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人から人へ、手から手へ

バランゴンバナナ:産地紹介

ネグロス島から始まったバランゴンバナナの交易はより一層の品質向上、出荷の安定を目指して栽培技術の向上、輸送の改良等に取り組みつつフィリピン各地に広がっています。

 

バランゴン産地地図

 


西ネグロス州

傾斜地で栽培されているバランゴンバナナ

ネグロス島の西半分を占める西ネグロス州の人々は、イロンゴ語を話します。

バランゴンバナナを輸出しているオルタートレード・フィリピン社(ATPI)の本社は、西ネグロス州の州都バコロドにあります。

西ネグロス州の主要な産業は砂糖産業(サトウキビ栽培、製糖、精製)であり、大規模なサトウキビプランテーションが多く見受けられます。

バランゴンバナナの生産者の多くは零細農家であり、バランゴンバナナから得た現金収入は、日用品(食品・衣服・石鹸など)の購入費や子供の教育費などに活用されています。

西ネグロス州のバランゴンバナナ産地はオルタートレード・フィリピン社(ATPI)とオルタートレード・フィリピン財団(ATPF)が管理をしており、バナナ栽培や持続可能な農業に向けたサポート、生産者の暮らしの向上や持続可能な地域作りを目指した生産者の組織化及び組織強化などを行っています。

 

西ネグロス州パンダノン村

パンダノン村の生産者の皆さん

西ネグロス州の産地の一つであるパンダノン村では、2006年に生産者協会(PIBFA)を設立し、バランゴンバナナ栽培に取り組んでいます。

バランゴンバナナだけでなくサトウキビも栽培している生産者もいます。マスコバド糖用のサトウキビ栽培については、2015年に有機及びフェアトレード認証を取得しています。

バランゴンバナナ生産者は、①自分たちの家族、地域の人々の生活の向上、②有機農業の技術の向上を目指しています。また、しっかりとした組織を持つことで、政府や他の組織とも関係を持つことができ、様々なサービス、助成を受けることができています。

 

エレゼル・マガパンさん

エレゼル・マガパンさん
「バランゴンバナナからは定期的に現金収入を得ることができ、年に1回のサトウキビ収穫までの貴重な現金収入源です。

また、他の作物の買取り価格は供給が多いと安くなりますが、バランゴンバナナは価格が一定なので、期待通りの現金収入を得ることができます。日用品購入の現金収入を得るために、今後もバランゴンバナナを植え続けます。」

ロヘリオ・トラベリアさん

ロヘリオ・トラベリアさん
「バランゴンバナナから得た現金収入は、日用品の購入に充てています。バランゴンバナナ栽培の難しい点は、しっかりと手入れをしても、台風や干ばつといった自然災害で、期待していた収量を得ることができない時があることです。

また、バンチートップ病が広がると大変です。現在はバランゴンバナナの出荷数量が少ないですが、日本の消費者が産地を訪問して下さることを嬉しく思っています。」

ドローレス・セラルボさん

ドローレス・セラルボさん
「バランゴンバナナを通じて、日本の消費者と良い関係を築けています。日本の消費者が産地を訪問して下さることが、私たちの誇りです。」

 

 

 

 

 

レネボイ・ソムブリアさん

西ネグロス州パタグ村:レネボイさん

西ネグロス州パタグ村のレネボイ・ソムブリアさん。1998年からバランゴンバナナをオルタートレード社に販売を始めました。

2012年からはネグロスのオルタートレードのスタッフとしても働いており、現在は地域開発担当として他の生産者のサポートも行っています。

「オルタートレード社にバナナを販売しようと思った理由は、定期的にバナナをとりにきて集荷してくれるので、町の市場まで自分で持っていく必要がなかったからです。

また、買付時に代金を現金で支払ってくれるので、生産者にとって確かな定期的現金収入となります」と話す、レネボイさん。

 

レネボイさんの畑に行くには、険しい山道を通らなければなりません。

日常的には午前中はスタッフとしての仕事を行い、午後は自分のバナナの病害虫を予防するための袋掛け、枯葉の除去、除草などといった手入れ作業を行っています。バナナ以外にもタロイモ、パパイヤ、ココナッツやカカオなども植えています。

またレネボイさんは、水牛の糞などを利用して堆肥を作り、バナナやパパイヤに使用しています。

地域開発担当の仕事というのは、生産者協会の組織強化、担当地域でのバナナの作付け拡大、農業技術のサポートなど、多岐にわたります。また、パタグ村だけでなく、近隣の村も担当しているので出かける必要もあります。

 

強風被害でバナナの葉っぱが切れ切れになってしまうこともあります。

レネボイさんのバランゴンバナナ畑。強風被害で葉っぱが切れ切れになってしまうことも。「一度の台風で、収穫量が8割も減ったこともあります」

地域開発担当としての仕事と自分の畑での作業をいっしょに行っていくことはとても大変です。

スタッフの仕事が忙しくても、農家である以上、1日30分でも自分の畑での作業をするよう心掛けています。しかしながら野菜づくりは、手入れに手間がかかるので植えていません」と話してくれました。

「バランゴンバナナを継続的に食べていただくことが、フィリピンの生産者のサポートに繋がっています。今後もバナナを通じた関係性が継続していくことを望んでいます。これからもバランゴンバナナをよろしくお願いします。」

 

 

ボニファシオさん(左端)と家族

西ネグロス州パタグ村:ボニファシオさん

西ネグロス州パタグ村のバランゴンバナナ生産者であるボニファシオ・ビリアネリアさん(通称タタイ ・ボニン)。現在60歳で、子どもが6人、孫が9人いる元気なおじいちゃんです。

 

ボニファシオ農園の入口

バランゴンバナナ以外にきゅうり、トマト、ナス、レタス、キャベツ、白菜といった野菜も化学肥料・化学合成農薬を使用せずに栽培しています。栽培した野菜は、販売だけでなく、自家消費にもまわしています。「パタグ村は火山灰土であり、お米栽培には向かない」とボニファシオさん。そのため、お米は買っています。

 

よく管理されたボニファシオさんの畑

現金収入の約5割は野菜から得ており、バランゴンバナナからの現金収入は、全体の約2割です。

バナナは台風被害を受けやすいという難しさがありますが、ボニファシオさんはバランゴンバナナを栽培することには次のようなメリットがあると言います。

 

 

〇オルタートレード・フィリピン社(ATPI)が定期的に買いに来てくれる(パタグ村は現在隔週でバランゴンバナナの買取りが行なわれています)
〇他のバナナに比べバランゴンバナナは追熟しやすいので、自家消費しやすい
〇他のバナナに比べ作付けから収穫までの期間が短い。例えば、料理用バナナであるサババナナは、作付けから収穫まで12-14ヵ月かかるが、バランゴンバナナはここでは8-10ヶ月で収穫できる。

生産者としては、安定した売り先につながる

野菜の出荷をするボニファシオさん

ATPIはボニファシオさんから、バランゴンバナナだけでなく、フィリピン国内での販売用(The BOX)に他の農作物も購入しています。「ATPIは、バランゴンバナナ以外の農作物も毎週定期的に買ってくれるので助かります。」とATPIに感謝の言葉を述べるボニファシオさん。

野菜栽培以外にも、養豚や養殖にも取り組んでいるボニファシオさんの畑は、非常に丁寧に管理されており、驚かされます。

自家製堆肥や肥料は細かく管理されており、ゴミの分別もしっかり行っているため、畑にはゴミが全く落ちていません。フィリピンではゴミを分別する人が少ないため、ボニファシオさんの環境に対する意識の高さを伺うことができます。

 

ボニファシオさんは養豚事業も行っています。

有機農業の技術は州政府やATPIが実施しているセミナーから得ています。ボニファシオさんによると、州政府は通常、年に2回有機農業のセミナーを実施し、無料(会場までの交通費や食費も州政府が負担)で参加できるそうです。また、わからないことがあった時は、ATPIのスタッフにも相談しているそうです。

 

「有機栽培の野菜であっても、販売価格は変わりません。ただし、有機栽培の方が、販売しやすく、早く売り切れます。また、私は、生産者及び消費者の健康と安全のために、そして自家製堆肥・肥料の方が生産コストを抑えることができるので、有機農業を実践しています。」

どこに何があり何の作物が植えられているかが、看板で案内されています。

 

 


東ネグロス州

 

ネグロス島の東半分を占める東ネグロス州は、セブアノ語圏であり、最初に(1989年)バランゴンバナナのテスト出荷を行った産地です。

東ネグロス州は、山々が海沿いまで迫る土地柄であり、バランゴンバナナの多くは山間部の傾斜地などに植えられています。

 

東ネグロス州では、奥深い山の中にバランゴンバナナを植えている生産者もいます。

生産者の多くは零細農家であり、バランゴンバナナから得た現金収入は、日用品(食品・衣服・石鹸など)の購入費用や子どもの学校までの交通費などに活用されています。バランゴンバナナ以外に、ココナッツ、トウモロコシ、多品種のバナナを植えている生産者が多くいます。

東ネグロス州のバランゴンバナナ産地は、オルタートレード・フィリピン社(ATPI)とオルタートレード・フィリピン財団(ATPF)が管理をしており、バナナ栽培や持続可能な農業に向けたサポート、生産者の暮らしの向上や持続可能な地域作りを目指した生産者の組織化及び組織強化などを行っています。

 

集荷所にバランゴンバナナが運び込まれてきます。

東ネグロス州の産地のひとつであるロウアカンダボン村では、生産者がカンダボン・バントリナオ・サルバション生産者協会(CBSFA)を設立し、バランゴンバナナ栽培に取り組んでいます。

CBSFAは①組織の発展、②子どもたちを大学まで通わせる、③食べ物に不自由することなく健康に過ごし、農業を継続していくことを目指し、活動をしています。

他の産地では、ATPIスタッフが袋掛け等の栽培管理状況の確認を行っていますが、CBSFAでは、自分たちで確認をする仕組みを導入しています。

そのことで、ATPIから5ペソ(約12円)/箱の活動資金が支給され、この資金で、買付所を兼ねている集会所も建設しました。ゆくゆくは自分たちでバランゴンバナナの買付けまで行うのを目標にしています。
また、ATCのサポートを受けながら、養豚にも取り組んでおり、豚の糞尿の堆肥・肥料としての有効活用にも取り組んでいます。

 

ニコラス・パロマーさん

東ネグロス州 パロマーさん

東ネグロス州ロウアカンダボン村のバランゴンバナナ生産者であるニコラス・パロマーさん。

バナナを生産するだけでなく、ロウアカンダボン村にあるバランゴンバナナ生産者協会であるカンダボン・バントリナオ・サルバション生産者協会(CBSFA)の事務局も務めており、地域の生産者のまとめ役です。

 

バナナの集荷に参加して房分けの技術を習得中

CBSFAは、ネグロス島の生産者協会の中でも活動的です。他の産地では、オルタートレード・フィリピン社(ATPI)のスタッフが袋掛け等の栽培管理状況の確認を行っていますが、CBSFAでは自分たちで確認する仕組みを導入しています。

将来的には、バランゴンバナナの集荷をATPIに頼らずに、自力で行えるようになることを目指しています。

 

しかし、記録などを取ることに慣れていない生産者にとって、自分たちで集荷を行うことは簡単なことではありません。

ロウアカンダボン村のバランゴンバナナ生産者は、バナナの集荷を手伝いながら出荷基準を学んだり、会計や記録の取り方などを学びながら、少しずつ自分たちの目標に近づいています。

バナナの病気を防ぐために、袋がけ前に花芽を摘み取ります。

「バナナを栽培していく上で、病害は大きな課題の1つです。」とニコラスさんは言います。

化学合成農薬を使用せずに育てているバランゴンバナナにとって、病害対策で重要なのは、早い段階で病気のバナナを発見し、対処していくことです。

例えば、バンチートップ病(BBTV)と呼ばれるウィルス性の病気に感染してしまうと、株が萎縮し、成長が阻害されます。放っておくと他のバナナにも感染するので、ロウアカンダボン村では「バヤニハン」と呼ばれる近所の助け合い「結」を通じて、BBTVのバナナの早期発見・抜き取りに取り組んでいます。

 

「バランゴンバナナは農家である私にとっては、とても重要な作物です。定期的な現金収入源であるだけでなく、地域の生産者の関係強化にも繋がっています。

私たちの生産者協会は地方自治体にも認知されるようになり、自治体との協同プロジェクトなどにも取り組んでいます。今後も、バランゴンバナナを通じて、日本の皆さんと良好な関係を築いていくことを望んでいます。」

 

 

レッジ・カトゥバイさん

東ネグロス州ギフルガン市ホマイホマイ村:レッジさん

東ネグロス州ギフルガン市ホマイホマイ村のバランゴンバナナ生産者、レッジ・カトゥバイさん(37歳)。バランゴンバナナを栽培しながら、現場スタッフとして他の生産者をサポートしています。
18歳で結婚したレッジさんは、現在大学生の2人の子どもがおり、2人ともギフルガン市にある大学に通っています。

レッジさんは2011年からバランゴンバナナの集荷担当スタッフとして働き始め、その後自分でもバランゴンバナナを栽培するようになりました。

 

生協職員が生産者との交流のためにホマイホマイ村を訪問した際には、レッジさん(前列左から2人め)が現地側の企画調整を行いました。

2017年からは地域開発担当スタッフとして、他の生産者のサポートや生産者協会の組織強化などの仕事に従事しています。

ホマイホマイ村では隔週でバランゴンバナナの買付けが行なわれ、生産者にとっては定期的な現金収入源になっています。

レッジさんは、バナナからの収入を日用品の購入や大学に通っている子どものお小遣いなどに充てています。

 

 

バナナの脇芽を調整するレッジさん。1本のバナナから実を収穫できるのは1回だけです。脇芽が大きくなって次の実をつけます。脇芽は複数出てきますが、ATPIは多くを残さないように管理を奨励しています。

「バランゴンバナナは気候や病害の影響を受けやすいです。

2012年の台風パブロ(台風24号)では、植えていたバランゴンバナナの約7割が倒れてしまい、残ったバランゴンバナナも強風により葉っぱが切れ切れになってしまいました。

また、台風後はシガトカ病(バナナの葉の病気)が拡がり、その結果バランゴンバナナの収量は激減してしまいました」と、バランゴンバナナ栽培の難しさを話すレッジさん。

その後レッジさんはシガトカ病対策に取り組みました。感染したバナナの葉は除去し、バナナの株周辺の除草も行いました。

バナナを植える間隔が狭すぎるとシガトカ病が拡がりやすいので、植え付ける株の間隔にも気をつけました。その結果、現在はほとんどシガトカ病にかからなくなったとのことです。

「わたしにとってバランゴンバナナは現金収入源だけではありません。ATPI(オルタートレード・フィリピン)が実施している技術研修などに参加することで、農業技術なども学ぶことができました。バランゴンバナナは私の家計の大きな助けになっていますので、今後もバランゴンバナナ民衆交易が続いていくことを望んでいます。また、スタッフとして、他の生産者をサポートし、新たにバランゴンバナナを植える生産者を増やしていけるよう、努力をしていきます。」


パナイ島

バランゴンバナナ産地には水田も多く見受けられます。

パナイ島は1993年からバランゴンバナナを出荷している産地です。

島の主要産業は漁業、稲作などであり、バランゴンバナナ生産者の多くは零細農家であり、零細漁業も営んでいる生産者もいます。

 

2013年に上陸した台風ヨランダ(台風30号)では、パナイ島のバランゴンバナナは壊滅的な被害を受け、1年近くバナナを出荷することができませんでした。その後、日本の消費者の皆様などからの義援金で復興に取り組みましたが、台風や干ばつといった度重なる天候被害があり、バランゴンバナナを安定して出荷できるようになったのは、2015年後半になってからです。

 

カーレス町ではバランゴンバナナの苗づくりにも取り組んでいます。

バランゴンバナナの出荷責任団体であるPARTNERS(Partners for Rural Upliftment and Sustainable Farming, Inc:農村開発と持続可能な農業のためのパートナー)は、食料主権が守られ、経済的に自立した持続可能な地域を作っていくことを目指しており、そのために、生産者の組織化、伝統的な農法と新しい農法との融合などに取り組んでいます。

 

カーレス町の生産者たち。ロベルトさんは右端。

カーレス町のバランゴンバナナ生産者であり、PARTNERSの職員でもあるロベルト・テネフランシアさんは2003年からバランゴンバナナを出荷しています。

 

安定した売り先のあるバランゴンバナナは、ロベルトさんにとって重要な現金収入源であり、台風ヨランダを含めた度重なる台風被害を受けても、バランゴンバナナ栽培を続けています。

「遺伝子組み換えトウモロコシは土壌や環境を壊します。化学合成農薬などを使わないバランゴンバナナは、遺伝子組み換えトウモロコシに代わる作物です」と、ロベルトさん。

また、同じカーレス町のバランゴンバナナ生産者であるスーザン・バセアさんは2001年からバランゴンバナナを出荷しています。「民衆交易は、ただのバナナに大きな意味を持たせてくれた。バランゴンバナナ民衆交易によって、生産者と消費者が繋がることができ、持続可能な地域作りの大きな助けになっています」と言います。


ボホール島

ボホール島は1994年からバランゴンバナナを出荷している産地です。生産者の多くは零細農家です。生産者はバナナの他に野菜、切り花(アンスリウム)、米などを栽培しています。

出荷責任団体であるNGOのPFTAC(People’s Fair Trade Assistance Center, Inc.:民衆フェアトレード支援センター)は、地域の人々が自分自身で作ったモノを販売していくことを目的に、1995年3月に設立されました。

病害被害、天候被害、手入れの不十分さなどによるバランゴンバナナの数量減少、病気に感染していないバランゴンバナナの苗や有機肥料の確保が困難であるなどといった課題に直面していますが、PFTACは地域の自立を目指して、活動しています。

 

アーニエルさんとバランゴンバナナ

ボホール島のバランゴンバナナ生産者であるアーニエルさんは、すでにバランゴンバナナ生産者であった兄ノエルさんの影響を受け、2011年からバランゴンバナナ栽培に取り組んでいます。

ウィルスによって感染するバンチートップ病の被害を受けましたが、家族で協力しながら、バランゴンバナナ栽培を続けています。

アーニエルさんは、農産物から主な現金収入を得ており、バランゴンバナナからも定期的な現金収入を得ています。

アーニエルさんには3人の子どもがいますが、バランゴンバナナから得た現金収入は、子どもが学校へ通うための交通費、お小遣い、日用品の購入などに充てています。「現在は約60株のバランゴンバナナを植えており、新規作付けにも取り組んでいます。バンチートップ病に感染しないことを願っています」とアーニエルさん。

アーニエルさんと家族

 

アルベルト・サホルさん

同じくボホール島のバランゴンバナナ生産者であるアルベルトさん。現在は58歳で、昔はミンダナオ島北ダバオ州にあるフィリピン最大のバナナプランテーションであるタデコ農園で働いていました。

退職後、ボホール島に戻ってきたアルベルトさんは、2012年からバランゴンバナナを栽培しています。

また、バナナプランテーションでの経験を活かし、他のバランゴンバナナ生産者のサポートなども行っています。
アルベルトさんもバンチートップ病の被害に苦しみましたが、諦めずにバランゴンバナナ栽培を続けています。現在は約50株のバランゴンバナナを植えており、今後もバランゴンバナナの作付けを増やしていく予定です。


北ルソン

ソウミル村のバランゴンバナナ生産者

ルソン島北部にあるヌエバ・ビスカヤ州とイフガオ州は、バランゴンバナナの産地の一つです。

この地域の人々はバランゴンバナナを「グヨッド」と呼び、昔から裏庭で栽培し、自家消費や地元の市場に販売していました。

1996年から、オルタートレード・フィリピン社(ATPI)にバランゴンバナナを販売しています。

多くのバランゴンバナナ生産者はイフガオ族、イゴロット族といった先住民族で、他にイロカノ、ビサヤからの移民がいます。北ルソンのバランゴンバナナ産地はATPIが管理をしており、バナナ栽培のサポート、持続可能な農業に向けたサポートなどを行っています。

バランゴンバナナ産地の中には、山奥に位置している産地もあり、険しい道を歩き圃場へ行く必要があります。

バランゴンバナナの生産者の多くは零細農家であり、バランゴンバナナから得た現金収入は、日用品(食品・衣服・石鹸など)の購入費用や子どもの学校までの交通費などに活用されています。

 

北ルソンは台風が上陸しやすい地域であり、2016年10月にも2つの台風が上陸し、特に台風22号(フィリピン名:ラウィン)は大きな被害をもたらしました。バランゴンバナナ栽培を行っていく上で、様々な課題がありますが、台風被害は最も大きな課題の一つです。

 

 

アルフォンソリスタの生産者 ジョニーさん

一方でバランゴンバナナには大きな意義があると話してくれたのは、イフガオ州アルフォンソリスタ町のバランゴンバナナ生産者の1人であるジョニー氏。同地域は、「Corn Country」と呼ばれており、遺伝子組み換えトウモロコシのプランテーションが広がる地域ですが、「バランゴンバナナは、遺伝子組み換えトウモロコシに替わる作物になる可能性があると感じている」と話してくれました。

「バランゴンバナナは定期的な現金収入源だけではありません。例えば、化学合成農薬を使用せずに栽培しているので、作り手も食べ手も安心できるバナナです。また、バランゴンバナナを通じて、様々な人が繋がり、良好な関係を築き、生活の質の向上のため協力し合っています。」と話してくれました。

 


ミンダナオ島 ツピ

ミンダナオ島ツピは、2002年からバランゴンバナナを出荷している産地です。ネグロス島などのバランゴンバナナ圃場とは違い、区画された平地の畑でバランゴンバナナを栽培している生産者が多くいます。一部の産地は山奥にあり、収穫したバナナを馬などで運び出している生産者もいます。

ココナッツと混植されたバランゴンバナナ圃場

ココナッツと混植されたバランゴンバナナ圃場

ココナッツの間にバランゴンバナナを植えている生産者が多くいます。

インフラが整備され、区画整理されているツピでは、バランゴンバナナ以外にも様々な農産物が商品作物として栽培されています。

 

 

 

ツピのバランゴンバナナ生産者

ツピのバランゴンバナナ生産者

そもそもミンダナオ島は、フィリピン政府が「約束の土地」として、ルソン島やフィリピン中部にあるビサヤ諸島からの移住政策を推し進めた島です。

ミンダナオ島はキリスト教徒開拓民、イスラム教徒及びルマドと呼ばれる非イスラム教徒の先住民族で構成されており、ツピの生産者の中にもキリスト教徒、イスラム教徒、先住民族がいます。

土地所有概念の相違から、土地をめぐる紛争がイスラム教徒を含む先住民族とキリスト教徒開拓民の間で発生し、ツピも昔は対立が激しかった地域のひとつでした。

 

バナナの収穫などを行う作業員たち

バナナの収穫などを行う作業員たち

しかし、今ではキリスト教徒とイスラム教徒が共にバランゴンバナナ民衆交易に取り組んでおり、バナナの箱詰めを行っているパッキングセンターでも一緒に働いています。

ツピの生産者で、キリスト教徒であるマルロ氏は、「昔はイスラム教徒に対する偏見を持っていましたが、バランゴンバナナ民衆交易を通じて一緒に働くことで、イスラム教徒に対する偏見がなくなりました。バランゴンバナナはツピの平和構築にも貢献しています」と言います。

TUBAGAが受賞した表彰状やトロフィー

TUBAGAが受賞した表彰状やトロフィー

ツピのバランゴンバナナ出荷責任団体であるTUBAGA(ツピバランゴン生産者協同組合)は、「有機農業を実践しつつ、公平性および社会的正義に基づく平和と団結を推進する、自立したコミュニティの実現」を目指して、バランゴンバナナ民衆交易に取り組んでいます。

多国籍企業のプランテーションや契約栽培が行なわれている地域で、化学合成農薬・化学肥料を使わずにバランゴンバナナを栽培していることは、行政に高く評価され、TUBAGAは様々な分野で表彰されています。

2016年の干ばつ被害が最も大きかったツピでは、バランゴンバナナの出荷量は8割程度減少しましたが、日本の皆さまからの義援金で鶏糞の施肥などを行い、復興に努めました。

 

 

ビクター・コルテス氏

ビクター・コルテス氏

「生産者として、またTUBAGAの役員として、日本がツピにバランゴンバナナ栽培を紹介して下さったことに感謝しています。

化学合成農薬を使用しないバランゴンバナナは生産者にとっても安全です。私はパパイヤの契約栽培も行っていますが、パパイヤ栽培のセミナーに行くと、農薬は健康に影響ないと言われます。

化学合成農薬・化学肥料を使用せずに栽培しているバランゴンバナナを食べることは、日本の消費者の皆様にとっても良いことなので、今後も引き続きバランゴンバナナを栽培していきます。」

 

 


ミンダナオ島 レイクセブ

ミンダナオ島南部の南コタバト州にあるレイクセブは、2006年からバランゴンバナナを出荷している産地です。標高は500m以上、高いところでは1,000m以上あり、住民の約65%はオボ族、ティボリ族といった先住民族、残りの35%が他島からの移民です。バランゴンバナナ生産者の多くも先住民族です。

生産者が暮らしている山間の地域

生産者が暮らしている山間の地域

レイクセブに住んでいる先住民族は元々狩猟採集生活を送っていました。

ラタン(籐)採集、焼畑農法、炭作り、狩猟などで生活してきましたが、環境の変化のなかでそのような生活を送ることが厳しくなっていました。

 

バナナの買付け風景(レイクセブ)

バナナの買付け風景(レイクセブ)

先住民族にとって、バランゴンバナナの出荷は、新たな側面を持っています。

安定的な販売先があるバランゴンバナナ栽培は、採集のために山奥まで出かける必要がなく、自分たちの家の近くで栽培ができる現金収入源であり、安定的な生活に寄与しています。

 

レイクセブの出荷責任団体であるUAVFI(高地アラー渓谷農事法人)は、バランゴンバナナ交易を通じて次のようなことを目指しています。

① レイクセブの自然環境を守る
② 先住民族の生活の向上
③ 多国籍企業のプランテーションのレイクセブへの進出拡大を防ぐ

一方で、レイクセブは山間部に位置しているため傾斜もきつく、雨季になるとバナナの集荷に困難を生じます。また、これまで栽培経験のない先住民族の生産者にとって、栽培技術を習得することにおいては課題もあります。元々狩猟採集生活を送ってきた先住民族にとって、作物をしっかりと手入れし、栽培することは大きなチャレンジであり、UAVFIスタッフも現場で生産者に指導・サポートしながら、バランゴンバナナ栽培に取り組んでいます。

ロバート・スランさん

ロバート・スランさん

ロバート・スランさん

「私はレイクセブでバランゴンバナナ民衆交易が始まった2006年から、オルタートレード社にバランゴンバナナを販売しています。

バランゴンバナナから得た現金収入で日用品を買うことができ、大きな助けになっています。

また、子どもが学校に通うための交通費、お小遣いなどにも充てています。」

 

 

 

ボイエット・マドロンさん

ボイエット・マドロンさん

ボイエット・マドロンさん

「私はバランゴンバナナ生産者であり、また生産者のサポートを行っている現場スタッフでもあります。バランゴンバナナから得た現金収入で、私たち生産者は日用品の購入、学校に通うための子供のお小遣いを工面することができています。これからも品質のいいバランゴンバナナを作るよう努力しますので、バランゴンバナナを継続的に購入してください。」

 

 


ミンダナオ島 マキララ

大手企業の高地栽培バナナプランテーション

ミンダナオ島コタバト州マキララは2013年からバランゴンバナナを出荷している産地です。

フィリピンで一番高い山であるアポ山の近くに位置しており、土壌は火山灰土です。ゴムが多く植えられている地域であり、ゴム以外にも、バナナ、ココナッツ、果樹(ドリアン、ジャックフルーツ、マラン、パッションフルーツなど)、コーヒー、キャッサバなどが植えられています。また、バランゴンバナナの圃場からは離れていますが、多国籍企業が、日本向けなどに輸出している高地栽培バナナのプランテーションが拡大している地域でもあります。

バランゴンバナナの圃場

バランゴンバナナの出荷責任団体であるドンボスコ財団は、以前から多国籍企業のバナナプランテーションの問題(空中散布、労働者の人権問題など)に取り組んでいるNGOであり、コタバト州が空中散布を禁止する条例を制定することに貢献しました。

多国籍企業が、山の水源に近い地域にバナナプランテーションを拡大しようとしたため、ドンボスコはそれを阻止するために、ヨーロッパからの助成金で約50haの土地を購入しました。

マキララで収穫されたバランゴンバナナ

収穫されたバランゴンバナナ

購入した土地は人々に分配し、ローンで土地代をドンボスコに返済することになっています。

そのため、ドンボスコは生産者が安定的に収入を見込めるバランゴン事業に期待をし、2013年から出荷を始めました。マキララでバランゴンバナナに取り組むことで、次のようなことが期待されています。

① バランゴンバナナというプランテーションバナナとは異なるバナナの交易に取り組むことで、大手プランテーションの拡大を阻止する。

② 生活が困窮化している高地の先住民族や移住者がバランゴン交易に関わっていくことで、生活向上を図るといったことが期待されている。

バランゴンバナナを始めてから、バンチトップ病*や干ばつといった課題に直面していますが、バナナの手入れ技術の向上や新たな手入れ方法の研究などを重ね、課題の克服に取り組んでいます。

生産者とスタッフ

「生産者が多国籍企業に土地をリースすることがないようにするためには、その土地から定期的な現金収入を得ることが重要です。

化学合成農薬、化学肥料を使用せず、持続可能な農業を目指すバランゴンバナナ民衆交易は、消費者にとっても、生産者にとっても、多国籍企業のプランテーションに代わる地域の産業になりうる可能性を持っています。」 (ドンボスコ財団代表ベッツィー・ガメラさん)

*ウィルスによって引き起こされる病気。バナナの株が委縮し、枯れてしまう病気

 


ミンダナオ島 北ミンダナオ

生産者のロンコイ・サホルさん

北ミンダナオは、2006年からバランゴンバナナを出荷している産地です。タバコやフィリピンで人気のラカタン種のバナナなどの換金作物が植えられている地域ですが、バランゴンバナナの畑の多くは山間部に位置しており、多くが零細農家です。

以前は、ミンダナオ島は台風の上陸があまりなかったのですが、近年は北部に台風が上陸することが増えており、北ミンダナオのバナナ産地も台風被害を受けることがあります。バナナは強風に非常に弱い作物であり、台風被害を受けると、特に収穫間近なバナナは倒れてしまい、収穫することができなくなってしまいます。

また、北ミンダナオの産地の1つであるクラベリア町キガウハット地区では、住民の多くがバランゴンバナナを植えています。

生産者のアントニア・エンラワンさん

「バランゴンバナナは主な現金収入源の1つで、日用品の購入などに充てています。土地に適した作物であり、安定した売り先があるので、台風や干ばつなどといった天候被害、病害などの難しさはありますが、頑張ってバランゴンバナナ栽培に取り組んでいます」

「バランゴンバナナはキガウハット地区では重要な現金収入源であり、多くの人が植えており、主な現金収入源です。持続可能な農業を実現していくのに、バランゴンバナナは大きな助けになっています」

 

北ミンダナオの産地では、傾斜地などにバランゴンバナナが植えられています。

 

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