖かったと一人のサトウキビ生産者が回顧しています。

 被害を受けた産地では依然として飲み水の不足、停電が続いています。電力会社からは大きな被害があった場所では、電気の復旧は2月頃になる見込みとも発表されています。家が全壊・半壊した生産者からは、早く家に帰るために壊れた屋根を修復するための材料がほしいとの要望も届いております。ATPIとATPFは、生産者らの家屋再建やバランゴン、サトウキビの生産復興を中心とする支援を計画しています。ATJもどういう形で協力できるか、ATPI、ATPFと協議しています。

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