【PtoP NEWS vol.18/2017.09】森のカカオをお届けします!from インドネシア・パプア州
収穫量は良好!
インドネシア・パプア州のカカオ産地では、去る7月に11トンのカカオ豆をチョコレートの原料にするために、二次加工所がある東ジャワ州のスラバヤへ向けて出荷しました。
振り返ってみれば、2016年はカカオキタ社が買付けをしている村々の収穫量があまり芳しくなかったのですが、今年2017年は3月ごろから収穫量が増え、半年で10トン近く(昨年は約6トン)の豆を集荷することができました。
カカオキタ社のスタッフや生産者たちは、収穫量が増えたのはある事が功を奏したと信じています。
そのある事とは、カカオの森の手入れです。そもそものはじまりは、生産者たちが「カカオに病気が蔓延した」「カカオの木が古くて実がつかない」とカカオキタ社代表のデッキーさんに訴えてきたときに、デッキーさんが「嘆く前に、まずはあなたのカカオの森をきれいにしてみたらどうですか?」と、アドバイスしたことにありました。
そして、昨年末にカカオ生産者たちと一年を振り返る話し合いをしたときに、「来年はカカオを植えている森の手入れをしよう」と約束をしたのです。
森の手入れで大変身
こうした経緯で始まった「カカオの森の手入れ作業」。ブラップ村では2月から週に2~3回の頻度で生産者一人ひとりの森(平均1~2ヘクタール)の手入れ作業をしました。20~30人の仲間総出の協働作業です。
この作業を通してわかったのは、カカオは他の樹木に混じって植えられており、鬱蒼とした森の中で太陽の光を十分受けることができず、実が腐っていたり、カビが生えてしまったりしていたことです。
またカカオ周辺の木々が行く手を遮断するように逞しく生い茂り、奥の方に植えられたカカオはそこに到達するのが大変なので、実をつけても収穫されず放置されていることも多々あるようでした。
大ナタを手にした生産者たちが森に入り、一斉に下草や周囲の木々の枝落としをすると、森は日の光を受けて、「ここにも、あそこにも、カカオがあった!」というようにカカオの木々がくっきりと浮かび上がってきたのです。
そして「カカオの森の手入れ作業」の成果があらわれたのかのように、3月からカカオの収穫量がぐっと増えてきました。
月に20日近く、カカオキタ社の軽トラックは片道2~3時間かかる産地を走りまわり、一人ひとりの生産者から豆を買付けました。
今年に入ってからはスナとオンブロップという2つの村もカカオキタ社の生産者グループに仲間入りしました。これらの村でもさっそく森の手入れ作業に着手しています。
新しい仲間にも、貯蓄プログラム(豆の売上の一部を貯金する)を紹介し、多くの生産者が民衆信託銀行で口座を開設し真新しい貯金通帳を手にしました。
生産者が育てたカカオ豆、スラバヤへ旅立ち
カカオキタ社の倉庫では、生豆で買付けたカカオを発酵・乾燥させたり、乾燥豆を追加乾燥して水分含有量を適正な値にします。
生産者が収穫したカカオ豆を良い品質で出荷できるようスタッフは倉庫に住み込みで作業を続けました。
スラバヤへの出荷の1週間前からが追い込み作業です。このときは、臨時の助っ人も含め10人の若者たちが豆の計量、袋詰め、ラベルづくり、袋の縫い付けを絶妙なチームプレーで手際よくこなしていきました。
こうしてすべての準備が整い、ラベルが縫い付けられた袋が整然と並ぶ倉庫で、カカオキタ社のスタッフは「あー、明日でこの豆たちともお別れか」とちょっと寂しそうでした。
7月18日、368袋のカカオ豆が1時間もかからずに20フィートのコンテナに積み込まれ、ジャヤプラ(パプア州の州都)の港へと向かいました。さあ、ここから森のカカオが手から手へと手渡される長い旅が始まります。
津留歴子(つる・あきこ/ATJ)
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