【PtoP NEWS vol.22 特集】パプア クラフトチョコレートの2年目~美味しいチョコレートを自分たちで作る!~from インドネシア・パプア州
パプアのカカオ生産者の「自分たちが育てたカカオから作ったチョコレートを食べたい!」という素朴な願いを実現したのが「パプア クラフトチョコレート」でした。
パプア産カカオ豆をジャワ島にある国立コーヒー・カカオ研究所のチョコレート工房で手作りチョコレートに仕上げ、それを日本とパプアで同時販売しました。
1950年代にパプアを統治していたオランダがカカオの苗木を先住民族に配布しカカオ栽培を始めて以来、カカオ栽培が続けられてきましたが、最終製品のチョコレートがカカオ生産者の元に届くことはありませんでした。
生産者は「カカオは現金収入になる」、という認識だけで半世紀以上カカオ栽培が続けられてきたのでした。
売るだけでは物足りない!
2017年1月からカカオキタ社の拠点であるパプア州ジャヤプラ県で「パプア クラフトチョコレート」の販売を開始するや、評判が口コミで広がり、月に100 ~200個が売れていくという状況が続きました。
積極的な販売活動を展開することが今後の大きな課題ですが、それでも地元の少し高級なスーパーマーケットや空港内のカフェ、観光地で有名な山岳部ワメナのホテルなどからの卸し注文が途絶えることはありません。
「パプア産のカカオから美味しいチョコレートができる」ということに自信を持ったカカオキタのスタッフは、ジャワ島で製造されたチョコレートを売るだけでは物足りなくなり、自分たちでもチョコレートが作れるはずだと考えるようになりました。
こうして始まったのが、原料生産地での一貫製造、森から収穫したカカオ豆を現地で最終製品のチョコレート菓子にしよう、という新たな挑戦です。
小さなお菓子工房が完成!
カカオキタのスタッフがチョコ菓子づくりの指導を受け、2017年9月には、アジア民衆基金(APF)から融資を受けて、小規模なチョコレート製造機械を事務所に設置し、板チョコレート、ブラウニー、チョコレートアイス作りを始めました。
本当に美味しいものができて、今までお菓子を作るなんて考えもしなかったスタッフのジョンを中心に楽しく作業に取り組んでいます。
一番人気はカカオマスを贅沢に練り込んだアイスクリーム。
こちらはジャヤプラ県の中心部にあるパプア農村発展財団(YPMD)事務所内の冷凍庫に在庫を置いて友人を中心に販売を始めたところ、やはり口コミで評判が広がり、毎日コンスタントに50個近くも売れています。
アイスクリームはジャワ島からの移住民が押し車で売りに来るのが今までの風景でした。
合成甘味料や着色料を使ったアイスの味しか知らなかった人びとは、本物のチョコレートアイスの美味しさに目を丸くしています。
値段は少し高めですが、それでも本物の美味しさを知ると安い方に戻ることはできないようです。
YPMD事務所に毎日売りに来ていたアイスクリーム屋さんの姿もいつしか見なくなりました。
自分たちで作ることで大きな変化が!
カカオ豆からお菓子の素材であるカカオマスを作り、それをアイスクリーム、ブラウニー、板チョコレートにする仕事が増えたことはカカオキタスタッフの仕事へのやりがいに大きな変化をもたらしました。
今までは村でカカオ豆を買付け、それを倉庫で発酵や乾燥をさせるだけでしたが、実際にその原料を食べものにすることで「原料の品質」と「最終製品の味」の関係が良くわかってきたのです。
「発酵が浅かったからチョコの風味がいまいちだな」などとブツブツ言いながら作っています。このことは村でカカオ豆を買付けるときに生産者にしっかり発酵させることの意味を力説することにもつながっています。
今は本当に小さな規模での製造ですが、カカオキタ代表のデッキーさんはこんなに楽しいことをカカオキタだけが独占するべきではない、という考えで、もう少し規模の大きなチョコレート工房を作って、多くの生産者がカカオ豆からチョコ菓子まで作れるようになる学びの場にしたいと計画しています。
津留歴子(つる・あきこ/ATJ)
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