レポート

【バナナニュース343号】活気に満ちた女性生産者たち

2023年9月29日

2023年8月初旬、2018年を最後にコロナ禍で見送られてきたバナナ担当者産地視察(通称バナ担ツアー:バランゴンバナナを扱う生協・団体の担当者による産地視察、生産者との交流)が5年ぶりに実施されました。

訪問した産地はミンダナオ島の4産地。ミンダナオ島の各産地では、2022年以降作付け拡大が進んでおり、地元でもバランゴン事業が認知度を高め広がってきています。

これまでバナナ担当者がミンダナオ島の産地を訪問した回数は限られ、バートナー団体や生産者たちと直接交流した機会がネグロス島に比べて圧倒的に少ないため、現地側からのたっての希望で今回の訪問が決まりました。その中から、最も標高の高い産地、レイクセブをご紹介します。
レイクセブについての説明はこちらもご参照ください:バナナニュース259号:バランゴンバナナ産地紹介~レイクセブ~)

※この記事では、出荷責任団体UAVOPI(高地アラー渓谷有機生産者法人)が旧名のUAVFI(高地アラー渓谷農事法人)になっています。

今回訪れたのは、バランガイ・ランフゴンのコロンボン集落(標高800~900m)。傾斜がきつく、舗装はされているものの所々穴ぼこのある道を慎重に進んでいった先に、バランゴンの圃場が現れました。写真で見るよりも角度のある斜面にバナナが植えられています。

交流会にはたくさんの生産者が集まり、バランゴンバナナに対する思いや日々の暮らしについて様々なコメントをいただきました。

リーダーのマゲンテイさん(33歳)、妻のアニアさん。2019年からバランゴンバナナを出荷しています。
マゲンティさん「日本とは遠く離れているが家族だと思っている。すごい傾斜地だと思われるだろうが頑張って世話をしている。農作業が好きで、作物が順調に育っているとか、バナナがいっぱい花をつけたとか、毎日楽しみがある。ただ、バナナを運ぶのに人を雇うのでお金がかかる」

アニアさん「道ができる前からバナナを栽培している。昔はサツマイモ、トウモロコシ、キャッサバばかり食べていたが、今は米も時々食べられるようになった。皆さんがきてくれて嬉しい。実際のバナナ栽培を見てほしい。バナナは自分が食べるのにもいい」

長い髪をなびかせたヘルミソニオさん

「お互いの笑顔が見られるのが嬉しい。テレビや映画でしか見たことのない外国人がきた。バランゴンバナナは2013年から始めた。ここの気候にも合っている。1日3回食事ができるし、お米も、たまに売りに来る魚も食べられる」

赤ちゃんを抱っこしたリンリンさん

「このバナナがあって本当に助かっている。現金収入が得られる。女性なのになぜバナナの世話なの?と言われるが、貧しくても、ただ人にお金を恵んでもらうのではなく、私はバナナを栽培して子どもたちを育てていく」

また別の男性からは、「薬を使わずに自力で世話をしている。バナナの栽培方法について教えてほしい」といったコメントもありました。

生産者の女性からの「日本語が聞きたい」というリクエストに応えて、日本からの参加者も一人ひとり日本語で自己紹介をしました。その間ずっとスマホで動画を撮っている生産者もいました。

日本語の挨拶を見つめる生産者たち

天候被害を受けやすいバナナ栽培ですが、皆が頑張って育てたバランゴンバナナがこれからも無事に日本に届き、この先も交流が続いていきますように。

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