食のギャラリー/コーヒー「ホットコーヒー春夏③」

2024年4月18日

食のギャラリー/コーヒー 「ホットコーヒー&カフェオレ春夏向け」

2024年4月17日

食のギャラリー/オリーブオイル「ラタトゥイユ」

2024年4月16日

和風ガスパチョ

2024年4月15日

食のギャラリー/オリーブオイル「和風ガスパチョ」

2024年4月12日

食のギャラリー/エコシュリンプ「洋風茶わん蒸し ビスクソースがけ」

2024年4月12日

洋風茶わん蒸し ビスクソースがけ

2024年4月12日

エビトースト

2024年4月12日

【バナナニュース349号】動画『バランゴンバナナは友情の証』 ~ネグロス島生産者からのメッセージ~

2024年4月2日

バランゴンバナナの民衆交易発祥の地、フィリピン・ネグロス島の生産者3名をインタビューしました(動画:約11分)。

民衆交易当初からの生産者サミュエルさんと、農家2代目の若手生産者ライリーさんは、ネグロス島の中部にそびえるカンラオン山の麓にある産地ラ・グランハの生産者です。

もうひとりは、ネグロス島の北西部に位置する産地ランタワンの女性生産者ルイサさんです。ルイサさんが所属する生産者協会では多くの女性生産者が活躍しています。

ルイサさん

「バランゴンバナナは生産者と消費者をつなぐ架け橋です。交易にとどまらずそこには友情があり、バランゴンの向上と成功のために一体となっています。」とサミュエルさん。生産者それぞれが思う民衆交易について話してくれました。

ぜひ、ご覧ください!

————————————

よろしければ、このニュースを読んだ感想をお聞かせください。
生産者へのメッセージは生産者に伝えていきます。よろしくお願いいたします。
なお、すべての質問項目に関してご回答は任意です。

つながる、共感する、支え合う ~民衆交易フォーラム報告〜

2024年3月18日

2023年10月8日(日)、連合会館(東京都千代田区)にて民衆交易フォーラムを開催しました。民衆交易の開始から30年以上の年月を経て、生産者、消費者を取り巻く社会情勢、経済状況なども変わってきました。

あらためて、オルタナティブな貿易の仕組みとして、民衆交易がどのように始まり、どのような経過をたどって現在に至っているのかを振り返りつつ、今いる私たちがお互いに現在の状況を共有し合い、これからの民衆交易を一緒につくっていくため、本フォーラムを企画しました。

フォーラムには会場122名(フィリピン、インドネシア、パレスチナ、パキスタン、ネパール、韓国からの海外参加者24名を含む)、オンライン39名、計161名もの方にご参加いただきました。

午前の報告の部では、これまでの民衆交易の歩みをまとめた動画「ATJの歩みと商品紹介」上映の後、行岡良治氏(現・一般社団法人グリーンコープ・ワーカーズ・コレクティブ連合会顧問)による民衆交易が始まった経緯のお話に次いで生産者側より各商品の交易の歩み、そして日本と韓国の生協団体から民衆交易や産地交流の取り組みを発表してもらいました。

<報告内容>

・バランゴンバナナ、マスコバド糖:ノルマ・ムガール氏(オルタートレード・フィリピン社 ATPI)
・エコシュリンプ:ハリー・ユリ・スサント氏(オルタートレード・インドネシア社 ATINA)
・パレスチナのオリーブオイル:サリーム・アブガザレ氏(パレスチナ農業復興委員会PARC ※ビデオ報告)
・パレスチナのオリーブオイル:カレッド・ヒデミ氏(パレスチナ農業開発センター UAWC ※ビデオ報告)
・パプアのカカオ:ハンス・ルマロペン氏(カカオキタ社)
・パルシステム生協連合会:松野玲子氏
・生活クラブ生協連合会:伊藤由理子氏
・グリーンコープ生協連合会:日高容子氏
・韓国PTCoop:アン・ミンジ氏(韓国生協の取り組み)

▼「ATJの歩みと商品紹介」

午後は8つの小グループに分かれて交流しました。各グループには産地からの参加者が加わり、生産者、消費者からの質問にそれぞれ答える形で交流しました。折しも前日(10月7日)ハマスとイスラエルによる武力衝突が起き、それを受けて最初にUAWC代表のフアッド・アブサイフ氏よりパレスチナ情勢について報告がありました。イスラエル占領下での人権侵害や武力衝突によるガザ地区での被害を危惧するコメント、国境封鎖のおそれがあるため早急に帰国しなければいけないという説明に参加者はパレスチナの人びとが直面する困難に心を痛めました。

参加者からは「民衆交易の歩みを知ることができた」、「産地の皆さんと直接お話でき、他の日韓生協の取組みや理念を伺うことができて有意義だった」、「たくさんの出会い、気付き、交流に感謝したい」との感想が多数寄せられました。

多くの方が印象に残ったとコメントしたのが、行岡氏の報告でした。

▼民衆交易が始まって間もない頃の苦労やその覚悟など、初期から関わってきた行岡氏による当日の報告が動画でご覧いただけます。

・「マスコバド糖の交易はよいことだけではない。悲惨な状況を憎みゲリラとなった兄や姉の銃に化けるかもしれないが、子どもたちが死んでいるのだから、それでもやるのだ」というお話に大変感銘を受けました。背筋がより伸びましたし、そこまで覚悟してやっていたのだなと、とても感動しました。

・現地視察に行った組合員理事は、現地の子どもが紙袋のように軽いことに衝撃を受けて、「もっと何かできることがあるはず」と考えて、バランゴンバナナを取り扱うことになったというのも心に残りました。

・「フェアトレードがまずモノありきで行われる貿易であるのに対し、民衆交易はまず人ありきで、人との連帯から始まる」という言葉がすとんと腑に落ちました。

パレスチナの状況を懸念する感想もご紹介します。

・パレスチナのフアッドさんの発言には涙してしまいました。ひとりひとりの顔が見えることで、その後のニュースが本当につらいですが、顔が見える交流はとても大事なことであると再認識しました。

・パレスチナ問題は、あまりにも複雑すぎるような気がして、正直、私は避けてきました。けれど、同じ空間にいる彼からのお話が衝撃的で、目を背けてはいられないという気持ちになりました。帰宅してニュースを見ると、他国がパレスチナかイスラエルのどちらかを非難するというような報道がされていました。それらの報道からは、フォーラムで発言されたような、地域に根差してふつうに暮らしを営んでいる市民のことを感じ取ることはできませんでした。今回のフォーラムに参加していなければ、もっと表面的なものの見方しかできていなかったかもしれません。私自身も関心を持ち続けておきたいと思います。

フィリピンの参加者から「民衆交易が世代を超えて続いていくために、このようなフォーラムが継続的に行われ、成果と課題が共有され、次世代も民衆交易に関わっていくことができるよう願っています。」とのコメントがありました。今後も生産者と消費者が顔を合わせて交流するこのような機会を作り、民衆交易の輪を広げていきたいと考えております。

【動画】エコシュリンプを支える「監査人」

2024年3月7日

エコシュリンプ産地の今を伝える動画の第四弾のご紹介です。

エコシュリンプが決められた養殖基準に沿って育てられているかどうかを確認していく監査人の仕事は、 縁の下の力持ち的なポジションなので目立つことはありませんが、おいしくて安心安全なエコシュリンプを届けるために非常に重要な役割を担っています。

<監査人の仕事>

日が昇り、今日もイスマイルさんの1日が始まります。バイクにまたがり向かう先は養殖池!

今回の舞台であるピンラン県には、イスマイルさんを含む3名の監査人がいて、その3名でピンラン県にいる 約1000名の生産者を監査しています。1日3名ほどの養殖池を回り、日々監査を行っています。

監査人は、生産者と養殖方法について話し合い、よりよい養殖ができるようサポートも行っています。 生産者の頑張りだけでなく、監査人のサポートもあってこそのエコシュリンプなのです。

2人の娘のお父さんでもあるイスマイルさん。

続きはぜひ動画でご覧ください▼▼

エコシュリンプ産地の今を伝える動画は、今後も定期的に配信予定です。 次の動画も楽しみにお待ちください!

第一弾は、こちらから→ 粗放養殖ってどんな養殖?生産者が語る、その難しさやこれからの課題

第二弾は、こちらから→ エコシュリンプ生産者に聞いてみた!~課題や悩み、イマドキの養殖事情~

第三弾は、こちらから→ エコシュリンプの若手生産者にインタビュー!inインドネシア・スラウェシ島~

エコシュリンプ産地の今を伝える動画は、今後も定期的に配信予定です。次の動画も楽しみにお待ちください!

▶エコシュリンプとは?

【バナナニュース348号】父親としての責務を遂行せよ

2024年3月5日

ATPIスタッフ来日③

前号までの記事はこちらから→

フィリピンからスタッフが来日!① 

フィリピンからスタッフが来日!②

先月号に続き、今号も昨年11月に来日したオルタートレード・フィリピン社(APTI)スタッフのアーウィン・ソラノさんの紹介です。バランゴンバナナの民衆交易では、フィリピンの4つの島から約3,000名の小規模生産者があちこちに点在する圃場で栽培・収穫して、皆様にお届けしています。

山奥でも生産者がいる集落があれば集荷に行くので、バナナの管理は極めて地道で労力がいる作業です。出荷責任者であるアーウィンさんはネグロス島在住ですが、他の島の産地に年5~6回ほど出張して現場を確認する必要があり、品質や物流に問題が発生すれば更に訪問します。それに加えて日本に来ることもあり、1年に3~4ヵ月は家を空けることになります。パートナーは中東へ出稼ぎに出ており、アーウィンさんの出張中は、小学生の子どもたち二人は同居している義父母と一緒に過ごしています。

そんなアーウィンさんは、子どもたちへのお土産選びを「父親としての責務」と称していました。子どもたちと一緒にいられなくとも、遠距離出張だからこそできる重要な家族サービスと位置付けているようです。

一緒にミンダナオ島に行った際に、ほとんど毎晩家族と電話したり、熱心に子どもたちのお土産を選んだりしているのを見ていたので、昨年の来日の際には、不在の寂しさを拭えるような素敵なお土産を自然と一緒に探したくなりました。怪獣のフィギュア1つでも横浜、渋谷、池袋を回り、納得のいくお土産を見つけました。

ATJバナナ担当:小島

PARCによるガザ救援活動報告

2024年3月1日

ガザ地区で緊急救援活動を展開しているパレスチナ農業復興委員会(PARC)より、これまでの支援の実績報告が届きました。

図にあるように、50万人を超えるたくさんの人びとに食料や飲料水、生活必需品などを配布しています。こうした活動は複数の国際NGOからの資金援助を受けて行っています。

ガザも冬となり、寒い日々が続いています。特に家を追われて避難生活をしている人びとに対してはテントや毛布、衣服なども支給しています。

(注)食料引換券:指定された店から一定額の食料品を引換できる電子バウチャー。商店に在庫があった戦争初期にPARCが被災者に配布したもの。 

一方で、ガザ地区の食料事情は危機的な状況です。

国連人道問題調整事務所(OCHA)調整部長、ラメッシュ・ラジャシンハム氏は2月27日、国連安全保障理事会でガザ地区の食料事情について報告しました。報告のタイトルは、「停戦がなければ、ガザの飢饉は『ほぼ不可避』だ」という衝撃的なものです。以下、報告の要点をまとめました。

  • 軍事行動、治安の悪化、必要物資の搬入・搬出の大幅な制限によって、食料生産と農業は壊滅的な打撃を受けている。
  • ガザで長い間、重要な栄養源であり収入源でもあった漁業は、10月7日以降、出漁が禁止されている。戦争によって家畜の命も奪われ、もうひとつの重要な食料源と収入源が失われた。
  • 電気、燃料、水などの必要物資の不足により、食料生産は事実上停止状態にある。10月7日以前にガザで稼働していた5つの製粉工場は、11月に入ると操業を停止した。
  • 小麦粉、卵、乳製品といった商品は、ガザではほとんど入手できない。一方で入手可能な商品の価格は法外な水準にまで高騰している。
  • ガザ北部の2歳未満児の6人に1人が急性栄養失調と消耗症に苦しみ、ガザの全人口が、生き延びるためには極めて不十分な人道的食料支援に頼らざるを得ない状況に置かれている。
  • 電力・燃料の供給停止により水道施設が機能せず、食料生産と栄養失調、病気の予防に不可欠な水へのアクセスに大きな影響が出ている。
  • ガザ地区では、子どもたちや妊娠中・授乳中の女性の栄養不良が急増しており、特に深刻な問題となっている。さらに、慢性的な過密状態、適切な住居がなく寒さにさらされていることが栄養不足に拍車をかけ、大規模な疾病の流行を引き起こす条件を作り出している。

(原文)Mr. Ramesh Rajasingham updating the Security Council on food security risks in Gaza | United Nations Office for the Coordination of Humanitarian Affairs – occupied Palestinian territory (ochaopt.org)

こうした危機的な状況下でPARCの支援を待つ人がたくさんいるはずです。しかし、ガザ地区内で食料や物資を調達することはますます困難になっています。そのため、PARCは隣国ヨルダンのNGO (Jordan Hashemite Charity Organization)と連携して、ヨルダンを経由して西岸地区からガザ地区へ物資を搬入する手段を模索しています。この計画が一刻も早く実現することを切に祈ります。

広報室 小林和夫

食のギャラリー/マスコバド糖「ジンジャーエール」

2024年2月27日

食のギャラリー/マスコバド糖「きな粉ボール」

2024年2月20日

食のギャラリー/マスコバド糖「大学芋」

2024年2月20日

「ガザの飢餓を止めろ」キャンペーン報告②

2024年2月13日

パレスチナ農業開発センター(UAWC) 2024年1月28日 

イスラエルによる大量虐殺が始まって113日がたちました。死者の数は27,000人、負傷者は7万人を超えました。なかでも最も被害を受けたのは、最も弱い立場にある子どもたちと女性です。ガザ地区の状況は、イスラエル軍による封鎖によってさらに悪化しています。

封鎖によって、食料、清潔な水、医薬品といった必要不可欠な資源の入手が著しく制限され、今や200万人以上のパレスチナ人が、深刻な飢餓に直面しています。

こうした状況下でUAWCは、人道危機を少しでも和らげるため、活動を継続しています。

《活動進捗と成果》

キャンペーンでは食料パックや食事、野菜、衛生用品、衣料品など、さまざまな物資を合計84,000人もの人びとに届けました。

  • 食料や水:合計5,000個の食料パックを困窮した5,000世帯に届け、7,000世帯以上に毎日の食事を提供しました。また、15万人以上に水を配給しました。
  • 衣類と衛生用品:衣類と衛生用品をそれぞれ1,000世帯に提供しました。
  • 病院支援:地域医療を強化するため、ラファとハンユニスにある病院に食事を提供し、医療スタッフと患者の双方を支援しました。

このキャンペーンは、ジャバリア、ハンユニス、ガザ市の3つの地域に集中して行われ、援助を最も必要としている人びとに確実に届くようにしています。
この他に、約4,000人の羊農家に、家畜の飼料を支援しました。

《支援継続に立ちはだかる壁》

「ガザの飢餓を止めろ」キャンペーンは、現在、大きな困難と課題に直面しています。
封鎖と戦争により食料、水、医薬品など命を支える重要な物資は驚くほど不足し、急速に減少しています。また、高い需要に対して供給が全く追い付かない状況下で、これらの物資の価格が高騰しています。キャンペーンは物資を確保する困難に直面し、たとえ入手できる可能性があっても非常に高い価格で調達せざるを得ません。さらに、イスラエル軍の継続的な爆撃が、支援物資を配布したり受け取ったりする人々の安全を脅かしています。

戦争が長引き、封鎖によって救援物資がガザに搬入することが認められなければ、人道危機がさらに深刻化することは明白です。現在ある物資は、ほとんどが戦争前にガザ地区内で備蓄されていたものですが、急速に枯渇しています。物資を補充できないことは、住民の命に重大な脅威をもたらします。特にガザ地区の中部と北部では、住民の飢餓が憂慮すべきレベルに達しています。

食料不足の状況は、キャンペーンがなし得る能力をはるかに超えており、被災した人びとの緊急かつ膨大なニーズにすべて応えることは非常に難しい状況です。人びとが希望を持てず、支援も絶対的に不足しているガザ地区において、皆さまからのご寄付が支えるUAWCの活動は単に物質的な支援だけでなく、被災した人びとへの精神的支援にもなっています。希望と物質的なニーズが少しでも人びとに行き渡るようUAWCはその使命に全力を尽くす所存です。

……………………………………

<募金報告>

これまでに寄せられた支援金額は3,200万円を超えました。UAWC及びもう一つのオリーブオイル出荷団体であるパレスチナ農業復興委員会(PARC)には、これまでに各1,500万円を送金し、支援活動に活用されています。

オンラインセミナー「パレスチナのオリーブ生産者は今」報告

2024年2月9日

2023年10月7日のハマスによる越境攻撃をきっかけに始まったイスラエル軍によるガザの大量破壊・ジェノサイド攻撃は4ヶ月に及び、ガザ地区では多数の死者、負傷者が出ています。また、食料や水、電気、燃料、医薬品が極度に不足し、ほとんどの住民が避難生活を強いられているガザ地区の深刻な状況はメディアでも報道されています。

その一方で、ATJオリーブオイルの産地であるヨルダン川西岸地区の緊迫した状況はかなか情報が届きません。収穫期を迎えたオリーブの産地はどうなっているのか。産地や生産者の現在を伝えるため、ATJと姉妹団体のAPLAは12月13日(水)にオンラインで現地とつないで、「パレスチナのオリーブ生産者は今」を開催しました。パレスチナとの時差(7時間)のため、19時から21時という遅い時間帯での開催にもかかわらず、278名(事前登録者数は409名)の方々にご参加いただきました。

以下、報告の要旨をまとめました。

1)ヨルダン川西岸地区の人びと、農民が置かれている一般的状況について

パレスチナ農業開発センター(UAWC)代表 フアッド・アブサイフ氏

1993年に交わされたオスロ合意に基づき、ヨルダン川西岸地区はA、B、Cの三つのエリアに分かれた。このうち、面積の60%以上を占め、行政も治安もイスラエルが実権を握るエリアCには、イスラエル人入植者70万人、パレスチナ人30万人が住んでいる。オリーブ生産者のほとんどがこのエリアCに住んでいる。

エリアCに建設されている高さ11メートルの分離壁(現地ではアパルトヘイト壁と呼ばれている)は全長750キロに及び、パレスチナ人の家族や土地を分断している。自由に移動することが難しく、教育や医療へのアクセスといった基本的なことさえままならない。

また、オリーブ生産者はイスラエル軍や入植者の日常的な暴力にさらされてきた。2023年は暴力が増え、23年上半期には591件、10/7以降は毎日40-50件の暴力事件が発生し、オリーブ生産者はほぼ移動できない状況である。

2)2023年10月7日以降の西岸地区の状況及びオリーブ収穫について

アルリーフ社(パレスチナ農業復興委員会・PARCのフェアトレード事業会社)代表 サリーム・アブガザレ氏

パレスチナには900㎢もの土地にオリーブの木が植えられているが、入植者にオリーブの木が抜かれたり、農民への暴力が起きていた。例年10月-11月が収穫期だが、2023年はガザ地区での紛争と重なってしまった。入植者による収穫中の農民への280件もの攻撃、また、オリーブを運搬する車両を燃やす事件が起きている。10月28日には、アル・サウィヤ村で収穫中の農民、ビラール・サーレフ氏が入植者によって銃撃され、亡くなった。

収穫ができなかったオリーブはオイルにして1500トン相当、金額にして1050万ドルもの大きな損失が出た。自分の土地にとどまり、オリーブを収穫するという当たり前の権利が奪われてしまった。

3)オリーブオイル民衆交易事業の意義について

○ フアッド・アブサイフ氏
フェアトレードは生産者の暮らしを支える大切な取り組みだ。だが、パレスチナのオリーブは他の産地、商品とは違った重要性がある。生産者はイスラエル占領下で貧しくされた小農民で、入植者の暴力によって常に危険にさらされている特殊な状況下でオリーブを生産している。生産者、労働者、消費者にとって公正な価値、価格で取引されるべき。民衆交易は農民がオリーブ生産を続けることを保証し、尊厳を保ち続けるために非常な重要な手段である。
 
○ サリーム・アブガザレ氏
この21年間、日本や韓国の消費者からは遠いパレスチナからオリーブオイルという商品だけでなく、占領下に住む人びとの物語も伝えようとしてきた。パレスチナ人が農業や土地を愛し、土地にとどまり、耕し続け、質の良いオリーブオイルを生産し、消費者に届けたいという農民の姿もその一つだ。

この後、UAWCフアッド・アブサイフ氏、PARC事業部長のイザット・ゼダン氏より、ガザ地区・ヨルダン川西岸地区における緊急支援の進捗報告がありました。報告内容は両団体のこれまでの報告と重なりますので、以下の報告をご覧ください。

パレスチナ・ガザ地区で緊急支援物資配布が開始されました。

「Stop Gaza Starvation(ガザの飢餓を止めろ)」支援進捗報告

▼セミナーの様子はこちらよりご覧いただけます。

また、報告のうち西岸地区の一般的及び10月7日以降の状況、及びオリーブオイル民衆交易の意義を語ってくれた部分を20分程度のダイジェスト版にしました。ぜひ、ご覧ください。

セミナー後にご記入いただいたアンケートには、「現地の声を、当事者の言葉で、直接聞くことができてよかった」、「メディアからは分からないパレスチナでの現状、現実を知った。パレスチナ問題が身近になった」、「一刻も早い停戦のために自分にできることをしたい」、「ヨルダン川西岸地区ではこれまでも日常的にイスラエル軍や入植者による暴力行為があり、10月7日以降増加していることを初めて知った」、「困難な状況下で栽培されているオリーブオイルを利用することで、少しでも力になりたい」、「国は関係なく、人と人がつながる民衆交易の大切さを改めて感じた」、「胸が張り裂けそう。安心してオリーブオイルが生産できる平和な日が一日も早くきますように」、「救援カンパにも協力したい」といった感想、現地へのメッセージが多数寄せられました。

中でも印象的な感想、メッセージをご紹介します。

<感想>
「私たちが購入することで、不戦の意思表示をし続けたいと思います。」
「土地を奪われ傷つけられ、その加害者は正当に裁かれない。人としての尊厳が奪われている中、オリーブオイルを通して、パレスチナの誇りを届けて下さっているのだと思いました。」
「暴力におびえながらの農作業、命がけでオリーブを収穫している姿を目に焼き付きました。決して忘れることなく、心に留めます。そしてオイルをありがたくいただきます。」
「人は数であらわすものではなく、ひとりひとりに名前があり生活があることを繰り返しメッセージと
して伝えておられたことが印象に残りました。」

<現地へのメッセージ>
「オリーブの収穫寸前での攻撃に心がズタズタに切り裂かれてしまったことかと思います。どうかご無
事で。日本でみなさんのオリーブオイルを待っている組合員がたくさんいます。希望を失わないでく
ださい。」
「様々な攻撃、妨害がある中で、土地を愛し、耕し続け、その結果であるオリーブオイルを世界に届けていることは、大変勇敢な戦いであるのだと思います。」
「迫害や暴力により恐怖と不安の日々の中、私たちにオリーブオイルを届けてくれています。救援カン
パはもちろんですが、命がけで作ってくれたパレスチナのオリーブオイルを利用することもずっと続
けていきたいです。」
「私たちが民衆交易を続けることが強く平和を祈り、暴力に抗議する力になると信じます。」
「日々、報道されるパレスチナの状況に心を痛めながらも、今、何ができるか、焦燥感に駆られていました。当面、PARC、UAWCを支援することに努めたいと思います。」

パレスチナのオリーブオイルをATJに紹介し、パレスチナとの連帯のきっかけを作って下さったコリン・コバヤシさん(フランス在住の美術家・著述家・ジャーナリスト)にもご参加いただき、現地へのメッセージを頂きました。
「1日も早く戦争を終わらせて、古来から悠久に続いていたオリーブ生産が安心してできる日が来るのを心から祈ります。そのためには、パレスチナーイスラエル紛争の根源的な解決が不可欠です。皆さんの勇敢で強い意志に敬服し、心から声援を送ります。」

感想、メッセージをパレスチナの報告者の方々に伝えたところ、「コメント、ご支援・ご理解に励まされました。皆さんの連帯は私たちにとってかけがえのない貴重なものです」との返事がありました。

今後も現地の状況について適時、報告してまいります。

広報室 小林和夫

パレスチナでオリーブを栽培し続けるということ ―オリーブオイル民衆交易の意義

2024年2月8日
UAWCが建設した農道

パレスチナでは、4000年以上も前からオリーブの栽培が行われてきており、オリーブは文化の象徴でもありますが、そのオリーブの木がイスラエル軍や入植者に焼かれる、根こそぎにされるということが起きています。

守られぬ合意、継続する暴力

1967年、第三次中東戦争でイスラエルがパレスチナを軍事占領して以来、ヨルダン川西岸地区ではイスラエル人の入植が増加し、多くのパレスチナ人が土地を追われました。1993年にようやく和平交渉が始まり、イスラエルとパレスチナはオスロ合意にて、ガザ地区およびヨルダン川西岸地区の一部におけるパレスチナの段階的自治を定めました。

しかし、その後もパレスチナ自治区へのイスラエル人による入植は続いており、2023年末時点では、オスロ合意以前の3倍以上の土地が占有されています。イスラエル人は入植をするだけではなく、パレスチナ人による反発がおきても鎮圧できるようにイスラエルとの分離壁をパレスチナ人の土地の中に建設し、さらに検問所を設けることで、パレスチナ人の移動を制限しました。

オスロ合意によって、ヨルダン川西岸地区はA、B、C地区に分類されました。A地区はパレスチナに行政権と警察権がありますが、B地区では行政権だけ、C地区では行政権と警察権はイスラエルが握っています。分離壁やフェンスがいたるところにあるC地区に住むパレスチナ人は、自分の農地に行く時にも壁の所々に設けられているゲートでチェックを受けます。言われなき理由で通行できない日もあり、移動には大きな困難が伴います。

ガザ地区と西岸地区を合わせたパレスチナ全体の31%は農地で、そのうち54%がオリーブ畑です。C地区には、ほぼ全域にオリーブの木が植えられています。オリーブ以外にもアーモンドやデーツ(ナツメヤシの実)など多くの農産物がパレスチナの土地で生産されています。

そうしたパレスチナの農業と農家を支援するために、PARC(パレスチナ農業復興委員会)とUAWC(パレスチナ農業開発センター)がそれぞれ 1983年、1986年に設立されました。PARCはアル・リーフ社、UAWCはマウント・オブ・グリーン社という事業会社を設立し、オリーブを含めたパレスチナで収穫される農産物や農産加工品のフェアトレード事業にも取組んでいます。オルター・トレード・ジャパンは、この2つの事業会社からオリーブオイルを輸入しています。

自分たちの土地を守る

パレスチナの人びとは、自分たちの土地を守るために、農地を開墾します。そして人びとは今でも年間1万本のオリーブの木を植え続けています。開墾されておらず使用されていない土地は、イスラエルによって接収が正当化されるからです。

PARCやUAWCでは、農地を持続的に管理するための農道の建設や井戸の修復、灌漑用水路の維持管理に取組んでいます。農業に欠かせない水源の90%はイスラエルにより独占されているため、農業用水確保のために雨水を貯める大きな貯水槽や用水路の建設、また水が全くない村には水源から水をパイプで引いてくるなど、その村に合わせた方法で水の確保の支援をしています。

雨水用貯水槽の建設

しかしその努力の一方で、水源の重要性を知るイスラエルは、水源や貯水槽を意図的に攻撃し、破壊することもあります。農地へのアクセスを困難にし、水源を奪い、パレスチナ人が農地を放棄するよう仕向けます。

農村地域に住む多くのパレスチナ人は、日常的な暴力の下で生活しています。特にオリーブ収穫期の2023年10月以降、収穫間近のオリーブの実を盗む、木を伐採する、またパレスチナ人への直接的な暴力がさらに増加しています。元来オリーブの収穫は、家族総出で収穫に取り組む賑やかな年中行事です。

オリーブオイルの民衆交易は単にオリーブオイルを適正価格で購入し、生産者の生活を支える以上に意味があります。パレスチナのオリーブオイルを利用することは、パレスチナの人びとの土地を守り、文化の象徴であるオリーブとともに生き続けるパレスチナ人たちとの連帯を表明することにつながります。

鐘ヶ江良亮(かねがえ・りょうすけ/ATJ)

PtoP NEWS vol.60

2024年2月5日

PDFファイルダウンロードはこちらから→PtoP NEWS vol.60