カカオ民衆交易をつなぐROSTRUMメンバー From インドネシア
エコシュリンプを製造するATINA社の従業員互助組合「ROSTRUM」。組合員の出資金や積立金を原資に組合員の日常必需品の共同購入や小規模融資、ATINA工場の食堂の運営などを担っています。
この他、組合の活動として、インドネシア・パプア州の生産者が育てたカカオがチョコレートになり、日本の人びとに届くまでの民衆交易の物流を支えています。
今回は、その活動についてROSTRUMメンバーのユディさんに聞いてみました。
ROSTRUMがパプアのカカオを支えるようになったのは2013年。
輸出港のスラバヤに近いという地理的な利点もあり、パプアから出荷されたカカオ豆を、その加工先のインドネシア珈琲カカオ研究所(ICCRI)へ移送し、加工されたカカオマス、バター等のカカオ製品をATINAのおひざ元のスラバヤ港へ運んで輸出するまでのお手伝いをしたのが始まりです。
現在は、パプア州で立ち上がったカカオキタ社の委託を受けて、カカオキタの委託先である①ICCRI(クラフトチョコレートを製造)、②テジャセカワンココアインダストリー社(カカオ豆をカカオマス、ココアバター、ココアパウダーに加工する工場)の2ヵ所で製造されたカカオ製品を集荷して、輸出のためのコンテナや航空便の手配、輸出書類の手配、そして積み込みの作業などをしています。
バレンタインシーズンを前にチョコレートが動き出す10~12月は、パプアから届いたカカオ豆の加工と輸出が一番忙しい時期となります。
例えば、ICCRIで加工されるクラフトチョコレートはATINAから173キロ離れたジャワ島東部から集荷されますが、手配したトラックは夜中にスラバヤを出発してICCRIでチョコレートを積み込み、その日の内にスラバヤに戻ってきます。
チョコレートは熱に弱く壊れやすいために冷蔵トラックを使いスラバヤまでの荒れた道路の振動で壊れないようにゆっくりと運んで来ます。
スラバヤに届いたチョコレートはATINAの倉庫でROSTRUMメンバーの手で保冷箱に詰め替えられ、ドライアイスを充填して翌日にはスラバヤ空港に運んで航空貨物として成田空港へ向けて送り出します。
「同じインドネシアで民衆交易を続けてきた仲間として、そしてROSTRUMの活動の幅が広がり収入にもつながるというメリットもあり、これからも出来る限りの協力を続けていきたいです。」と語るユディさん。まさに縁の下の力持ちです。
義村浩司(よしむら・ひろし/ATJ)
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