レポート

パプアからの便り Vol.06 発行/2018年12月26日

2018年12月26日







親愛なる皆さま

パプアのチョコレートをいつも応援してくださってありがとうございます。

今回の便りではスラバヤから11月19日に出港したコンテナカフェが、12月6日、YPMD(パプア農村発展財団)内にあるカカオキタの事務所に到着したことをお知らせします。

事務所の門を何とか通過

事務所の門を何とか通過

コンテナカフェはアジア民衆基金(APF)からの融資とATJ株主団体からお寄せいただいたカンパを資金源として計画した「チョコ工房&カフェ」の取り組みの第一段階です。第二段階
はチョコ工房の設置となりますが、まずは皆が集うカフェを立ち上げ軌道に乗せたいと思っています。

カカオキタのチョコアイスを堪能!

カカオキタのチョコアイスを堪能!

カフェと聞くとコーヒーショップを連想されるかも知れませんが、カカオキタのカフェはアイスクリームを中心としたメニューでスタートさせる予定です。

年間通して摂氏30度を超す熱帯気候のパプアでは、喉を冷たく潤すアイスクリームはとても魅力的です。現にカカオキタでは一年ほど前から手作りでパプア産カカオ100%のチョコレートアイスを作って事務所で販売していますが、口コミで外から買いに来る人も増えてきました。

「アイスならいける!」と自信を持ったカカオキタは、20フィートコンテナをカフェ仕様に改造して、ここでアイスクリームを対面販売することにしました。アイスクリームもジェラードやソフトクリームとレパートリーも広げる予定です。ソフトクリームを嬉しそうに頬張る子どもたちの笑顔が想像できて、今からワクワクします。

コンテナの扉が開かれるのをじっと待ちます。

コンテナの扉が開かれるのをじっと待ちます。

さて、そのコンテナカフェの本体がアイスクリームやチョコ菓子を製造する機械を載せて、はるばるジャワ島(スラバヤ)から12日間の船旅のすえ11月30日、パプア(ジャヤプラ)に入港しました。

そこから荷卸しの順番を待つことさらに一週間、12月6日の朝、「コンテナが船から下されたので、今日の午後3時ごろ事務所に届けます」と連絡を受けました。

コンテナの引き揚げに固唾をのむ瞬間!

コンテナの引き揚げに固唾をのむ瞬間!

午後3時少し過ぎた頃、まずコンテナを持ち上げるフォークリフトが警察に誘導されながら事務所に到着しました。(フォークリフトは一般車両ではないので、警察が伴走することが義務付けられているようです。)

さっそくフォークリフトはコンテナを載せる土台に上がろうとしましたが、土台が地表から30 cm程高くなっており、そこに上がる斜面を作っていたものの土が緩すぎてタイヤが空転してしまいました。あわてて板や石で補強して、フォークリフトは何とか土台に乗り上がりました。

皆が楽しみにしていたアイスクリーム製造機!

皆が楽しみにしていたアイスクリーム製造機!

そうこうしているうちに、コンテナを積んだトラックが事務所に通じる細い道に入ってきました。コンテナの上には人が乗り、低く垂れている電線を棒で押し上げながら徐々に近づいてきます。

スラバヤからコンテナを出すときに荷物の積み込みに立ち会ったハンスが誘導、皆から「オーライ、オーライ」の声援を受けながらコンテナを搭載したトラックがゆっくり事務所敷地内に入ってきました。

「夢を形に」の第一歩。これからが本番!!!

「夢を形に」の第一歩。これからが本番!!!

コンテナを土台に載せる前に、荷物の積み出しを行いました。コンテナの錠はノコギリでごしごし切っていきます。その間、皆の視線はこれから開けられる扉一点に集中。気が付いたらYPMD事務所内の人が全員出てきてカカオキタスタッフと共にコンテナの扉が開かれるのをドキドキ・ワクワクの面持ちで待っていました。(YPMDは他のNGOに部屋を貸していて、いわばNGOアパートのようなのです。)

さあ、ようやくコンテナの扉が開かれました!先のハンス君がコンテナに飛び乗って中の様子を確認。彼がスラバヤで荷積みしたときとまったく同じ状態で物品の破損もないことにまずはホッとしました。それから後は次から次へと手際良くカフェ設備機材を運び出す作業です。力持ちのパプア人、こういうとき本当に頼もしいです。

さて、コンテナはあっという間に空になり、いよいよ土台の上に載せる作業の開始です。土台はフォークリフトが動き回るにはぎりぎりの狭さで、オペレーターも汗だく。周りで見ている私たちもフォークリフトが土台から落ちるのではないかとハラハラしました。

そして、ここでアクシデントが・・・。フォークリフトがコンテナをトラックから引き揚げた途端、その重みで土台の一部がミシミシっと陥没してしまったのです!その部分に石がきちんと埋め込まれていなかったようです。デッキーさん(カカオキタ代表)の表情が一気に険しくなり、土台づくりの責任者ヨセフさんは真っ青!(幸いコンテナを置く場所は強固で問題ありませんでした。)

フォークリフトに持ち上げられたコンテナは、「もっと右、いや左!」などといろいろな声が飛び交うなか、空中を何度がグルグル舞い上がった後、何とか正しい位置に設置できました。「あー、良かったぁ」と緊張の糸が緩み、気がつくともう日が暮れる時刻でした。

コンクリートの土台の上にポツンと置かれたコンテナカフェ。カカオキタの新しい仲間になりました。このカフェに息を吹き込む作業がこれから始まります。夢を形にする一歩を踏み出しました!

(報告:ATJ 津留歴子)

【この便りについて】
株式会社オルター・トレード・ジャパンが取り組むインドネシア・パプア州のカカオ民衆交易プロジェクトの、顔の見える関係だからこその産地の情報をお届けします。このカカオ民衆交易では、「パプア人の、パプア人による、パプア人のためのカカオ事業」を現地で推進すると同時に、カカオを作る人、チョコレートを食べる人が相互に学び合い、励まし合いながら人と自然にやさしいチョコレートを一緒に創造していくことを目指しています。
HP:https://altertrade.jp/cacao

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