【バナナニュース352号】ラムラハック村のおばあちゃんと孫~ミンダナオ島レイクセブ~
~バナナ担当者小島の出張見聞録⑤(不定期で掲載します)~
バランゴンバナナの買付作業には井戸端会議のようなどこか楽しげな雰囲気がある。
そんな中、集荷場で真剣に買付作業を見ている女性がいた。生産者の妻のロサリ・ジャン・グンパンさんだ。出荷基準内の自分のバナナが買取られているかを確認していたという。
★集荷場で真剣に買付作業を見ている様子(右側ピンクの服がロサリさん)
地面に落ちているバナナは、キズ、未熟、過熟、病害などで廃棄されたバナナ。レイクセブは山奥からバナナを運ぶ生産者が多く、どうしても傷が付いてしまうことも。
★馬がバナナを運ぶ様子(当日は雨が降って土がぬかるんでおり、馬は時折滑りながら下山)
キズバナナを箱に詰めて出荷してしまうと、日本に着く頃には箱のバナナ全てが傷んでしまうので、キズバナナを買取ることはできない。規格外バナナは生産者が消費するか、畑のたい肥や家畜のエサとして活用する。
何故真剣に確認していたのか?と聞いたところ、ロサリさんから「馬を借りて、合計4袋分のバナナを運んできたが、馬は2袋までしか運ぶことができず、片道一時間半の道を2往復した。また、往復数を減らすためにも予め品質の良くないバナナは圃場で捨ててきたから」という返答があった。
因みに、重い荷物を運べるおとなの馬を購入できると良いが、価格が高いので、仔馬を購入する人が多い。2~3年を経て成体になるが、その期間は餌代だけがかかる。
彼女は真面目な性格の方のように思われた。畑仕事に関しては、圃場が自宅から遠いこともあり、月に1度、1週間から長ければ1か月間泊まり込みで畑の手入れをみっちり行う。学校がなければ孫たちも圃場に連れて行き、畑仕事の様子を見せている。
3haほどある圃場には、土壌流出を防ぐための竹や樹木があり、バランゴンバナナの他にトルダンバナナとココナッツも栽培。圃場では、バナナの周りの草刈りを行い、しっかりと成長するようにしたり、株元には土を盛り、倒れにくくしたりしている。「農薬は一切使っていないから、安心して食べてほしい。孫にだって食べさせているのだから」とアピールしてくれた。
彼女はバランゴンバナナの収入の一部を孫の教育費に充てている。孫のチニータ・グンパンさんが私立小学校に通っており、バランゴンバナナの定期的で安定した収入はとても助かっているという。ロサリさんから「この子が良い成績をとるのが、私の目標」とプレッシャーの掛かる言葉があったが、チニータさんも勉強は嫌いではない様子。将来の夢などはまだ特に無いようで、「今は色々なことを学び、視野を広げて決めたらいいわ」と周りは温かく見守っている。
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