レポート

”和”と楽しむパレスチナのオリーブオイル

2021年12月24日

 オリーブの栽培は、地中海沿岸から始まったとされ、現在では、米国のアリゾナやテキサス、南米、アフリカ 、オーストラリアなど、世界各地で栽培されています。日本の小豆島でも、明治時代からオリーブが栽培されてきました。

地域の個性溢れるオリーブ果実から搾ったオイル

 オリーブの実をギュッと搾り、果肉から抽出した油分がオリーブオイル。菜種油やごま油など、種から油分を抽出した油は多くありますが、果肉から取れる油はあまりなく、搾りたてのオリーブオイルはジュースのようだと表現する人もいます。

 土壌や気候、風士、地理、品種などの違いにより、様々な風味、個性のオリーブオイルが存在します。ワインの世界でよく聞かれる「テロワール」という言葉。日本語で表現するのは難しい言葉ですが、その土地の気候、風土に育まれた食材、土地の味、といったような意味でしょうか。今では、ワインだけでなく、農産物、チーズ、肉などにも使われるようです。

 オリーブ原産地の一つとされるパレスチナのオリーブオイルも、その土地で育ったオリーブならではの個性があります。ATJがお届けしているオリーブオイルは、パレスチナのヨルダン川西岸地区で育てられたナバリ種を中心としたオリーブの木から収穫された実から作られます。パレスチナでは、数千年前からオリーブ栽培が行われてきたとされ、今でも人びとの暮らし に深く根付いており、毎年10月~11月はオリーブを収穫してオイルに加工する季節です。

バレスチナと日本の食文化のコラポレーション

 出来るだけ多くの人にパレスチナのオリーブオイルを味わってもらいたいときまぐれやの吉田友則シェフにご協力いただきいろいろな食べ方を提案していただきました。

けんちん汁にひとたらし

 それを試してみてわかったことは、パレスチナのオリーブオイルが和の食材と非常に相性が良いということです。先ほどのテロワールの話からすると、遠く離れたパレスチナの土地の食べ物と 日本の食材?とピンとこないかもしれませんが、この意外な組み合わせ、はまります!
 例えば、私たちの食生活で身近な調味料である醤油や味噌とも相性がいいです。けんちん汁やみそ汁にひとたらし 。

かつおのオリーブオイル漬け

 また新鮮な魚(鯛でも鰹でも鰺でも何でも)を刺身にして、パレスチナのオリーブオイルに一晩漬けこみ、翌日、醤油をほんの少したらしてお召し上がりいただくと、この組み合わせの相性の良さを感じていただけると思います。

お豆腐にも

 豆腐やしらすなど、淡泊な味のものにはコクと風味を添えてくれます。キノコやゴボウ、レンコン、茄子、ピーマンなど、えぐみやあくの強い食材にもよく合い素材の味がまろやかに引き出されて、よりおいしくいただけるように思います。また、お茶漬けにもよく合います。刺身の切り身数枚をネギなどの薬味やとろろ昆布と共にご飯の上にのせ、熱々のダシをかけたお茶漬けに 。その上に、塩、オリーブオイル、お好みで醤油をかけるとおいしさがアップします。

お茶漬け

 そして、普段の朝食、目玉焼きもオリーブの風味を添えてちょっと一味アップ。パレスチナのオリーブオイルをフライパンに熱して、ふわっとオリー ブオイルの香りが出たところで、卵をフライパンに落とし、卵の白身の端がカリカリと焼けてきたら、お皿に移し、醤油をほんのひとたらししてお召し 上がりください。パレスチナのオリーブオイルの味と香りと和の調味料 が、いい感じに混ざり、味わい深い目玉焼きになること請け合いです。是非一度、お試しください。

 パレスチナのエキストラバージンオリーブオイルは、パレスチナのオリーブの果実を搾っただけで、一切の化学的処理加工をせずに作られたオイルです。オレイン酸やリノール酸などの天然成分が豊富に含まれたままで、健康効果の高い食品と言われています。いろいろな食材と組み合わせて、味を楽しみつつ、遠くパレスチナの大地からやってきたオリーブオイルなんだ、と少しだけかの地に思いをはせていただくことができたら幸いです。

中村桃子(なかむら・ももこ/ATJ)

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