卵かけごはんにオリーブオイル!

2025年4月30日

変わりゆくラオスコーヒー産地事情

2025年4月28日

昨年12月、ATJにラオスコーヒーを供給するジャイ・コーヒー生産者協同組合(JCFC)に加入している生産者が住む12の村を訪問して、コーヒーの加工状況を確認してきました。

昨今は、産地でも天候が安定しなくなっており、コーヒー栽培にも影響を及ぼしています。例えば、乾季にもかかわらず大雨が降ってコーヒーの花が落ちてしまい実がならない、逆に、雨季なのに雨が降らず、コーヒーの実が十分に生育しないということが起こっています。

また、収穫期にも時々雨が降ることが常態化してきているため、作業効率が落ちて生産性が低下したり、コーヒーの乾燥などの品質に関わる工程に影響を及ぼしたりしています。ただ、今シーズンのコーヒー収穫期は雨も少なく、天候にも比較的恵まれました。また、虫食い(*1)も全体的に少ない状況でした。

高騰するコーヒー相場

ここ数年、国際的なコーヒー相場は右肩上がりで、ラオスでも過去最高値を更新しました。特に隣国のタイ、ベトナムのバイヤーの買付けが非常に活発で、その背景として、各々の国での需要が国内生産(*2)を上回っており、品質が良いラオスのコーヒーを買付けにきていることが挙げられます。ガソリン価格の高騰をはじめとした物価上昇は著しいものの、前述のような理由もあり、コーヒー生産者の暮らし向きは良くなっていることが感じられます。

例えば、プーマッコー村のチャンパ―さんは、1年前にはトラックを新調したり、家に新たな装飾が施されていたりしました。そして今回の訪問では、家の横で新たに小さな商店と麺料理屋を開店していました。また、フライパンで自家焙煎したコーヒーを首都のヴィエンチャンにいる顧客に販売しています。ラオスコーヒー事業を始めてから約20年が経って、生産者の経済状況が変わってきたことを目にできることは、とても感慨深いです。

生産者との関係作りのなかで

一方、タイやベトナムのバイヤーが高値で取引するなか、日本で販売するにあたって消費者に受け入れてもらえる価格で折合いをつけることに苦闘する状況があります。生産者メンバーからは、「今後ATJに売らなくなってしまうかもしれない」といった発言もありました。これに対してJCFC幹部が、ATJは長年にわたり買い続けてJCFCと信頼関係を築いてきたこと、また、コーヒー買付けの前払いやプレミアムといった制度は生産者にとても有益であると生産者メンバーたちに改めて説明してくれています。そうした関係性を作っていくなかで、取り組みの意義に賛同してくれ、これまでと変わらずコーヒーを供給してくれる生産者メンバーたちもいます。

前払いは、買付け予定のコーヒー代金のうち50%を、収穫の始まる前に生産者に先に支払う制度です。 コーヒーの収穫期は1年のうち11月から1月の3ヵ月程度と限られており、コーヒーが主な収入源の生産者にとって、収穫の始まる前は手元に現金が少なくなってきて、また、子どもの学費を支払うタイミングでもあります。更には、圃場の下草刈り、季節労働者の受入れ準備など次の収穫に向けた出費も重なります。家計のやり繰りが最も苦しい時期に、高利子で借金することが習慣となっていますが、前払いがあることで借金に頼らずに済むため、その有益性は非常に大きいです。

また、ATJはコーヒー代金とは別にプレミアム(3)を支払っています。JCFCではそれを積み立てて、昨シーズンはコーヒー乾燥台の覆い(前述のように収穫期にも雨が多くなってきたので)の資材を購入し、生産者に配布しました。産地では昨今、外国資本がラオス政府から長期的に借り上げてキャッサバやコーヒー等の大規模プランテーションを開発する影響で、森林伐採が広がっています。生産者たちは将来的にコーヒー生産を続けていけるかという不安も抱いているなか、プレミアムも用いて質の良いティピカ(4)の苗木を購入する要望も挙がっています。コーヒーを取り巻く環境は変わり続けていますが、ラオスコーヒーをどのように守っていけるか、生産者のニーズに寄り添いながら取り組みを進めていきたいと思います。

*1 コーヒー豆の養分を虫が吸い取ってしまう。欠陥豆の原因の1つ。コーヒーの風味が失われる
*2 タイとベトナムもコーヒーの生産国
*3 コーヒー代金に上乗せして支払われ、組合が用途を検討して使うことができる
*4 ATJが買い続けてきたアラビカ種の1つ。世界的に希少と言われている品種でもある

名和尚毅(なわ・なおき/ATJコーヒー産地担当)

※PtoPニュースvol.67より

生産者協同組合JCFCにより、ラオス南部ボラベン高原(標高900~1300m)で生産されたアラビカ・ティピカ種です。豊かな香りと良質な苦味、やさしい甘みが口の中にゆっくりと広がります。

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ジェノサイドの手段としての飢餓 ―ガザ地区の飢餓についてUAWCからの声明

2025年4月18日

パレスチナ農業開発センター(UAWC)は、ガザ地区にて深刻化する飢餓について緊急の注意喚起をします。この大惨事は、イスラエルによるジェノサイド攻撃によって意図的に引き起こされたものです。2025年3月2日以降、イスラエル占領軍は、ガザ地区へのすべての食料および人道支援の搬入を阻止しています。4月7日(月)、イスラエルの財務相ベザレル・スモトリッチは「小麦の一粒さえもガザ地区に入れさせない」と発言し、ガザ地区に飢餓を強要するというイスラエルの方針を再確認しました。これは政策の失敗ではなく、大量の飢餓を計画的に進める入念に計画されたキャンペーンです。

今日、ガザ地区の人々は意図的に飢えさせられています。

パレスチナNGOネットワーク(PNGO)は、ガザ地区を公式に「飢餓地域」と宣言し、国際社会にも同様の認定を求め、即時の介入を呼びかけています。PNGOは、特に子ども、女性、高齢者への壊滅的な影響を警告しており、イスラエルが食料・医薬品・燃料・安全な水の搬入を故意に拒否していると非難しています。ガザ地区は飢餓の末期段階に入り、34万5千人が「総合的食料安全保障レベル分類(IPC)の第5段階(大惨事/飢餓)※にあり、住民の91%が危機レベルかそれ以上の食料不安に直面しています。これは国際社会の沈黙による計画的なジェノサイド行為です。

パレスチナ保健省によれば、6万人以上の子どもたちが急性栄養失調により回復不能な健康被害のリスクにさらされています。生後6ヶ月未満の乳児は、安全な水、粉ミルクや栄養支援を受けられず、感染症や乳児死亡のリスクを高める手段に頼らざるを得ない状況です。人道支援団体は、栄養検査の実施能力が30%低下し、離乳食などすぐに食べられる栄養食品もほぼ尽き、わずか400人の子どもしか支援を受けていないと報告しています。栄養支援のための施設の少なくとも15%が爆撃や避難の影響で閉鎖に追い込まれています。

イスラエルによる完全封鎖により、水へのアクセスも危機的状況にあります。

100万人以上(うち40万人が子ども)は、1日1人あたり6リットル(停戦中は16リットル)しか水を得られておらず、燃料供給が再開されなければ4リットル未満にまで減る恐れがあります。公衆衛生施設の崩壊とともに、水が原因による感染症が急増しています。イスラエルが管理するガザ地区への3本の水道管のうち、2本が切られました。1本は1月以降から止まっています。唯一稼働中の水道管はハンユニス地域に限定されており、イスラエル占領軍は他の水道管の修理を認めていません。南部最大の海水淡水化施設は電力不足により出力が85%削減されています。

病院は、容赦ない空爆による負傷者対応に追われるなか、衛生用品がまったくないため感染症予防もできない状況です。

250以上の医療施設が、ガザ地区の外で留められている医薬品、石鹸、消毒剤、滅菌用品などの必須物資を待っています。患者も医療従事者も完全に無防備な状態です。

ガザ地区の農業セクターは、計画的に破壊されました。

UAWCと食料安全保障に関わるパートナー団体は、食料生産の破綻をすべての分野で確認しています。農地の爆撃、ビニールハウスの破壊、灌漑システムの寸断、家畜は殺され、漁業は完全に麻痺しています。家畜は治療されずに感染症で死亡しており、農民は空爆や不発弾の脅威で農地に近づくことができません。漁船は壊れたまま放置され、漁師は海に出ると襲撃や逮捕の対象となります。結果として、ガザ地区は自給自足の能力を完全に失っています。

環境の崩壊も危機を加速させています。

イスラエルによるインフラの破壊は、土壌の汚染、大気の汚染、廃棄物処理システムの崩壊をもたらしました。5000万トン以上の瓦礫と人間の遺体が未回収のままであり、こうした状況下で有害物質へ曝されることが日常的になっています。世代を超えて大切にされてきたオリーブ畑や農地も壊滅しました。

これは人道的危機ではなく、“構造的な抹殺”です。
イスラエル占領軍は、包囲したガザ地区の住民の意志を打ち砕き、未来を消し去るために飢餓を兵器として使い続けています。ガザ地区の飢餓は偶発的ではありません。これは意図的なジェノサイド政策の結果であり、アメリカ、ドイツ、その他の共犯国によって支えられています。

国際刑事裁判所ローマ規程第8条第2項(b)(xxv)によれば、「戦争の手段として意図的に民間人の飢餓を引き起こすこと」は「戦争犯罪」に該当します。

UAWCは、パレスチナの食料主権が正義と解放の闘いと不可分であることを強調します。私たちはPNGOとともに、国際社会に対し、懸念の表明を超えて、飢餓の根本原因、すなわちイスラエルの軍事占領、入植型植民地主義、継続する封鎖と正面から向き合うよう呼びかけます。そのためには、以下が必要です:

  • 即時かつ妨げのない人道的支援の搬入
  • ガザ封鎖の解除
  • 国際法に基づくイスラエルの責任追及
    <国際刑事裁判所(ICC)および国際司法裁判所(ICJ)において)>
  • パレスチナ主導によるガザ地区の食料システム再建への支援

再確認します。この飢餓は、物流の問題ではありません。これは「戦争犯罪」です。
そして、それは「今すぐ終わらせなければなりません」。

※食料不安を計測する世界標準「総合的食料安全保障レベル分類(IPC)」の定義による第5段階が壊滅的飢餓、第4段階が緊急事態

「ガザの恒久的停戦と、パレスチナの和平を求める」記者会見が行われました。

2025年4月9日

2025年3月28日、「ガザの恒久的停戦と、パレスチナの和平を求める」記者会見が、日本プレスセンタービル9F(東京都千代田区)にて行われました。この記者会見は、3月30日の「パレスチナ土地の日」を前に、ATJやAPLAの他、パレスチナで活動するNGOで立ち上げた「パレスチナの和平を求めるアクション実行委員会」によって開催され、複数の団体が連携して3月10日に発出した共同声明の発表と、パレスチナの現状が伝えられました。

当日の報告は以下の通りです。
●趣旨説明、停戦前後の現地状況の説明:ピースウィンズ・ジャパン
●ガザ地区の状況:日本国際ボランティアセンター(JVC)、パルシック
●ヨルダン川西岸地区の状況:セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、APLA
●「ガザの危機 国際法の観点から即時停戦を求める」:ヒューマンライツ・ナウ 伊藤和子氏

APLAの野川事務局長は、パレスチナ農業開発センター(UAWC)が制作したヨルダン渓谷で入植者によって400頭の羊が強奪された農民の取材動画を上映して、西岸地区で頻発する放牧地での入植者による組織的暴力について報告しました。

会見全体の様子はこちらからご覧いただけます。

記者会見の様子は以下のメディアで報告されました(掲載日順)。

○3月28日(金) NHK
パレスチナで支援活動の日本のNPOなど 恒久的な停戦の実現訴え

3月28日(金) 朝日新聞
ガザの恒久的停戦を求める声明 パレスチナで支援の日本のNGO発表

3月28日(金) 8bit News
ガザの恒久的停戦とパレスチナ全体の和平を!支援団体が訴える現地の今

3月29日(土) 日本農業新聞
オリーブ園攻撃、羊の盗難… 戦禍のパレスチナ農業 日本の農家へ「心寄せて」 支援団体が緊急会見

○3月29日(土) 朝日新聞 朝刊・WEB
NGO「ガザ恒久的停戦を」

○4月2日(水) レイバーネット
ガザの恒久的停戦とパレスチナの和平を求める声明

○4月3日(木)日本農業新聞
[論説]パレスチナの戦火 和平へ思い連帯しよう

○4月6日(日) 東京新聞
「私たちの苦しみ想像できますか」ガザで悲痛の叫び イスラエル軍需企業に投資する日本政府が考えるべきこと

なお、声明は5月15日(ナクバの日)まで団体・個人の賛同を募り、内閣総理大臣、外務大臣、及び関係議員へ提出する予定です。引き続き、賛同・情報拡散にご協力を宜しくお願い致します。

「ガザの恒久的停戦と、パレスチナの和平を求める」声明への賛同フォーム

【バナナニュース361号】 絵本『バナナのらんとごん』のご紹介🍌

2025年4月7日

2024年12月に絵本『バナナのらんとごん』を出版しました。(株)オルター・トレード・ジャパンの姉妹団体であるNPO法人APLAが、クラウドファンディングで多くの方に応援いただき制作した絵本で、和歌山県にある「らくだ舎出帆室」と共同出版しました。

この絵本は、バランゴンバナナのらんとごんの姉弟が日本の消費者に届くまでの旅を通して、身近な食べ物の背景を知ることができるものです。バランゴンバナナがどのような場所でどのように育てられているのかを紹介するために、産地の様子や生産者の工夫などを盛り込みました。

絵本後半ではフードロス問題も扱っています。日本に届いたバナナが、実に届くような深いキズが皮にあるなどの理由で規格外に分別されているという内容を入れ、ふだん手にしているバナナの、なかなか見ることのない裏側も知ってもらいたいと思いました。

資料ページが4ページもあります。本編では描ききれなかった内容や産地の写真を入れており、授業やワークショップに役立つ内容になっています。

「傷があってもおいしく食べられる」「捨てるのはもったいない」と規格外のバナナへの思いや、「イラストが鮮やか」「大人が読んでも学びがある」と絵本自体の感想も寄せられています。SDGsを達成するために大切な要素も散りばめられているので、読み聞かせ会などにご活用いただけるとうれしいです。

APLA福島

🍌絵本の詳細やご注文はこちらから

「ガザの恒久的停戦と、パレスチナの和平を求める」共同声明および記者会見(3/24追記)

2025年3月11日

パレスチナのオリーブオイルの産地、ヨルダン川西岸地区ではオリーブオイルの出荷団体であるパレスチナ農業開発センター(UAWC)からの緊急報告(緊急報告1緊急報告2)にあったように1月19日に発効したガザ地区での停戦合意以降、イスラエル軍による軍事攻撃が激化しています。

ATJは「パレスチナの和平を求めるアクション実行委員会」のメンバーとして、パレスチナで活動するNGOとともにガザ地区の恒久的停戦とパレスチナの和平を求める声明を発表し、ガザ地区およびヨルダン川西岸地区の状況を広く知らせるために3月28日に記者会見を行います。

3/24追記:

こういった思いをお持ちのみなさまにもご参加いただけるよう、この声明に対する賛同を広く募ることにしました。賛同は個人、団体両方あります。何卒、ご賛同をお願い致します。また、情報拡散にもご協力賜りますようにお願い致します。

こちらの声明は、パレスチナ人の離散を象徴する日である5月15日(ナクバの日)まで、賛同(団体及び個人)を募り、内閣総理大臣、外務大臣、及び関係議員へ提出する予定です。
声明の内容は下記をご覧ください。なお、3月28日記者会見で、それまでに集まった賛同団体の名前と個人の賛同者数を発表する予定です。

「ガザの恒久的停戦と、パレスチナの和平を求める」声明 賛同フォーム

https://forms.gle/t17dM91wey8uZ2PJ7

「ガザの恒久的停戦と、パレスチナの和平を求める」声明

2025年3月10日
パレスチナの和平を求めるアクション実行委員会

パレスチナ・ガザ地区における未曾有の人道危機は、少なくとも4万8千人[1]の尊い命を奪い、2025年1月19日、三段階あるとされる第一段階の停戦が実現しました。しかし、ようやく結ばれた停戦は決して恒久的なものではなく、人質の解放、大規模攻撃の再開、さらに食料や医療品など人々の命に係わる物資の搬入や送電までが取引の材料にされた状態で、今にも崩れ去ろうとしています。無辜の市民の命が一部の権力者によって操られていることに、強い憤りを覚えます。

第一段階目が実行された16日後から交渉される予定だった停戦の第二段階目では、ガザの恒久的停戦と、イスラエル人の人質およびパレスチナ人被収容者の双方の解放に加え、イスラエル軍のガザからの完全撤退が含まれることとなっていました[2]。しかし、それらは未だ実行されていません。そうした中、3月4日、イスラエル政府はガザの実効支配勢力に対し、人質の解放が達成されていないことを理由にガザへの攻撃再開を宣言し、米国政府はそれを支持しています。

パレスチナの平和と人道支援に関わり続けてきた日本の団体として、私たちはここに改めて人質・被収容者の無条件の解放と、イスラエル軍のガザからの完全撤退、そして恒久的停戦を実現するよう、両者に強く訴えます。

また、ガザでの停戦後、ヨルダン川西岸地区でのイスラエル軍や入植者による攻撃が激化している事実も看過することができません。西岸地区の北部、特にジェニン難民キャンプやトゥルカレムを中心に4万人以上もの市民が住む家を追われ、帰る場所を失っています。2024年1月から2025年1月の僅か1年間で、102人の子どもを含む555人がヨルダン川西岸地区で犠牲となりました[3]。攻撃の影響を最も受けるのは一般の市民です。私たちは、このような状況に晒されている人々の命と人権が守られるよう、日本政府が国際社会の一員として、ガザの恒久的停戦と共に、パレスチナ全体の和平の実現に向けて、あらゆる外交努力とアクションを引き続き行うよう、強く求めます。

[1] Reported impact snapshot | Gaza Strip (4 March 2025)
[2] How does the ceasefire deal between Israel and Hamas work?, BBC, 3 Mar 2025
[3] West Bank Monthly Snapshot – Casualties, Property Damage and Displacement | January 2025

私たちは、上記の声明の発表と、ガザ地区およびヨルダン川西岸地区の状況を広く知らせるために、記者会見を行います。

イスラエル建国とパレスチナ難民の発生から今年で77年目を迎えます。イスラエルによる1976年の大規模な土地接収に対する抗議で死者・負傷者が出た事件を悼み、各地でアクションが行われる3月30日の「土地の日」を前に、今一度パレスチナに思いを寄せ、パレスチナの人々がイスラエルの人々と対等な権利を享受し、自由に暮らせるために何ができるかを考える機会になればと思います。

「ガザの恒久的停戦と、パレスチナの和平を求める」記者会見

◎日時:2025年3月28日(金)10:30‐11:45  (受付開始10:15)
◎場所:日本プレスセンタービル9F 会見場 東京都千代田区内幸町2-2-
◎プログラム
・趣旨説明、ガザ停戦を巡る動き
・ガザ地区の状況(現地で活動するNGOからの報告)
・ヨルダン川西岸地区の状況と現地からのメッセージ
・質疑応答
・写真撮影

主催:パレスチナの和平を求めるアクション実行委員会
(実行委員会構成団体、五十音順)

特定非営利活動法人APLA
特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク
株式会社オルター・トレード・ジャパン
公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン
特定非営利活動法人日本国際ボランティアセンター
公益財団法人 日本YWCA
特定非営利活動法人パルシック
特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン
ピースボート

この声明文に関する連絡先

特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター(JVC)
〒110-8605 東京都台東区上野 5-22-1 東鈴ビル 4F
info@ngo-jvc.net / 03-3834-2388(担当:酒寄、今井)

【緊急開催】「ガザ停戦」後に激化しているパレスチナ・西岸地区での暴力 ー現地NGOからの緊急報告

2025年2月26日

2025年1月19日に発効したイスラエルとハマスの「ガザ停戦」以降、パレスチナのオリーブオイル産地でもあるヨルダン川西岸地区(以下、西岸地区)における暴力がこれまでにないほど激化しています。2001年の第二次インティファーダ以来最長となる軍事作戦がイスラエル占領軍によって展開され、2025年2月10日の国連の報告によると、この1カ月だけでも、ジェニン、トゥルカレムなどの難民キャンプを中心に西岸地区各地で合計4万人以上が強制的な移住を余儀なくされています。

また、イスラエルのクネセト(国会)では、国際司法裁判所(ICJ)と国連総会が違法性を確認した占領政策をさらに推し進め、西岸地区の「完全併合」のための新たな法案の議論が進んでいます。

パレスチナのオリーブオイル生産者や小規模農民を支援するパレスチナ農業開発センター(UAWC)から、こうした西岸地区の現在の状況について日本の多くの人に知ってほしいという訴えが届き、緊急報告の機会を設けることにしました。残念ながら日本のマスメディアではほとんど伝えられることがない西岸地区の現状について、ぜひ現地からの声をお聞きください。

日時:2025年3月4日(火)19:30〜21:00(最大で21:30まで延長の可能性あり)
オンライン会議ツールZoomを利用

報告者:フアッド・アブサイフ氏(UAWC代表)
*逐次通訳あり

参加費:無料(下記のいずれかから要申込み)
※お申込みの方は、後日アーカイブでご視聴もいただけます。
Peatix:https://24westbank.peatix.com/
フォームメーラー:https://ssl.form-mailer.jp/fms/2086dd7e848002

共催:特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク、特定非営利活動法人APLA、株式会社オルター・トレード・ジャパン

オリーブの木は「スムード」のシンボル

2025年2月12日
右からオリーブ生産者イスマイル・ハモデーさん(アル・ザウィヤ村)、 PARCスタッフのモハマド・ヒミダットさん、イマン・イマルさん

オリーブオイルの産地、ヨルダン川西岸地区(以下、西岸地区)ではなだらかな丘陵地帯に広がる農地の54%に1,000万本以上のオリーブの木が植えられています。パレスチナを含む地中海東岸のレバント地方はオリーブの原産地であり、紀元前4千年頃からオリーブの木が栽培されてきたと言われています。食用はもちろん、薬用や美容、石けん原料として、またかつては灯火用としても活用され、パレスチナ人の生活になくてはならないものです。

畑に立ち入ることすらできない

西岸地区は1967年に起きた第三次中東戦争以来、イスラエル軍撤退を求める国連安保理決議242号にもかかわらず、半世紀以上にわたりイスラエルの軍事占領下にあります。現在、70万人以上のイスラエル人入植者が住んでおり、パレスチナ人への暴行やオリーブの木を引き抜いたり、燃やしたりする破壊行為を日常的に引き起こしてきました。イスラエル軍によるガザ地区のジェノサイドが始まった昨年10月7日以降、西岸地区でも状況は悪化し、2024年12月初旬までにイスラエル軍の攻撃等による死者は964人、負傷者は15,000人以上、また、入植者によるパレスチナ人への攻撃は2,500件以上にのぼります。人的被害だけではなく、2024年だけで21,000本以上の木(そのほとんどがオリーブ)が抜かれました。

たまたま年1回の収穫時期がガザ地区のジェノサイド勃発と重なってしまった2023年は、分離壁の反対側の農地への立ち入りが許可されなかったり、入植者の暴力を恐れ入植地近くで収穫ができず、約40%のオリーブ畑で収穫ができない状況でした。2024年もその状況は続いています。オリーブを主要な収入源としている10万世帯の農民にとって、経済的に大きな打撃です。

分離壁の反対側のオリーブ畑に入る許可を待つ生産者たち(ダイル・アル・グスーン村)

オリーブの木が攻撃される理由

なぜ、イスラエル軍や入植者は生産者やオリーブの木を攻撃するのでしょうか。オリーブオイル出荷団体、パレスチナ農業復興委員会(PARC)のフェアトレード事業会社であるアル・リーフ社代表のサリーム・アブガザレさんは「恐怖をパレスチナ人に植え付け、パレスチナ人が土地を離れるように仕向け、入植地を拡大する戦略としてオリーブを攻撃するのです。実際、現在の入植地のほとんどが、かつてはオリーブ畑でした」と言います。背景には、3年間放置した畑はイスラエルに合法的に接収されてしまうという法律があります。

オリーブの木は何千年もパレスチナ人がこの地に生きてきたことの証、パレスチナ人がこの地に根を下ろしていることのシンボルです。だからこそ、イスラエル軍や入植者はオリーブの木を攻撃し、引き抜こうとするのです。長年、占領下にあってオリーブの木は忍耐強く土地に留まり、占領に抵抗すること、すなわち「スムード」(アラビア語で忍耐、抵抗を意味する)のシンボルとなっています。

購入は生産者へのメッセージ

もう一つの出荷団体、パレスチナ農業開発センター(UAWC)代表のフアッド・アブサイフさんは「オリーブオイルは世界とつながるツールです。日本の人がパレスチナのオリーブオイルを買うことで、パレスチナのことを忘れていない、常に関心を示し、心配しているという生産者へのメッセージになります。日本の消費者にとっては1本のオリーブオイルかもしれませんが、それは日々困難に立ち向かいながら、祖先が暮らしてきた土地に留まり、命懸けでオリーブの木を守っている生産者の闘い、スムードへの大きな支援です」と話します。


ヨルダン川西岸地区の農民や人びとが日常的に直面する困難も、根本にはイスラエルによる軍事占領があります。国際法に従って軍事占領を終わらせない限り、オリーブ生産者が平和に暮らすことはできないことを痛感しています。ATJは媒介者としてモノ(オリーブオイル)に現地の状況や生産者の声、背景にあるコト(パレスチナ問題)をしっかりと乗せて伝えることで、多くの人にパレスチナ問題に関心をもってもらい、ガザ地区の封鎖や西岸地区の占領に終止符を打つ世論を形成していくことも重要な役割、責任だと実感しています。

オリーブ生産者アメル・ガベムさん(ダイル・アル・グスーン村)

小林和夫(こばやし・かずお/ATJ)

PtoPNEWS vol.66

2025年2月10日

PDFファイルダウンロードはこちらから→PtoP NEWS vol.66

【バナナニュース359号】ネグロス東州の若手農業指導員ヘネシーさん

2025年2月7日

今号は、2024年4月からネグロス東州でオルタートレード・フィリピン社(ATPI)の農業指導員として働いているヘネシー・フエンテスさんをご紹介。

ヘネシーさんは一見物静かに見えるが、内なる挑戦心やガッツを秘めた女性である。

農業に興味を持ったのも、17歳の時に自分のシャイな殻を破りたくて参加した泊まり込みの地域開発ボランティアがきっかけだったという。

農業指導員として、険しい地形にある圃場への訪問すら楽しんでいる(彼女の趣味がアウトドア活動というものあるが)。そうした圃場への訪問を通してバランゴンバナナを育てる生産者の努力を改めて実感できるという*。

指導した手入れ方法を実践してくれた生産者から感謝されることが仕事のやりがいだ。現在の目標は、さらに技術的な知識を深め、それを生産者と共有すること。

他の産地の農業指導員と記念撮影@ミンダナオ島研修 2024年5月
※左2名は353号で登場したレイクセブの現地出荷団体UAVOPIの農業指導員たち。

一方で、彼女の担当地域であるネグロス東州は天候被害が大きかったり、物流工程が長く品質に影響が出やすかったりする。また、若さや女性であることが時に困難を伴うこともある。

今の課題は、生産者の経験や知識を大切にしながら、新しい考えやアイデアをうまく伝えることだ。一筋縄ではいかない状況ではあるが、彼女のバイタリティでこれからも課題を乗り越えていくであろう。

ネグロス西州のパッキングセンター長リカさんと共に@ATPI 2024年7月
※リカさんとは同世代で、同じ大学で農業を専攻していた。

*農業指導員の仕事は生産者への栽培技術指導や圃場の状況からの出荷数量予測など
**バランゴンバナナの小規模生産者の圃場は散在しており、地形も様々

————————————

よろしければ、このニュースを読んだ感想をお聞かせください。
生産者へのメッセージは生産者に伝えていきます。よろしくお願いいたします。
なお、すべての質問項目に関してご回答は任意です。

パレスチナ・オンラインセミナー「パレスチナのオリーブ生産者は今 2024」報告

2025年2月6日

2024年12月19日、オンラインセミナー「パレスチナのオリーブ生産者は今 2024」を開催しました。

1 年以上にわたり続いたガザ地区での大量殺戮。パレスチナのオリーブオイルの産地、ヨルダン川西岸地区でもイスラエル軍や入植者によるパレスチナ人に対する暴力が頻発し、オリーブ生産者は日常的に暴力への恐怖や不安にさらされ、移動も極端に制限された生活を強いられています。2023年に引き続き、オリーブの収穫シーズンを迎えた現地から、イスラエル占領下の生産者の状況を伝えてもらうセミナーを開催しました。

今回は、パレスチナ農業開発センター(UAWC)の代表フアッド・アブサイフ氏より、ヨルダン川西岸地区の人びとが置かれている一般的な状況について、アルリーフ社(パレスチナ農業復興委員会PARCのフェアトレード事業会社)代表サリーム・アブガザレ氏より、2023年10月以降のオリーブ生産者の状況と2024年のオリーブ収穫について発表していただきました。

○フアッド・アブサイフ氏報告動画 

○サリーム・アブガザレ氏報告動画

○UAWC 生産者ムナ・アワディさんインタビュー動画

トゥルカレム県のオリーブ生産者、ムナ・アワディさんのインタビュー動画。分離壁によって農地の半分を奪われたうえ、イスラエル軍の監視によって十分に農作業もできません。

○UAWC ファデル・ハマディさんインタビュー動画

ファデル・ハマディさんは、ヘブロン県アル・ムファルカ村に住む遊牧民。四方を入植地に囲まれ、ファデルさんを土地から追い出そうとする入植者の暴力や嫌がらせを日常的に受けています。

○PARC オリーブ生産者動画

トゥルカレム県ダイル・アル・グスーン村のオリーブ生産者は、分離壁の反対側にある畑にはイスラエル軍の許可なく立ち入ることはできず、2023年10月以降、その規制はいっそう厳しくなっています。

○サリーム氏、フアッド氏メッセージ動画(字幕付き)

お二人よりオリーブオイル民衆交易の意義と日本の皆さまへのメッセージを語ってもらいました。

質疑応答では、「なぜ、イスラエル人は、執拗にオリーブの木に対して攻撃をするのでしょうか」という質問が出ました。サリームさん、フアッドさんの回答です。

サリームさん

「一番の理由は、パレスチナの農業部門において最大の農産物であり、本当に西岸全域にオリーブ畑が広がっていることです。これは60年以上の占領の歴史を見てもわかることですが、現在イスラエルに接収されて入植地になった土地というのは、もともとはオリーブが植わっていたところがほとんどです。ですから、イスラエルがパレスチナの土地に入植地を拡大していくという大きな計画をより効果的に進めるため、戦略としてオリーブを狙うのです。こうして農民がオリーブの栽培自体が危険だと感じること、こうした脅威を感じさせることも意図しているのです。」

フアッドさん

「一つ付け加えさせていただきます。パレスチナ人にとってオリーブの木というのはアラビア語で“スムード”、つまり、忍耐強くここに留まり続けること、抵抗の象徴であり、パレスチナ人自身が根を下ろしているということの象徴なのです。エルサレムの隣のワラジャ村に樹齢5000年、世界最古と言われているオリーブの木があります。これがまさに何千年もパレスチナ人がここに生きてきたことの証であり、つまりオリーブの木を攻撃したり抜いたりするというのは、パレスチナ人をこの土地から引っこ抜くという象徴的な意味もありますし、そうした意図が入植者の側にはあるのだと思います。だからこそ、パレスチナ農民の人たちは命をかけてオリーブの木を守るのです。」

セミナーには141名の方が参加しました。参加者からは様々な感想や生産者へのメッセージを頂きました。多数お寄せいただいたの中からいくつかご紹介します。

<感想>

「パレスチナの厳しい状況に胸が詰まりました」

「一般メディアでは伝わってこない、リアルな西岸地区の現状を当事者の言葉で直接聞くことができて良かったです」

「想像していた以上にパレスチナの人々が日々の生活に制約を課されていることがわかりました」、

「パレスチナの人にとってオリーブは命の源なのだということがよくわかりました」

「朝家を出る時、無事に帰れるか分からない…と話される中で、それでもガザの状況は比較にならない、と話されていることがつらく心に残りました。ヨルダン川西岸で被害を受けている方も、ガザのことを思うと声をあげにくいのか…そうした状況が、本当につらいです」

そして、たくさんの方から「パレスチナの皆さんに想いを馳せながら、これからもパレスチナのオリーブオイルを使い続けます」というメッセージも届きました。 

<生産者へのメッセージ>

「あの困難な状況の中でオリーブオイルが送られてくるのは奇跡をしか言いようがありません。」

「命をかけて生産・収穫を行っておられることに敬意を表します。」

「土地に根ざして生きる決意を応援します。希望や志をどうか持ち続けてください。」

「生産者の方々の真の笑顔を見られる日を実現したいです。」

「命の危険より自分たちの土地、オリーブを守るという気持ちの強さに感銘を受けました。」

「皆さんが平和にオリーブを栽培できて、私たちがそのオリーブオイルを買い続けられますように祈っています。」

感想や生産者へのメッセージにもあったように、パレスチナの人々にとってオリーブの木はかけがえのないものであることがお二人のコメントからひしひしと伝わってきました。フアッドさんが語っているように、オリーブオイルの民衆交易は、農民が祖先から引き継いだ土地に留まり、オリーブを生産しながら尊厳を持って生き続けるということへの連帯運動であることを実感できたセミナーだったと思います。

○セミナー全編アーカイブ

広報室 小林和夫

<今月のおいしい!>パレスチナの伝統料理「ムサッハン」

2025年2月6日

「今月のラディーズ!(おいしい)」は、パレスチナの伝統料理「ムサッハン」。

※「ラディーズ」はアラビア語で「おいしい」という意味です。


パレスチナ農業開発センター(UAWC)スタッフのサナ・カラジェさんに紹介していただきます。

パレスチナの食卓には、オリーブオイルが欠かせません。ザータル(乾燥させたタイムの粉末とゴマを混ぜたもの)はオリーブオイルと混ぜて使いますし、炒め物などにも頻繁に使います。食卓でも、ほぼ全ての料理の仕上げにオリーブオイルを垂らします。
中でもこのムサッハンは、オリーブオイルをたっぷり使って味わいます。

ムサッハンは、力強い風味で具だくさんの伝統的な料理です。焼いた鶏をタブーンというパンに乗せ、炒め玉ねぎ、スマック(酸味のあるスパイス)、オリーブオイルと松の実を混ぜた酸味のある濃厚なソースに浸して食べます。味付けにはオールスパイスやたっぷりのスマックなど様々なスパイスを使うので、大地のような味わいと同時に柑橘系の風味も感じられます。玉ねぎや鶏から出た風味豊かな汁をパンにしっかり染み込ませてからオーブンで焼き、端のカリっとした食感と中央のしっとりした食感を両方楽しみます。

親戚が集まる時など、ちょっと特別な日に食べます。女性たちが台所に集まり、オーブンでパンを焼く人、玉ねぎソースにパンを浸す人など、みんなで手分けをして作業します。特に新鮮なオリーブオイルが手に入りやすいオリーブの収穫時期に、ぴったりの料理です。パレスチナでは夕食ではなく、お昼が一日のメインの食事なので、このボリュームたっぷりの料理は、お昼に向いています。

~ムサッハンのレシピ~

材料:
・丸鶏1羽 切り分けておく
・玉ねぎ 大4個(みじん切り)
・エキストラバージンオリーブオイル 1/2カップ
・スーマック 大さじ2-3
・オールスパイス 小さじ1
・シナモン 小さじ1/2
・塩、胡椒 適量
・タブーン(平らな丸いパン。しっかりと油を吸うように厚めの方がよい) 4-6枚
・炒った松の実 1/4カップ


作り方:
1.塩、胡椒、オールスパイスとシナモンで鶏に下味をつけ、200℃のオーブンで45分程(黄金色に焼き色がつき、中に火が通るまで)焼く。
2.大きめのフライパンにオリーブオイルを熱し、玉ねぎがあめ色になるまで炒める。スマック、塩、胡椒で味を調える。
3.タブーンを軽くオリーブオイルに浸し、上にたっぷりの玉ねぎを広げ、焼いた鶏肉と炒った松の実を散らす。
4.パンの淵がカリっとするまでオーブンで焼く。温かいうちに召し上がれ!

私の実家にはオリーブの樹があり、オリーブの収穫シーズンには一年分のオリーブオイルを作って大きな甕で貯蔵します。農村地域の多くの家庭にはオリーブの樹がありますし、オリーブの樹がなくても、できたオリーブオイルを親戚に分けてもらったりして、オリーブオイルを買うことはほとんどありません。

サナ・カラジェ(UAWCスタッフ)

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コラム「今月のおいしい!」では、産地の食事や食文化について紹介していきます。
前回の記事はこちら→ 社員食堂の人気メニュー
エコシュリンプの製造から出荷までを担っているオルタートレード・インドネシア社の社食を紹介しています。


   

<今月のおいしい!③>パペダのレシピ トロロアオイの葉の包み煮(Gedi Gulung)

2025年1月10日

パペダのレシピとしてパプアでも人気のある「トロロアオイの葉の包み煮」をご紹介します。

パプアの人々の間では、全能の神がサゴヤシ、サトウキビ、バナナ、サツマイモなどの生活に役立つさまざまな種類の地元の植物や、蝋燭野菜やトロロアオイなどの代表的な野菜を与えてくれたと言われています。このレシピを見ても納得ですね。

〇材料

トロロアオイの葉、蝋燭やさい、サゴヤシ澱粉(作り方はコチラを参照)、ココナッツ、レモングラス、ニンニク、赤唐辛子、ライムの葉、*植物油、*塩(*購入する材料、他は自家調達)

トロロアオイの葉(Daun Gedi)

トロロアオイは、オクラと同じアオイ科トロロアオイ属の植物。オクラに似た花を咲かせることから花オクラとも呼ばれています。多年生の植物でアジアに広く分布しています。トロロアオイは非常に栄養価が高く、その葉には、鉄、ビタミンA・Cなどが豊富に含まれています。さらに、タンパク質含量も高く(乾燥重量で12%)、貴重な栄養源としてさまざまな料理に使われています。

蝋燭野菜 (Sayur Lilin)

蝋燭野菜はサトウキビ属の一種で、外見はサトウキビに似ており、茎の節の中に詰まった魚卵状の花を食用とします。蝋燭野菜は、パプアの人々が約8,000年前にパプアで最初に栽培を始めた野菜と言われています。今でも伝統的な料理に使われており、市場でも販売されています。

〇調理方法

【トロロアオイの葉で包む】

① ココナッツの実を割り、内側の白い果肉をこそげ取ります。
② トロロアオイの葉を2枚、茎を両端に向けて広げ重ねます。材料は左からサゴヤシ澱粉、すりつぶした調味料、ココナッツ、蝋燭野菜。
③ サゴヤシ澱粉、ココナッツをトロロアオイの葉の上に広げ、その上にほぐした蝋燭野菜を乗せます。
④ 茎が両端に来るように葉を丸めて具材を包み込みます。両端の茎を折り込んで、丸めた葉が広がらないようにレモングラスで縛るとトロロアオイ葉ロールのできあがりです。

【調理する】

⑤ フライパンに少量の水を入れて加熱します(水の量はトロロアオイ葉ロールが浸る程度)。細かく砕いたニンニクとエシャロット、レモングラスとライムの葉、お好みで塩や市販の調味料を加えて味を調整し、沸騰させます。トロロアオイ葉ロールを液に浸るようにフライパンに並べ、中心に熱が十分に通るまで煮ます。
⑥お皿に盛り付けて、お好みでサンバル等の薬味を加えていただきます。

現地取材:義村浩司(カカオキタ社ボランティア)

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◆前回の記事はこちら→<今月のおいしい!②>パペダの食べ方

インドネシア・パプア州の日常食「パペダ」の作り方をご紹介。

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【動画】安全やおいしさを守る「監査人」の仕事

2024年8月28日

今回は、インドネシア第2の都市、東ジャワ州の州都スラバヤ市の南隣にあるシドアルジョ県で監査人をしているマルジュキさんの仕事を紹介します。

生産から加工、輸出まで一貫管理されているエコシュリンプ。
エビの養殖池では、決められた養殖基準が守られているか定期的に監査を行っています。その役割を担っている監査人は、安心・安全なエコシュリンプをお届けするために欠かすことができません。

シドアルジョ県の生産者は93名*で、池の総面積は約1,900ha*あり、東京ドーム約406個分にのぼります。これらを14名の監査人で担当しており、日々生産者の養殖池を周り、養殖から収獲までの各工程のあらゆる事をチェックしています。

*24年7月時点

収獲されたエビのチェック

監査人の仕事は多岐に渡ります。エビ養殖についての幅広い知識が必要なのはもちろん、生産者との信頼を築き、良好な関係性を維持していくことも大切な仕事の1つです。あまり表に出ることがない監査人の仕事ですが、エコシュリンプを支えるとても重要な存在です。

水質検査の器具で生産者にも水質の状況を伝える
妻のエティ・スマニシさんと娘

マルジュキさんは家に帰れば可愛い娘さんが待っている1児のお父さんでもあります。
毎日早朝5時にはまだ薄暗いなか仕事に出かけますが、朝のお祈りの後は子どもが学校に行く仕度を手伝ってから出かけるのが日課なのだとか。

\ マルジュキさんは今日も養殖池に向かいます! /

エコシュリンプ産地の今を伝える動画は、今後も定期的に配信予定です。 次の動画も楽しみにお待ちください!

第一弾は、こちらから→ 粗放養殖ってどんな養殖?生産者が語る、その難しさやこれからの課題

第二弾は、こちらから→ エコシュリンプ生産者に聞いてみた!~課題や悩み、イマドキの養殖事情~

第三弾は、こちらから→ エコシュリンプの若手生産者にインタビュー!inインドネシア・スラウェシ島~

第四弾は、こちらから→ エコシュリンプを支える「監査人」

エコシュリンプ産地の今を伝える動画は、今後も定期的に配信予定です。次の動画も楽しみにお待ちください!

▶エコシュリンプとは?

PtoP NEWS vol.62

2024年7月2日

PDFファイルダウンロードはこちらから→PtoP NEWS vol.62

【バナナニュース351号】干ばつに負けずに育てたバナナです

2024年6月4日

昨年8月頃よりエルニーニョ現象が発生しており、2~4月頃よりフィリピン全体で乾燥状態や干ばつが起きています。乾燥により水分が不足すると、バナナの果実の発育が妨げられて品質が低下したり、幹が折れて収穫できなくなったりします。また、酷暑が続くと、バナナの実が黄色くなったり、皮の組織が壊れて黒くなったり赤くなったり、出荷のための品質基準に満たないバナナも多く出ます。

バランゴンバナナの産地は4つの島、8つの地域にまたがっていますが、エルニーニョ現象による乾燥状態や干ばつの影響は地域によって大きく異なっています。

同じネグロス島内でも、通常とあまり変わらない出荷数量を維持できている産地もあれば、出荷数量を大幅に減らしている産地もあります。全体として、開けていて日陰がない圃場や標高が低い産地にある圃場は高温や強烈な日差し、雨不足の影響を受けやすい状況があります。

一方、日陰がある圃場は酷暑や強烈な日差しを免れられることや、ミンダナオ島などの標高が高い産地にある圃場は山間部で比較的気温が低いことや朝晩は霧が出て湿度が保たれることなどから、雨不足などの影響が小さく、生産性を維持できています。

標高の高い地域で午後に霧が出てきた様子

また、産地では日本への安定的な出荷のために頑張って苗を植え付けていますが、干ばつの影響の小さいミンダナオ島などでも、せっかく植えた苗が水不足で十分に成長できない状況や半分ほどダメになってしまうような状況が起きています。そうした中、バランゴンバナナの出荷を担うオルタートレード・フィリピン社では、生産者団体に対して新しく植える株や肥料の鶏糞の支援などを行っています。

なお、ネグロス島やミンダナオ島では猛暑により学校の授業がお休みあるいは午前中のみとなったり、オルタートレード・フィリピン社のスタッフが猛暑で体調を崩したりもしていて、異常気象がバナナ栽培のみならずフィリピンの人びとの生活に様々な影響を及ぼしていることを感じます。

産地による違いはありますが、全体的には日本の消費者の皆さんへの販売に十分な数量のバナナが出荷されています。

干ばつに負けずに育てたバナナ、是非たくさん食べていただけると嬉しいです!

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よろしければ、このニュースを読んだ感想をお聞かせください。
生産者へのメッセージは生産者に伝えていきます。よろしくお願いいたします。
なお、すべての質問項目に関してご回答は任意です。

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