【賛同署名のお願い】「ガザの恒久的停戦と、パレスチナの和平を求める」共同声明

2025年5月8日

ATJは「パレスチナの和平を求めるアクション実行委員会」のメンバーとして、パレスチナで活動するNGOとともにガザ地区の恒久的停戦とパレスチナの和平を求める声明を発表し、広く団体・個人の賛同署名を集めています。パレスチナ人の離散を象徴する日である5月15日(ナクバの日)まで署名を募り、内閣総理大臣、外務大臣、及び関係議員へ提出する予定です。

こちらから署名できます

3月24日に行われた「互恵のためのアジア民衆基金(APF)」理事会で、パレスチナ農業開発センター(UAWC)代表でAPF理事でもあるフアッド・アブサイフ氏よりガザ地区及びヨルダン川西岸地区での近況報告がありました。

1月19日に停戦合意が締結されたものの、イスラエル政府は3月2日よりガザ地区を全面封鎖し、そのため多くの人々が飢餓に瀕していること、そして3月18日以降のイスラエル軍の再攻撃によりガザ地区の人びとが置かれた状況は2023年10月に戦争が始まった時よりさらに厳しいと話しています。

「一人の人間として、私たちとともに立ち上がり、即時かつ恒久的な停戦、占領の終結、封鎖の解除を求める声明に賛同してくださるようお願いする次第です。
すべての賛同署名は、沈黙に抗う声です。
すべての賛同署名は、この犯罪を拒否するものです。
すべての賛同署名は、人間性を共有する行為です。
パレスチナが求めているのは、哀れみではなく正義であり、涙ではなく声です。
署名を。情報拡散を。そして立ち上がってください。
安全保障、政治、沈黙の名の下に、今まさに虐殺されている人々のために。」
(フアッド氏)

メッセージ全文はこちらから

パレスチナ農業復興委員会(PARC)からもメッセージが届きました。

「パレスチナの人々は、76年以上にわたって平和を求めて闘い続けてきました。しかし、この困難な時期にあって、私たちは、パレスチナ人の政治的・人道的権利、そして自己決定権を支持し、行動してくださる世界中の友人たちの支援によってこそ、平和を実現できると確信しています。」

メッセージ全文はこちらから

オリーブオイルを通じて繋がっているパレスチナのパートナーのこの切実な訴えを受けて、パレスチナの人々が人権、尊厳が守られた暮らしを一刻も早く送れるよう、皆様からの賛同署名を切にお願いする次第です。また、情報拡散にもご協力賜りますようお願い致します。

賛同署名を呼び掛けるチラシを用意しました。どうぞご活用ください。 

食のギャラリー/マスコバド糖「コーラ風ドリンク」

2025年5月8日

バランゴンバナナのキャラメルアイス

2025年5月8日

【バナナニュース362号】パイナップルを羨むことなかれ

2025年5月8日

~バナナ担当者小島の出張見聞録⑩(不定期で掲載します)~

皆さんはパイナップルやバナナがどのように実るか描けるだろうか。
私はフィリピンでパイナップルを見て驚いた。パイナップルは、アロエのような葉を放射状に広げ、その中から茎を伸ばし、膝上ほどの高さに実を付ける。

一方で、バナナは地下の根茎から葉の一部が重なって幹のように見える偽茎を伸ばし、2~3mの高さに約30㎏の房を実らせる。そのため、強風で倒れることが頻発する。現地で倒れたバナナを見て「なぜ、重い房をそんなに高い所に実らせるのか。倒れるではないか」と思うことが多かったので、パイナップルを見て、これはお利巧な植物なのかもしれないと思った。

しかし、バナナにはバナナの事情があって、上に伸びているはずだ。高い場所でバナナの大きな青々しい葉を広げればより効率的に光合成ができるし、倒れても本来バナナにはタネがあったのだから、繁殖に関しては問題はなかったはずである。ついつい自分の都合で考えてしまったことを反省しつつも、やはりバナナの倒伏被害を目にすると、生産者を気の毒に思うので、バナナにはなんとか強風に耐えてほしいと願ってしまうのが正直なところだ。

パイナップルを勝手に羨んだが、パイナップルにはパイナップルの事情があり、パイナップルも人間も、それぞれがそれぞれに振り回されながら生きているのだろう。

※上のバナナは成長途中の株で、もう1~2mほど成長してから実がつきます。

<バナナ担当者小島が産地で見聞きしてきたことを連載中!>

~バナナ担当者小島の出張見聞録①~

~バナナ担当者小島の出張見聞録②~

~バナナ担当者小島の出張見聞録③~

~バナナ担当者小島の出張見聞録④~

~バナナ担当者小島の出張見聞録⑤~

~バナナ担当者小島の出張見聞録⑥~

~バナナ担当者小島の出張見聞録⑦~

~バナナ担当者小島の出張見聞録⑧~

~バナナ担当者小島の出張見聞録⑨~

食のギャラリー/塩「蒸し野菜」

2025年5月5日

食のギャラリー/マスコバド糖「黒みつきなこアイス」

2025年4月30日

卵かけごはんにオリーブオイル!

2025年4月30日

カツオのオリーブオイル漬け

2025年4月30日

オリーブオイルが味の決め手!ヨーグルトディップ(ザジキ)

2025年4月30日

食のギャラリー/バナナ「ひんやり黒糖寒天」

2025年4月22日

ジェノサイドの手段としての飢餓 ―ガザ地区の飢餓についてUAWCからの声明

2025年4月18日

パレスチナ農業開発センター(UAWC)は、ガザ地区にて深刻化する飢餓について緊急の注意喚起をします。この大惨事は、イスラエルによるジェノサイド攻撃によって意図的に引き起こされたものです。2025年3月2日以降、イスラエル占領軍は、ガザ地区へのすべての食料および人道支援の搬入を阻止しています。4月7日(月)、イスラエルの財務相ベザレル・スモトリッチは「小麦の一粒さえもガザ地区に入れさせない」と発言し、ガザ地区に飢餓を強要するというイスラエルの方針を再確認しました。これは政策の失敗ではなく、大量の飢餓を計画的に進める入念に計画されたキャンペーンです。

今日、ガザ地区の人々は意図的に飢えさせられています。

パレスチナNGOネットワーク(PNGO)は、ガザ地区を公式に「飢餓地域」と宣言し、国際社会にも同様の認定を求め、即時の介入を呼びかけています。PNGOは、特に子ども、女性、高齢者への壊滅的な影響を警告しており、イスラエルが食料・医薬品・燃料・安全な水の搬入を故意に拒否していると非難しています。ガザ地区は飢餓の末期段階に入り、34万5千人が「総合的食料安全保障レベル分類(IPC)の第5段階(大惨事/飢餓)※にあり、住民の91%が危機レベルかそれ以上の食料不安に直面しています。これは国際社会の沈黙による計画的なジェノサイド行為です。

パレスチナ保健省によれば、6万人以上の子どもたちが急性栄養失調により回復不能な健康被害のリスクにさらされています。生後6ヶ月未満の乳児は、安全な水、粉ミルクや栄養支援を受けられず、感染症や乳児死亡のリスクを高める手段に頼らざるを得ない状況です。人道支援団体は、栄養検査の実施能力が30%低下し、離乳食などすぐに食べられる栄養食品もほぼ尽き、わずか400人の子どもしか支援を受けていないと報告しています。栄養支援のための施設の少なくとも15%が爆撃や避難の影響で閉鎖に追い込まれています。

イスラエルによる完全封鎖により、水へのアクセスも危機的状況にあります。

100万人以上(うち40万人が子ども)は、1日1人あたり6リットル(停戦中は16リットル)しか水を得られておらず、燃料供給が再開されなければ4リットル未満にまで減る恐れがあります。公衆衛生施設の崩壊とともに、水が原因による感染症が急増しています。イスラエルが管理するガザ地区への3本の水道管のうち、2本が切られました。1本は1月以降から止まっています。唯一稼働中の水道管はハンユニス地域に限定されており、イスラエル占領軍は他の水道管の修理を認めていません。南部最大の海水淡水化施設は電力不足により出力が85%削減されています。

病院は、容赦ない空爆による負傷者対応に追われるなか、衛生用品がまったくないため感染症予防もできない状況です。

250以上の医療施設が、ガザ地区の外で留められている医薬品、石鹸、消毒剤、滅菌用品などの必須物資を待っています。患者も医療従事者も完全に無防備な状態です。

ガザ地区の農業セクターは、計画的に破壊されました。

UAWCと食料安全保障に関わるパートナー団体は、食料生産の破綻をすべての分野で確認しています。農地の爆撃、ビニールハウスの破壊、灌漑システムの寸断、家畜は殺され、漁業は完全に麻痺しています。家畜は治療されずに感染症で死亡しており、農民は空爆や不発弾の脅威で農地に近づくことができません。漁船は壊れたまま放置され、漁師は海に出ると襲撃や逮捕の対象となります。結果として、ガザ地区は自給自足の能力を完全に失っています。

環境の崩壊も危機を加速させています。

イスラエルによるインフラの破壊は、土壌の汚染、大気の汚染、廃棄物処理システムの崩壊をもたらしました。5000万トン以上の瓦礫と人間の遺体が未回収のままであり、こうした状況下で有害物質へ曝されることが日常的になっています。世代を超えて大切にされてきたオリーブ畑や農地も壊滅しました。

これは人道的危機ではなく、“構造的な抹殺”です。
イスラエル占領軍は、包囲したガザ地区の住民の意志を打ち砕き、未来を消し去るために飢餓を兵器として使い続けています。ガザ地区の飢餓は偶発的ではありません。これは意図的なジェノサイド政策の結果であり、アメリカ、ドイツ、その他の共犯国によって支えられています。

国際刑事裁判所ローマ規程第8条第2項(b)(xxv)によれば、「戦争の手段として意図的に民間人の飢餓を引き起こすこと」は「戦争犯罪」に該当します。

UAWCは、パレスチナの食料主権が正義と解放の闘いと不可分であることを強調します。私たちはPNGOとともに、国際社会に対し、懸念の表明を超えて、飢餓の根本原因、すなわちイスラエルの軍事占領、入植型植民地主義、継続する封鎖と正面から向き合うよう呼びかけます。そのためには、以下が必要です:

  • 即時かつ妨げのない人道的支援の搬入
  • ガザ封鎖の解除
  • 国際法に基づくイスラエルの責任追及
    <国際刑事裁判所(ICC)および国際司法裁判所(ICJ)において)>
  • パレスチナ主導によるガザ地区の食料システム再建への支援

再確認します。この飢餓は、物流の問題ではありません。これは「戦争犯罪」です。
そして、それは「今すぐ終わらせなければなりません」。

※食料不安を計測する世界標準「総合的食料安全保障レベル分類(IPC)」の定義による第5段階が壊滅的飢餓、第4段階が緊急事態

食のギャラリー/エコシュリンプ「えび豆腐ナゲット ~ハニーマスタードソース~」

2025年4月17日

「ガザの恒久的停戦と、パレスチナの和平を求める」記者会見が行われました。

2025年4月9日

2025年3月28日、「ガザの恒久的停戦と、パレスチナの和平を求める」記者会見が、日本プレスセンタービル9F(東京都千代田区)にて行われました。この記者会見は、3月30日の「パレスチナ土地の日」を前に、ATJやAPLAの他、パレスチナで活動するNGOで立ち上げた「パレスチナの和平を求めるアクション実行委員会」によって開催され、複数の団体が連携して3月10日に発出した共同声明の発表と、パレスチナの現状が伝えられました。

当日の報告は以下の通りです。
●趣旨説明、停戦前後の現地状況の説明:ピースウィンズ・ジャパン
●ガザ地区の状況:日本国際ボランティアセンター(JVC)、パルシック
●ヨルダン川西岸地区の状況:セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、APLA
●「ガザの危機 国際法の観点から即時停戦を求める」:ヒューマンライツ・ナウ 伊藤和子氏

APLAの野川事務局長は、パレスチナ農業開発センター(UAWC)が制作したヨルダン渓谷で入植者によって400頭の羊が強奪された農民の取材動画を上映して、西岸地区で頻発する放牧地での入植者による組織的暴力について報告しました。

会見全体の様子はこちらからご覧いただけます。

記者会見の様子は以下のメディアで報告されました(掲載日順)。

○3月28日(金) NHK
パレスチナで支援活動の日本のNPOなど 恒久的な停戦の実現訴え

3月28日(金) 朝日新聞
ガザの恒久的停戦を求める声明 パレスチナで支援の日本のNGO発表

3月28日(金) 8bit News
ガザの恒久的停戦とパレスチナ全体の和平を!支援団体が訴える現地の今

3月29日(土) 日本農業新聞
オリーブ園攻撃、羊の盗難… 戦禍のパレスチナ農業 日本の農家へ「心寄せて」 支援団体が緊急会見

○3月29日(土) 朝日新聞 朝刊・WEB
NGO「ガザ恒久的停戦を」

○4月2日(水) レイバーネット
ガザの恒久的停戦とパレスチナの和平を求める声明

○4月3日(木)日本農業新聞
[論説]パレスチナの戦火 和平へ思い連帯しよう

○4月6日(日) 東京新聞
「私たちの苦しみ想像できますか」ガザで悲痛の叫び イスラエル軍需企業に投資する日本政府が考えるべきこと

なお、声明は5月15日(ナクバの日)まで団体・個人の賛同を募り、内閣総理大臣、外務大臣、及び関係議員へ提出する予定です。引き続き、賛同・情報拡散にご協力を宜しくお願い致します。

「ガザの恒久的停戦と、パレスチナの和平を求める」声明への賛同フォーム

【バナナニュース361号】 絵本『バナナのらんとごん』のご紹介🍌

2025年4月7日

2024年12月に絵本『バナナのらんとごん』を出版しました。(株)オルター・トレード・ジャパンの姉妹団体であるNPO法人APLAが、クラウドファンディングで多くの方に応援いただき制作した絵本で、和歌山県にある「らくだ舎出帆室」と共同出版しました。

この絵本は、バランゴンバナナのらんとごんの姉弟が日本の消費者に届くまでの旅を通して、身近な食べ物の背景を知ることができるものです。バランゴンバナナがどのような場所でどのように育てられているのかを紹介するために、産地の様子や生産者の工夫などを盛り込みました。

絵本後半ではフードロス問題も扱っています。日本に届いたバナナが、実に届くような深いキズが皮にあるなどの理由で規格外に分別されているという内容を入れ、ふだん手にしているバナナの、なかなか見ることのない裏側も知ってもらいたいと思いました。

資料ページが4ページもあります。本編では描ききれなかった内容や産地の写真を入れており、授業やワークショップに役立つ内容になっています。

「傷があってもおいしく食べられる」「捨てるのはもったいない」と規格外のバナナへの思いや、「イラストが鮮やか」「大人が読んでも学びがある」と絵本自体の感想も寄せられています。SDGsを達成するために大切な要素も散りばめられているので、読み聞かせ会などにご活用いただけるとうれしいです。

APLA福島

🍌絵本の詳細やご注文はこちらから

食のギャラリー/マスコバド糖「寄せ豆腐」

2025年4月5日

「ガザの恒久的停戦と、パレスチナの和平を求める」共同声明および記者会見(3/24追記)

2025年3月11日

パレスチナのオリーブオイルの産地、ヨルダン川西岸地区ではオリーブオイルの出荷団体であるパレスチナ農業開発センター(UAWC)からの緊急報告(緊急報告1緊急報告2)にあったように1月19日に発効したガザ地区での停戦合意以降、イスラエル軍による軍事攻撃が激化しています。

ATJは「パレスチナの和平を求めるアクション実行委員会」のメンバーとして、パレスチナで活動するNGOとともにガザ地区の恒久的停戦とパレスチナの和平を求める声明を発表し、ガザ地区およびヨルダン川西岸地区の状況を広く知らせるために3月28日に記者会見を行います。

3/24追記:

こういった思いをお持ちのみなさまにもご参加いただけるよう、この声明に対する賛同を広く募ることにしました。賛同は個人、団体両方あります。何卒、ご賛同をお願い致します。また、情報拡散にもご協力賜りますようにお願い致します。

こちらの声明は、パレスチナ人の離散を象徴する日である5月15日(ナクバの日)まで、賛同(団体及び個人)を募り、内閣総理大臣、外務大臣、及び関係議員へ提出する予定です。
声明の内容は下記をご覧ください。なお、3月28日記者会見で、それまでに集まった賛同団体の名前と個人の賛同者数を発表する予定です。

「ガザの恒久的停戦と、パレスチナの和平を求める」声明 賛同フォーム

https://forms.gle/t17dM91wey8uZ2PJ7

「ガザの恒久的停戦と、パレスチナの和平を求める」声明

2025年3月10日
パレスチナの和平を求めるアクション実行委員会

パレスチナ・ガザ地区における未曾有の人道危機は、少なくとも4万8千人[1]の尊い命を奪い、2025年1月19日、三段階あるとされる第一段階の停戦が実現しました。しかし、ようやく結ばれた停戦は決して恒久的なものではなく、人質の解放、大規模攻撃の再開、さらに食料や医療品など人々の命に係わる物資の搬入や送電までが取引の材料にされた状態で、今にも崩れ去ろうとしています。無辜の市民の命が一部の権力者によって操られていることに、強い憤りを覚えます。

第一段階目が実行された16日後から交渉される予定だった停戦の第二段階目では、ガザの恒久的停戦と、イスラエル人の人質およびパレスチナ人被収容者の双方の解放に加え、イスラエル軍のガザからの完全撤退が含まれることとなっていました[2]。しかし、それらは未だ実行されていません。そうした中、3月4日、イスラエル政府はガザの実効支配勢力に対し、人質の解放が達成されていないことを理由にガザへの攻撃再開を宣言し、米国政府はそれを支持しています。

パレスチナの平和と人道支援に関わり続けてきた日本の団体として、私たちはここに改めて人質・被収容者の無条件の解放と、イスラエル軍のガザからの完全撤退、そして恒久的停戦を実現するよう、両者に強く訴えます。

また、ガザでの停戦後、ヨルダン川西岸地区でのイスラエル軍や入植者による攻撃が激化している事実も看過することができません。西岸地区の北部、特にジェニン難民キャンプやトゥルカレムを中心に4万人以上もの市民が住む家を追われ、帰る場所を失っています。2024年1月から2025年1月の僅か1年間で、102人の子どもを含む555人がヨルダン川西岸地区で犠牲となりました[3]。攻撃の影響を最も受けるのは一般の市民です。私たちは、このような状況に晒されている人々の命と人権が守られるよう、日本政府が国際社会の一員として、ガザの恒久的停戦と共に、パレスチナ全体の和平の実現に向けて、あらゆる外交努力とアクションを引き続き行うよう、強く求めます。

[1] Reported impact snapshot | Gaza Strip (4 March 2025)
[2] How does the ceasefire deal between Israel and Hamas work?, BBC, 3 Mar 2025
[3] West Bank Monthly Snapshot – Casualties, Property Damage and Displacement | January 2025

私たちは、上記の声明の発表と、ガザ地区およびヨルダン川西岸地区の状況を広く知らせるために、記者会見を行います。

イスラエル建国とパレスチナ難民の発生から今年で77年目を迎えます。イスラエルによる1976年の大規模な土地接収に対する抗議で死者・負傷者が出た事件を悼み、各地でアクションが行われる3月30日の「土地の日」を前に、今一度パレスチナに思いを寄せ、パレスチナの人々がイスラエルの人々と対等な権利を享受し、自由に暮らせるために何ができるかを考える機会になればと思います。

「ガザの恒久的停戦と、パレスチナの和平を求める」記者会見

◎日時:2025年3月28日(金)10:30‐11:45  (受付開始10:15)
◎場所:日本プレスセンタービル9F 会見場 東京都千代田区内幸町2-2-
◎プログラム
・趣旨説明、ガザ停戦を巡る動き
・ガザ地区の状況(現地で活動するNGOからの報告)
・ヨルダン川西岸地区の状況と現地からのメッセージ
・質疑応答
・写真撮影

主催:パレスチナの和平を求めるアクション実行委員会
(実行委員会構成団体、五十音順)

特定非営利活動法人APLA
特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク
株式会社オルター・トレード・ジャパン
公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン
特定非営利活動法人日本国際ボランティアセンター
公益財団法人 日本YWCA
特定非営利活動法人パルシック
特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン
ピースボート

この声明文に関する連絡先

特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター(JVC)
〒110-8605 東京都台東区上野 5-22-1 東鈴ビル 4F
info@ngo-jvc.net / 03-3834-2388(担当:酒寄、今井)

【バナナニュース360号】大型台風直撃後の圃場訪問と心持ち ~ネグロス東州の若手農業指導員ヘネシーさん(続編)~

2025年3月7日

前編、【バナナニュース359号】ネグロス東州の若手農業指導員ヘネシーさんはこちらから。

農業指導員は、栽培技術の指導だけでなく、収穫量の増減をモニタリングする役割も担っている。そのため、天候被害など様々な要因によりバナナの収穫量が減少し、生産者の収入に直接影響が及ぶ現実に直面することがある。それは指導員にとっても辛い瞬間だ。

2024年10月、大型台風20号がフィリピンを襲った。ネグロス東州の農業指導員であるヘネシー・フエンテスさんとその同僚は、すぐに生産者と集荷担当者に連絡を取った。幸い生産者やその家族に負傷者はいなかったものの、圃場は大きな被害を受けていた。後日、散乱した木々を横目にバイクで圃場に向かうと、バナナの葉は切れ切れになっており、実のついた株も多く倒れていた。ネグロス島は干ばつと一連の強風や豪雨による被害からようやく回復しつつある時期だったので、生産者はさぞ悲しかったことだろう。

ヘネシーさんは生産者に対して「この圃場もやがて元に戻るから。私も農業指導員として精一杯サポートするわ」と話し、生産者が立ち直ってバランゴンバナナの栽培を続けるよう励ました。

目まぐるしく環境が変わる生産現場において迅速かつ効率的に行動することは重要であるが、楽観的でいることも大切だとヘネシーさんは言う。現場の農業指導員として、未来により良い日々が訪れると信じ続けることは、生産者が希望を持ってバランゴンバナナの栽培を続ける励みになると話してくれた。

生産者に対して、バランゴンバナナの栽培管理の方法や株の植付けについて説明するのも農業指導員の大事な仕事だ。生産者の圃場にて。

指導を受けて袋掛けする生産者。生産者の圃場にて。

ヘネシーさんと同僚は、台風20号後の圃場を視察し、それぞれの村の写真と被害状況をまとめてくれた。ATJでの状況把握に役立った(資料はボナウォン村)。栽培指導に加えて、収穫量の情報の吸い上げも彼女の仕事の1つ。

ボナウォン村の圃場の1つ。
以前、日本人が訪問した際、ヘネシーさんも現地側のアテンドの1人であった。
訪問時も強風の被害で葉っぱ破れが散見されたが、台風20号で多くの実のついた株が倒れたものと思われる。

🍌バランゴンバナナを支えるスタッフ達

運搬担当者や集荷担当者、パッカーに対して、バランゴンバナナの栽培ルールの再確認やバナナが日本に届けられた後の品質を共有している様子。ネグロス東州ドマゲッティ・パッキングセンターにて。

・運搬担当者:
圃場から集荷場、または集荷場からパッキングセンターまでの運搬を行う。生産者が自力でバナナを集荷場に持って来られない場合にお手伝いすることが多い。圃場は山間部にあることが多く、担ぎ棒や馬、バイクなど小回りの利く手段が活用される。

① 担ぎ棒で運ぶ

運搬担当者がバナナを運ぶ様子。

実際にやってみた!
<小島運搬担当者体験>
6~10月のフィリピンは雨期でよく雨が降るため、地面がぬかるんでいる。それに加え、バナナが左右に揺れるため、上半身が引っ張られる感じがしてバランスがとりにくい。

これでも初心者用にバナナの量を減らしている。歩くスピードも遅く、「これでは儲けがでないね」と笑われた。
実際に生産者が運んできた担ぎ棒。大小のバナナが前後に2つずつあり、おおよそ50-60kg。重さでへっぴり腰になり、運搬を断念。
当該のバナナは運んできた生産者(写真の中央奥)によって無事、集荷場に運搬された。東京でのデスクワーク中心な生活に何かを感じた。

② 馬で運ぶ

生産者が馬でバナナを運ぶ様子。運搬担当者も写真のように運搬を手伝う。
(きれいな白馬だったため撮影。色によって価格は変わらないとのこと。同じ価格ならば白馬が良いね!と言ったが、フィリピン人はそうでもない様子だった。むしろ何故白馬に拘るんだろう…という反応)

③バイクの様子

後輪に自作のプラスチック籠を付けたバイク

・集荷担当者:
集荷場でバナナの品質を確認して買い取り、パッキングセンターに運ぶ。

※彼は普段パッキングセンターのパッカーを担当しているが、この時は集荷場でお手伝い中

・パッカー:
パッキングセンターでバナナの品質を確認し、水洗い、箱詰めを行う。タブと呼ばれるバナナの水洗い専用プールでバナナに付いた汚れを落とす。

【バナナニュース359号】ネグロス東州の若手農業指導員ヘネシーさんはこちらから。

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よろしければ、このニュースを読んだ感想をお聞かせください。
生産者へのメッセージは生産者に伝えていきます。よろしくお願いいたします。
なお、すべての質問項目に関してご回答は任意です。

【緊急開催】「ガザ停戦」後に激化しているパレスチナ・西岸地区での暴力 ー現地NGOからの緊急報告

2025年2月26日

2025年1月19日に発効したイスラエルとハマスの「ガザ停戦」以降、パレスチナのオリーブオイル産地でもあるヨルダン川西岸地区(以下、西岸地区)における暴力がこれまでにないほど激化しています。2001年の第二次インティファーダ以来最長となる軍事作戦がイスラエル占領軍によって展開され、2025年2月10日の国連の報告によると、この1カ月だけでも、ジェニン、トゥルカレムなどの難民キャンプを中心に西岸地区各地で合計4万人以上が強制的な移住を余儀なくされています。

また、イスラエルのクネセト(国会)では、国際司法裁判所(ICJ)と国連総会が違法性を確認した占領政策をさらに推し進め、西岸地区の「完全併合」のための新たな法案の議論が進んでいます。

パレスチナのオリーブオイル生産者や小規模農民を支援するパレスチナ農業開発センター(UAWC)から、こうした西岸地区の現在の状況について日本の多くの人に知ってほしいという訴えが届き、緊急報告の機会を設けることにしました。残念ながら日本のマスメディアではほとんど伝えられることがない西岸地区の現状について、ぜひ現地からの声をお聞きください。

日時:2025年3月4日(火)19:30〜21:00(最大で21:30まで延長の可能性あり)
オンライン会議ツールZoomを利用

報告者:フアッド・アブサイフ氏(UAWC代表)
*逐次通訳あり

参加費:無料(下記のいずれかから要申込み)
※お申込みの方は、後日アーカイブでご視聴もいただけます。
Peatix:https://24westbank.peatix.com/
フォームメーラー:https://ssl.form-mailer.jp/fms/2086dd7e848002

共催:特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク、特定非営利活動法人APLA、株式会社オルター・トレード・ジャパン

【緊急報告】ヨルダン川西岸地区における民族浄化の激化

2025年2月14日

パレスチナ農業開発センター(UAWC)から緊急報告と行動の呼びかけ第2報が届きました。
パレスチナ人の土地接収とイスラエル人入植地の拡大、入植者による襲撃、建築物取り壊しと強制退去、検問所等による移動制限が深刻化しています。また、イスラエル政府は「ヨルダン川西岸地区」の呼称をユダヤ名の「ユダヤ・サマリア」に変更する法案を提出しようとし、米国もこれに同調しています。ヨルダン川西岸地区のイスラエル完全併合の脅威がかつてないほど身近に迫っています。

2025年2月10日

ヨルダン川西岸地区は限界に達している。この1年間、イスラエル占領軍と入植者は、強制移住、標的を絞った暴力や土地接収のキャンペーンをかつてない規模でエスカレートさせてきた。これは新たな危機ではなく、入植植民地主義とパレスチナ人の民族浄化という、長年にわたるイスラエルのプロジェクトが加速していることを意味する。現在、イスラエル政府はますますつけあがり、米国では極右のレトリックが台頭し、ヨルダン川西岸地区のイスラエル完全併合の脅威がかつてないほど身近に迫っている。

前例のないイスラエル入植地の拡大

イスラエルの占領は記録的なスピードで植民地を拡大しており、2024年には過去20年間の合計よりも多くの土地を接収した。2024年末時点で、植民地化と分離壁抵抗委員会(CWRC)は、ヨルダン川西岸とエルサレムに180の入植地256の前哨地(非公認の入植地)に77万人以上の入植者がいると報告している。これらの前哨地のうち、138カ所は農地または放牧地につくられ、占領がいかに農業を土地接収の対象としているかを物語っている。2024年だけでも、イスラエル人入植者は新たに51の前哨地を設立しそのうち36は放牧地である。イスラエル政府は1万ユニットの入植地を新たに承認し、パレスチナの土地をさらに不当に奪っている。

ベザレル・スモトリッチ財務相の下で2023年に設立されたイスラエル入植地管理局は現在、防衛相を飛び越して、入植地に関する唯一の権限を有している。これは入植地の拡大を加速させ、事実上の併合への転換を意味する。軍ではなく文民が入植地の計画、土地の接収、パレスチナ人の建設許可を組織的に拒否する決定をするようになったからだ。2024年12月現在、入植地管理局の高等計画審議会は毎週会議を開き、入植地の建設と拡張計画を承認している。設立から2カ月の間に、毎週数百の新しい入植ユニットを承認しており、現在進行中の入植地拡大と土地接収の常態化を意味している。この拡大は、単に違法入植地を増やすということではなく、パレスチナ人コミュニティを互いに切り離し、農民や牧畜民が恒久的に強制退去させられることを確実にする、支配のメカニズムだ。

制度化された入植者のテロ行為

CWRCの統計によると、2024年だけでヨルダン川西岸地区全域でイスラエル占領軍と入植者によるパレスチナ人とその所有物への襲撃総件数は16,600件以上を記録した。CWRCの統計によると2025年1月だけでも2,161件の襲撃事件があった。国連人道問題調整事務所(OCHA)は、2024年にパレスチナ人に犠牲者や器物損壊を与えたイスラエル入植者による暴力事件を1,420件記録しており、これは2006年に記録が始まって以来最多である。ヨルダン川西岸保護コンソーシアム(WBPC)は、肉体的暴行、放火、器物損壊を含む2,274件以上の入植者による暴力事件を報告している。これらの攻撃により、5人のパレスチナ人(子どもを含む)が殺害され、360人(35人の子どもを含む)が負傷し、26,100本以上のオリーブの木が切り倒された。

こうした入植者の攻撃は思い付きではなく、パレスチナ人を自分たちの土地から追い出すための組織的な戦略の一環なのだ。武装した入植者たちは、しばしばイスラエル占領軍兵士と連携して村を襲撃し、家を焼き、水源に毒を流し、農作物を破壊する。抵抗する人々は、イスラエル軍の奇襲、集団逮捕、実弾射撃にさらされる。2023年10月以降、イスラエル政府の全面的なイデオロギー的・物質的支援のもと、イスラエル人入植者はイスラエル占領軍の支援を受けて、こうした暴力的な攻撃をエスカレートさせている。


強制退去

2024年の建築物取り壊しと強制退去の危機は記録的なレベルに達し、2023年10月から2024年12月までの間に、1,762棟のパレスチナ人所有の建造物が破壊され、1,712人の子どもを含む4,253人のパレスチナ人が立ち退きを余儀なくされた。合計165,000人がこれらの影響を直接受けている。特にエリアCでは、コミュニティ全体が強制的に人口を減らされている。特にベドウィン(遊牧民族)が狙われており、300世帯以上のベドウィンが退去した。WBPCは、エリアCの195のコミュニティ(58,000人のパレスチナ人)が強制移住の危機にさらされていると認定した。このうち39,000人は、激化する入植者の暴力、土地へのアクセスの制限、パレスチナ人の家やインフラの継続的な取り壊しのために、差し迫った脅威にさらされている。WBPCの報告によると、これら195のコミュニティからの強制移住により、エリアCの18%、すなわち西岸地区の11%が、入植地拡大のためにイスラエルに乗っ取られる危険にさらされている。すでに約2,000人のパレスチナ人が、入植地拡張のために接収された土地から強制移住させられている。
西岸地区には、1948年以来最大規模の強制移住の波が押し寄せている。ジェニン、トゥルカレム、その他の難民キャンプや都市に対するイスラエルの攻撃が激化し、1か月間で4万人が強制的に移住させられた。さらに、OCHAによると、2005年以降にヨルダン川西岸地区で亡くなったパレスチナ人の子どもの半分近くが、過去2年間に亡くなっている。


深刻な移動制限と経済的締め付け

パレスチナ人のヨルダン川西岸一帯の移動は、検問所、道路上のブロック、ゲートなど898の障害物によって厳しく制限されている。2025年1月以降、占領軍は少なくとも18の検問所を新たに設けた。重要な道路や村の入り口は封鎖され、住民の緊急医療、教育、生計に支障をもたらしている。パレスチナ赤新月社(PRCS)の報告によると、イスラエル軍は、負傷したパレスチナ人や死者の遺体に近付くことを日常的に遅らせたり、完全に拒否している。こうした移動制限は、食料不安を悪化させ、市場や生計手段、必要不可欠なサービスへのアクセスを妨げている。全長700キロを超えるアパルトヘイトの壁と、イスラエル占領下の入植者専用道路網の拡大は、パレスチナの土地をさらに分断し、パレスチナ人を孤立した居留地に追いやる一方で、イスラエル入植者は自由に移動している。
イスラエルによる入植者拡大戦略には、パレスチナの農業に対する直接的な攻撃も含まれており、パレスチナの食料主権を解体することを目的としている。2024年、入植者の攻撃と移動制限により、パレスチナの農家は推定850万米ドルの直接的損失、さらに150万〜200万米ドルの間接的損失を被った。


イスラエルの併合成文化

イスラエル占領政府は、ヨルダン川西岸地区の併合を正式に決定するための新たな法案を提出しようとしている。イスラエルの新たな法案は、「ヨルダン川西岸地区」という正しい呼称を「ユダヤ・サマリア」に公式に置き換えようとしており、これは完全併合に向けた取り組みの加速を表している。米国の政治家たちも同様の法案を提出しており、イスラエルの拡張主義に米国が加担していることを示している。イスラエルが提出した別の法案は、イスラエルの入植者たちがヨルダン川西岸地区のパレスチナの土地を合法的に「所有」できるようにするもので、入植者による植民地支配をさらに強固なものにするものだ。

2025年1月、イスラエル占領軍はヨルダン川西岸地区における国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の活動を禁止する新たな法律を制定し、人道支援さえも制限し、パレスチナ難民の危機を悪化させた。すでに施行されているこの禁止措置は、何千人ものパレスチナ難民の医療、食料配給、教育など必要不可欠なサービスへのアクセスに深刻な影響を与える。UNRWAの活動禁止は既存の人道的大惨事をさらに深刻化させ、すでに脆弱なコミュニティが重要な支援を受けられなくなると同時に、イスラエルによるさらなる強制移住と併合計画を促進することになる。

国際的共謀と暴力の激化

この危機は米国の全面的なバックアップのもとに起きている。トランプ政権はイスラエル占領軍に何十億ドルもの軍事援助を提供し続け、こうした攻撃に使われる武器や機械に資金を提供している。その一方で、トランプとその同盟国はヨルダン川西岸地区の完全併合を公然と求め、イスラエルの民族浄化政策をあおっている。米国の議員たちは、パレスチナ人の連帯と抵抗を犯罪化する一方で、イスラエルの入植者団体に資金をつぎ込んでいる。
ネタニヤフ首相が訪米し、イスラエルと米国の両政府がパレスチナ人への弾圧強化への相互支持を再確認するなか、私たちは国際的な行動の必要性を強調する。イスラエルの占領と入植者による暴力がさらにエスカレートし、重要なインフラの破壊、農地へのアクセス制限の強化、重要なサービスへの攻撃により生活が破壊されることが予想される。イスラエル政府の支援を受けた入植者たちは、パレスチナの食料や水源、道路、市場を標的にし続け、パレスチナの生活と経済に対する支配をさらに強固にすると見込まれる。イスラエル軍が移動制限を強化し、パレスチナ人が建設したインフラを取り壊す中、パレスチナ人が自分たちの土地にとどまり、生活を維持する能力は組織的にむしばまれている。

国際司法裁判所(ICJ)と国連総会はヨルダン川西岸地区におけるイスラエル占領の違法性を再確認した。ICJは、イスラエルによる占領は違法であり、直ちに終結しなければならないという画期的な判断を下した。国連総会もこの決定を補強し、東エルサレムを含むパレスチナ占領地におけるイスラエルの入植地はすべて法的効力を持たず、明白な国際法違反であるとした。これらの決定は、イスラエルによるパレスチナの土地の事実上の併合を阻止するために、国際的な責任と行動が緊急に必要であることをさらに強調している。
イスラエルによるガザへの大量虐殺戦争は停戦によって一時休止したが、イスラエルの破壊は止まっていない。本格的な民族浄化作戦を続けているのだ。早急に国際的な行動を起こさなければ、さらに多くのパレスチナ人コミュニティが消滅してしまうだろう。

エリアCへの援助の除外

援助対象からC地域を除外することは、イスラエルの併合を事実上容認することになる。イスラエルや西側諸国の政府からの圧力により、国際的な援助団体はエリアCでのプロジェクトを除外し始め、イスラエルによるこの地域の支配を強化している。この排除は、イスラエルの民族浄化政策への加担を示すものであり、パレスチナ人コミュニティの強制移住を助長するものである。開発援助や人道援助は、イスラエルが課した制限によって限定されるべきではなく、むしろ併合の脅威にさらされているすべての地域におけるパレスチナ人の存在を守ることに焦点を当てなければならない。

なすべきこと

パレスチナの農民、牧畜民、農村コミュニティは、植民地化の装置から自分たちの土地を守る抵抗の最前線にいる。より多くの村が、より多くの家族が、そしてより多くの世代が抹殺される前に、世界は今、行動しなければならない。

政府

• 武器の禁輸措置を執行すること:各国政府は、武器禁輸の法的義務を遵守し、イスラエルの占領に対するすべての軍事的・財政的支援を停止しなければならない。
• 国際的な法的裁定を実施する:各国政府は、イスラエルの主権を認めず、イスラエルの占領に法的制裁を加えることによって、国際司法裁判所判決と国連総会決議を支持しなければならない。
イスラエルによる犯罪の外交的隠蔽を止める:各国政府は、国連や国際的な法的機関における説明責任からイスラエルの占領をかばうための拒否権や政治的保護を停止しなければならない。

国際機関

• イスラエル入植者企業からの投資引き揚げ:多国籍企業、銀行、金融機関は、イスラエル企業から手を引き、入植者企業とのすべての取引を停止しなければならない。
• 企業の加担に対する法的措置を支援する:人権団体や法律団体は、土地の接収やパレスチナ人のインフラ破壊によって利益を得ている企業に対して訴訟を起こさなければならない。
脅威にさらされたコミュニティへの直接援助:人道支援団体は、のパレスチナ人コミュニティーへの直接資金援助を優先し、併合を助長するイスラエルの制限を拒否しなければならない。

市民社会

市民の圧力を結集する:草の根組織は、国民の意識向上キャンペーン、抗議行動、ロビー活動を強化し、政府の占領加担に対する責任を追及しなければならない。
• ボイコット、投資引き揚げ、制裁(BDS):市民社会運動は、イスラエルの入植者植民地主義に加担する企業や団体を標的にしたBDSの取り組みを拡大しなければならない。
保護的プレゼンスを提供する:国際的な活動家と連帯運動は、差し迫った強制移住に直面しているパレスチナ人コミュニティにおいて、保護的存在のイニシアチブを強化しなければならない。

(出典)国連人道問題調整事務所(OCHA)、食糧安全保障クラスター、シェルター・クラスター、ヨルダン川西岸保護コンソーシアム、植民地化と分離壁抵抗委員会、UAWC

原文(英語)はUAWCウェブサイトからご覧いただけます。

オリーブの木は「スムード」のシンボル

2025年2月12日
右からオリーブ生産者イスマイル・ハモデーさん(アル・ザウィヤ村)、 PARCスタッフのモハマド・ヒミダットさん、イマン・イマルさん

オリーブオイルの産地、ヨルダン川西岸地区(以下、西岸地区)ではなだらかな丘陵地帯に広がる農地の54%に1,000万本以上のオリーブの木が植えられています。パレスチナを含む地中海東岸のレバント地方はオリーブの原産地であり、紀元前4千年頃からオリーブの木が栽培されてきたと言われています。食用はもちろん、薬用や美容、石けん原料として、またかつては灯火用としても活用され、パレスチナ人の生活になくてはならないものです。

畑に立ち入ることすらできない

西岸地区は1967年に起きた第三次中東戦争以来、イスラエル軍撤退を求める国連安保理決議242号にもかかわらず、半世紀以上にわたりイスラエルの軍事占領下にあります。現在、70万人以上のイスラエル人入植者が住んでおり、パレスチナ人への暴行やオリーブの木を引き抜いたり、燃やしたりする破壊行為を日常的に引き起こしてきました。イスラエル軍によるガザ地区のジェノサイドが始まった昨年10月7日以降、西岸地区でも状況は悪化し、2024年12月初旬までにイスラエル軍の攻撃等による死者は964人、負傷者は15,000人以上、また、入植者によるパレスチナ人への攻撃は2,500件以上にのぼります。人的被害だけではなく、2024年だけで21,000本以上の木(そのほとんどがオリーブ)が抜かれました。

たまたま年1回の収穫時期がガザ地区のジェノサイド勃発と重なってしまった2023年は、分離壁の反対側の農地への立ち入りが許可されなかったり、入植者の暴力を恐れ入植地近くで収穫ができず、約40%のオリーブ畑で収穫ができない状況でした。2024年もその状況は続いています。オリーブを主要な収入源としている10万世帯の農民にとって、経済的に大きな打撃です。

分離壁の反対側のオリーブ畑に入る許可を待つ生産者たち(ダイル・アル・グスーン村)

オリーブの木が攻撃される理由

なぜ、イスラエル軍や入植者は生産者やオリーブの木を攻撃するのでしょうか。オリーブオイル出荷団体、パレスチナ農業復興委員会(PARC)のフェアトレード事業会社であるアル・リーフ社代表のサリーム・アブガザレさんは「恐怖をパレスチナ人に植え付け、パレスチナ人が土地を離れるように仕向け、入植地を拡大する戦略としてオリーブを攻撃するのです。実際、現在の入植地のほとんどが、かつてはオリーブ畑でした」と言います。背景には、3年間放置した畑はイスラエルに合法的に接収されてしまうという法律があります。

オリーブの木は何千年もパレスチナ人がこの地に生きてきたことの証、パレスチナ人がこの地に根を下ろしていることのシンボルです。だからこそ、イスラエル軍や入植者はオリーブの木を攻撃し、引き抜こうとするのです。長年、占領下にあってオリーブの木は忍耐強く土地に留まり、占領に抵抗すること、すなわち「スムード」(アラビア語で忍耐、抵抗を意味する)のシンボルとなっています。

購入は生産者へのメッセージ

もう一つの出荷団体、パレスチナ農業開発センター(UAWC)代表のフアッド・アブサイフさんは「オリーブオイルは世界とつながるツールです。日本の人がパレスチナのオリーブオイルを買うことで、パレスチナのことを忘れていない、常に関心を示し、心配しているという生産者へのメッセージになります。日本の消費者にとっては1本のオリーブオイルかもしれませんが、それは日々困難に立ち向かいながら、祖先が暮らしてきた土地に留まり、命懸けでオリーブの木を守っている生産者の闘い、スムードへの大きな支援です」と話します。


ヨルダン川西岸地区の農民や人びとが日常的に直面する困難も、根本にはイスラエルによる軍事占領があります。国際法に従って軍事占領を終わらせない限り、オリーブ生産者が平和に暮らすことはできないことを痛感しています。ATJは媒介者としてモノ(オリーブオイル)に現地の状況や生産者の声、背景にあるコト(パレスチナ問題)をしっかりと乗せて伝えることで、多くの人にパレスチナ問題に関心をもってもらい、ガザ地区の封鎖や西岸地区の占領に終止符を打つ世論を形成していくことも重要な役割、責任だと実感しています。

オリーブ生産者アメル・ガベムさん(ダイル・アル・グスーン村)

小林和夫(こばやし・かずお/ATJ)