マスコバド糖バナナトースト

2024年5月31日

パレスチナ農業開発センター(UAWC)より:イスラエル人入植者による集団的暴力についての会見

2024年5月15日

パレスチナ農業開発センター(UAWC)は、2024年4月21日(日)、ヨルダン川西岸地区のラマッラー県アル・ムガイール村で記者会見を開きました。記者会見は、4月12日から16日にかけて、イスラエル占領軍の保護下にある武装したイスラエル人入植者1,500人以上が、ヨルダン川西岸地区一帯で大規模な集団的暴力を実行した事件について伝えるために開かれました。

UAWC国際アドボカシー・オフィサーのヤスミーン・エル=ハサンさん、UAWCロビー活動・アドボカシー・ユニットのディレクターであるモアイヤド・ブシャラットさん、アル・ムガイール村の農民であるガッサン・アブ・アリアさん、アル・ムガイール村の診療所で看護師をしているニダ・ナーサンさん、そして村議会の議長であるアミーン・アブ・アリアさんの5名が、それぞれの立場から事態の緊急性と深刻さを強調しました。

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以下、5名のお話の要点ならびにそれぞれが記者会見で強調したメッセージの引用です。

モアイヤド:パレスチナ人に対するイスラエル人入植者の組織的攻撃が激化しており、4月12日からの攻撃では、複数の死者と甚大な物的損害をもたらしている。今回の攻撃による経済的損失は、1000万シュケル(4億1000万円相当)を超える。入植者たちは、住宅、農業インフラ、家畜、救急車までも攻撃の標的とした。加えて、イスラエル占領軍と入植者は、パレスチナ人の農地へのアクセスを意図的に妨害しており、人びとの生活を妨げている。

“これらの攻撃の背景には、イスラエル政府、特にベン・グヴィール国家安全保障相とベザレル・スモトリッチ財務相の2人の閣僚が、ヨルダン川西岸地区のエリアCにおいてイスラエルの入植者や入植者運動が組織的攻撃を加速させることに許可を与えているという事実があります。また、2023年10月7日から現在に至るまで、イスラエル人入植者による攻撃、また都市や難民キャンプと農地の間にある840以上の軍事検問所によって農地への立ち入りが禁止されているため、パレスチナ人がオリーブの畑や果樹園の65%以上に立ち入ることができないことを、私たちは目の当たりにし、注視しています。”

ニダ:イスラエルによるガザ地区での虐殺戦争以降、入植者による攻撃は前例のないレベルにまで激化しており、住民は日々恐怖に怯えている。女性や子どもを含む一般市民が無差別に標的にされている。入植者が使用した可燃性の液体によって村の家屋、車両、農地が炎に包まれ、重度の火傷を負った人びとが多数いる。私たち医療従事者は、無差別の銃撃と混乱の中でも救護のために最善を尽くそうとしたが、検問所で救急車が長時間止められるなど、意図的な妨害によって助かるはずだった命が奪われることにも直面した。

“子どもも女性も男性も、全員がIII度熱傷(訳者注:表皮、真皮、皮下脂肪層の3層すべてに損傷が及び、汗腺、毛包、神経の末端部も破壊されるようなひどい火傷)を負っていました。イスラエル人入植者が使っていた可燃性の液体は、あらゆるものをあっという間に燃やしてしまうこれまでに見たこともないものでした。想像を絶する速さで体全体に広がる様はまったく普通ではなく、不自然なほどでした。そうしたなかで私たちは誰を最初に助けるべきかわかりませんでした。子ども?女性?私たちは今までの人生で見たこともないような極端な熱傷を目の当たりにしたのです。イスラエル人入植者が使った可燃性の液体は、耐えられないほど効果的で素早く、視界に入るものすべてを焼き尽くします。家々、金属製のドア、岩の壁……すべてを溶かし、爆発させます。この液体が何なのかわかりませんが、村のあらゆるものにかけられ、数秒のうちに、すべてが炎に包まれました。”

アミーン:アル・ムガイール村の住民が長年にわたって直面しているイスラエル人入植者の侵略と土地の接収について、歴史的背景を説明。イスラエルは、村の生計にとって農業が極めて重要であることを知った上で、戦略的にパレスチナ人家族を土地から追い出そうとしている。圧倒的な困難にあっても、パレスチナ人と先祖伝来の土地との根深いつながりは揺るがない。

“アル・ムガイール村は、羊・山羊・牛の放牧や(オリーブなどの)季節的な農業で知られていて、村の収入源は、この地域に100%依存しています。入植者専用道路の背後にある土地が、村人にとっての主な収入源となっているのです。悲しいことに、占領軍はそれを知っていて、戦術として使っているのです。かつて彼らは農民を捕虜にし、土地から追い出しました。そして、極端な罰金を科したのです。羊を没収したり、拘束したりもしました。言い換えれば、私たちは長年にわたり、様々な形の攻撃や侵略を経験してきたのです。”

“私たちの村としてのメッセージは、どんな代償を払っても、私たちは自分たちの土地で断固として生き抜く覚悟です。なぜなら私たちパレスチナ人は、子どもたちとオリーブの木を同等なものと考えているからです。子どもたちと土地に対する愛情はひとつであり、同じものなのです。”

ガッサン:イスラエル人入植者の執拗な攻撃によってパレスチナ人農民の生活基盤を奪われている。入植者は占領軍と連携して、組織的な攻撃を行っている。生活を支える家畜や農具を失った農民への支援、攻撃によって壊滅的な被害を受けた人びとが生活を再建するための支援が必要である。

“私と私のコミュニティ、そしてパレスチナ人一般と土地との関係はとても深いものです。私は祖父から、祖父は彼の祖父から、その彼もまた自分の祖父から、そうやって代々この土地を受け継いできたのです。土地は、私たちの遺伝子、私たちの心に深く根ざしている私たちの一部なのです。ここが私たちの故郷であり、ここ以外に私たちの居場所はありません。私たちは愛情を持って、粘り強くこの土地にとどまります。支配、占領、植民地主義という要素以外、この土地とは何のつながりもない別の国からやってきた入植者たちに屈したり、土地をあきらめたりすることはありません。(中略)あと100回攻撃されるかもしれないとしても、私たちはこの土地を離れません。攻撃はさらに激しくなることは分かっています。しかし、農民として、この村の人間として、私たちはこの土地を離れることはありません。”

ヤスミーン:入植者による集団的暴力は、セトラー・コロニアリズム(入植者植民地主義)支配という文脈の中で起こっている。入植植民地主義の基本は、土地の収奪であり、それが現在起こっているすべてにつながっている。国際社会、特に米国が、イスラエルへの軍事資金提供や積極的な支援を通じて、イスラエルの入植者植民地プロジェクトを永続させていることに加担している。

“ガザ地区では、イスラエルの占領がこれらすべてを破壊しました。そしてヨルダン川西岸地区では、イスラエル占領軍がアル・ムガイール村のようなパレスチナ人コミュニティの孤立を作り出そうとしているのです。パレスチナの食料システムと土地を標的にし、混乱させ、破壊することは、イスラエルの入植植民地主義の戦術的戦略です。”

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なお、記者会見全体の記録の日本語訳(PDF)をダウンロードいただけます。16ページというボリュームですが、日本のマスメディアではほとんど伝わってこないヨルダン川西岸地区の現状についての生の声です。一人でも多くの方に届くことを願っています。そして、UAWCのヤスミーンさんの訴えにあるように、日本からもパレスチナの人びとの草の根の努力を支援し、正義のため・抑圧されたコミュニティのために共に立ち上がりましょう。

また、記者会見の動画(英語)も公開されています。5名の方が実際にお話されている様子をご覧になりたい方は、ぜひこちらのリンクにアクセスください。

まとめ:野川未央(のがわ・みお/APLA事務局)

【バナナニュース350号】材料2つの簡単レシピ!バナナのオートミールクッキー

2024年5月1日

素朴でやさしい甘さがクセになるクッキーです。オートミールを使ったことがない方もいらっしゃると思いますが、つぶしたバランゴンバナナと混ぜるだけのシンプルな作り方で、オーブンを予熱している間にタネの準備ができますので、是非一度お試しください!

たんぱく質や食物繊維、鉄分がたっぷりのオートミールを簡単にお使いいただけます。焼き立てがおすすめですが、冷めたら軽くトースターで温めるとバナナの甘い香りが立って美味しくいただけます。

ザクザクとしているような見た目に反して、しっとりした食感です。お好みでマスコバド糖やカカオニブ、ナッツなどを加えても。オートミールの代わりにグラノーラを使ったりアレンジも楽しめます♪

<材料>

・バランゴンバナナ:100g(完熟バナナがおすすめです)
・オートミール(ロールドオーツ、クイックオーツなど):50g
※バナナが完熟していない場合や甘めがお好みの場合は、マスコバド糖を10gほど加えると甘みやコクが増します。

<作り方>

  1. オーブンは170℃に予熱しておく。
  2. ボウルにバナナを入れ、フォークやヘラを使ってペースト状にする(小さな塊は残っていてもOK)。
  3. オートミールを入れて混ぜる。天板にクッキングシートを敷き、その上にタネをスプーンなどで6mm程度の厚さにして並べる。
  4. 予熱しておいたオーブンを160℃に設定して20~25分、途中、焦げないよう様子を見ながら焼く。

☆トースターでもOK!焼き時間はレシピと同じですが、ご家庭のトースターによって焼き加減が異なりますので、焦げないようご注意ください。

\ この他にもバランゴンバナナを使ったおすすめレシピを紹介中です♪ /

「ガザの飢餓を止めろ」キャンペーン報告③

2024年4月24日

パレスチナ農業開発センター(UAWC)

2024年3月17日 

この5カ月間、激しい砲撃や困難にもかかわらず、パレスチナ農業開発センター(UAWC)は「ガザの飢餓を止めろ」キャンペーンにて、ガザ地区の96,975人の受益者に支援を届けました。支援はどれも必要不可欠なもので、食料パック44,000個、衛生用品12,000個、暖かさを確保し尊厳を守るマットレスと毛布、深刻な燃料不足に対応するための薪などです。さらに、172,000人に対して、生存に不可欠な飲料水を届けました。本キャンペーンは、ガザの悲惨な状況下にある救済と支援に集中的に取り組んでいますが、なかでも最も弱い立場にある人びとを優先し、受益者の65%以上が女性と子どもとなっています。

  • キャンペーンについて

ガザ地区北部の状況は特に悲惨で、飢饉は驚くほどに深刻化しています。食料が圧倒的に足りないため、封鎖された約70万人のパレスチナ人が餓死の恐怖に直面しています。UAWCのキャンペーンは、こうした圧倒的な困難にもかかわらず、支援を届けるという使命を堅持しています。この活動は、単なる救援活動以上のものであり、人間性ならびに最も過酷な状況下でのパレスチナ人の生存に対する揺るぎない献身を象徴しています。

イスラエル軍が継続的かつ直接的に人道援助をも標的にしていることは、危機を悪化させるだけでなく、戦地における民間人と援助関係者の保護に関する国際法と規範に違反しています。これらの国際法や規範は、援助物資の安全な輸送を保証し、原則に違反した者には相応の責任を負わせるという国際社会の役割の重要性を浮き彫りにしています。

「ガザの飢餓を止めろ」キャンペーンは、単に飢餓と闘うだけでなく、人びとが自活する力を組織的に破壊しようとすることにも対抗するものでもあります。未曾有の人災に直面しながらも、生きる権利、基本的ニーズを満たす権利、人間の尊厳を保つ権利のための闘いなのです。このような逆境におけるガザ地区のUAWCチームとパレスチナ人の勇気と回復力は、人間の精神の強さと、世界的な連帯と行動の緊急性を痛感させるものです。

  • キャンペーン支援実績

この5カ月間、特に最近の危機的な時期に、以前はアクセスが困難だった地域にも到達し、必要な支援を届けることができました。具体的には、ガザ地区北部ならびにハン・ユニスの激しい砲撃を受け、数々の困難に直面している地域です。3月半ば現在までに、96,975人の受益者に支援を届けることに成功し、様々な野菜を含む必要不可欠な食料パック、少女や女性のための衛生・生理用品、マットレスや毛布、調理用ガスがないために暖房や調理用の薪などを提供しました。加えて、約1,000人の避難民のために肉や温かい食事も提供し、危機的状況のなかで当面必要な栄養の摂取に対応しました。また、被害を受けた地域まで給水車が入ることで、ガザ地区全域で172,000人以上に飲料水を供給することができました。

以下は、本キャンペーンで達成された支援の詳細です:
・食料パック(必要不可欠な食料品と野菜)44,000個
・衛生用品12,000個
・子ども用衣料8,000枚:防寒だけでなく子どもたちの尊厳を守るため
・毛布4,000 枚:避難している家族が睡眠を取る環境の改善のため
・薪4,976本:ガスがない状況下での暖房や調理のため

危険性の高い状況下で支援を提供できたことは、UAWCスタッフと支援者の強さと献身の証だと言えます。そして、これらの成果は、ガザ地区のパレスチナ人の苦しみをさらに軽減するために、支援と連帯を継続することの緊急の要件であることを強調しています。

  • 物資不足という課題を乗り越えるために

イスラエルの占領による封鎖と「飢餓の武器化」により、ガザ地区内で入手可能な資源は乏しく、多くの品物が圧倒的に不足しており、入手できたとしても法外な値段となっています。たとえば、卵1カートンが30ドル(約4500円)、鶏1羽が25ドル(約3750円)、25キロ入りの小麦粉の袋は、ガザ地区北部では1,000ドル(約15万円)もするのです。このような悲惨な状況に直面し、UAWCは、農業に復帰し、トマト、キュウリ、ジャガイモ、レンズ豆、油、エンドウ豆などの野菜を生産している地元の農家を頼りにしています。一部の地域では爆撃が続いていますが、被害の少ない地域では、かなりの数の農民が畑仕事を再開しています。

加えて、UAWCは、エジプトからある程度の食料品を輸入することに成功した複数の業者と関係性を築いています。しかし、これらの輸入品は非常に高い値段で売られており、すでに困難な状況をさらに悪化させているという問題が残ります。こうした制約に対応するため、UAWCは、地元では「タカヤット」と呼ばれる、住民に温かい食事を提供する公共の調理施設を通じて、温かい食事を供給することに重点を置いてきました。これらの調理施設に肉と米を供給し、温かい食事を調理して公共のスペースで数百世帯に配給できるようにしています。この取り組みは、緊急の栄養ニーズに対応するだけでなく、封鎖されたガザ住民の間に連帯感と互助意識を育むものでもあります。

さらに、ガザ地区の南部と中央部では、部分的に修復されたいくつかの井戸を利用して水の供給管理をしています。封鎖と継続する戦争によって悪化した深刻な水危機への対処は、UAWCの取り組みの重要な要素となっています。UAWCは、井戸のような水源を修復することで、必要不可欠な清潔な飲料水に何千人もの住民がアクセスできるようにし、包囲下で生きる住民にとっての最も差し迫ったニーズのひとつに貢献しています。この取り組みは、逆境に直面した時の適応力と回復力を浮き彫りにするだけでなく、ガザ地区で生き延びるための資源として水が極めて重要であることを示すものでもあります。

UAWCは、今後も継続する本キャンペーンで、苦境に立たされているガザ地区の住民をさらに支援するため、複数の重要なニーズに焦点を当てていきます。これらのイニシアティブは、現在進行中の封鎖と戦争によって悪化している、緊急的課題および長期的課題に対処するためのものです。

1.ガザ地区北部の掘抜井戸(*)の復旧:深刻な水危機を認識し、北部地域の掘抜井戸の復旧に重点を置く。これにより、何千人もの人びとが重要な飲料水源を利用できるようになり、最も差し迫った生存ニーズのひとつが緩和されることを目指している。
*被圧地下水の性質を利用して、自然に水が噴き出す井戸。

2. ガザ地区中央部および南部におけるより多くの農民への支援:農業はガザの人びとの生命線であり続けている。UAWCは、ガザ地区中央部と南部において、比較的安全な農地により多くの農民がアクセスできるように支援する計画を立てている。野菜の栽培は、封鎖下にある人びとにとって欠かせない食料を地域内で生み出すことに寄与する。

3. 女性、特に少女の健康ニーズへの集中的対応:ガザ地区における女性と少女の健康と衛生に対するニーズは、最重要課題である。UAWCは、危機下にある女性たちが直面する特有の課題を認識し、重要なニーズに対応するために、必要な衛生・保健用品の提供に重点的に取り組むつもりである。

4. 避難所のトイレと衛生設備の復旧:避難民の増加に伴い、清潔で利用しやすい衛生施設の必要性がこれまで以上に重要になっている。避難所のトイレやその他の衛生施設を修復し、人びとの尊厳の保持と疾病リスクの軽減に努める。

5.断食月(ラマダン)の間の温かい食事の配布拡大:断食月(ラマダン)の間、温かい食事の配給に力を入れる。UAWCは、断食中の人びとがイフタール(*)の時間帯に少しでもくつろぎと栄養を得られるよう、温かい食事の提供を拡大することを目指している。
*ラマダン中、日中の断食を終え、最初に食べる食事のこと。

6. 衣類の配布:現在の悲惨な状況下における基本的な衣料品のニーズを認識し、子どもを含めた家族全員が季節の変化に対応できるような衣服を得られるように、必要としている人びとへの衣料品の配布を継続、拡大することを計画している。

このように的を絞った支援によって、ガザ地区の人びとの差し迫ったニーズに取り組むと同時に、より長期的な持続可能性と回復力の基礎を築くことを目的としている。UAWCは、水へのアクセス、農業支援、健康ニーズ、衛生、栄養に焦点を当てることで、ガザ地区のパレスチナ人の苦しみを和らげ、尊厳を持って安全に生きる権利を支援することに全力を尽くしています。

上記の目標達成のために、今後も本キャンペーンを支援してくださるパートナーや支援者の皆さまに深く感謝いたします。皆さんの揺るぎない協力は、ガザの苦しみを軽減するための私たちの取り組みに不可欠なものです。

ガザの人びとが直面している状況は筆舌に尽くしがたく、人間の尊厳の本質に触れるものです。占領は、このような悲惨な人道的状況を作り出すことで、パレスチナ人を服従させ、排除しようとしているのです。

従って、私たちは、この大量殺戮的な猛攻撃に直面するガザ住民の回復力を支援することに貢献する良心を持つすべての人びとに呼びかけます。あなた方の連帯と支援は、これまで以上に重要です。共に力を合わせれば、私たちは変化をもたらし、ガザの人びとの尊厳と生存を守ることができるのです。

私たちと共に歩んでくださり、ありがとうございます。

PtoP NEWS vol.61

2024年4月22日

PDFファイルダウンロードはこちらから→PtoP NEWS vol.61

< 社員募集のお知らせ >

2024年4月19日

募集人数:正社員2名

職種:食品の輸入業務、営業、事務全般

仕事内容:取扱商品(輸入食品)の輸入業務、営業。

輸入実務、担当商品の在庫管理や品質管理、国内の既存顧客への営業や配送手配など幅広い業務を担っていただける方を募集します。

海外産地との折衝や出張も含めた海外産地とのやり取りなどの可能性もあり、英語でのコミュニケーションが必要となります。

応募資格:

英語によるコミュニケーションができる方(TOEIC730点以上。800点以上尚可)

基本的なPCスキル(Word、Excel等)のある方

35歳位までの方

待遇:

当社各規程、社会保険完備、交通費支給、土曜・日曜・祝日休(業務内容により休日出勤もあり)、年末年始休、有給休暇

労働時間:9:00~17:00
就業場所:東京都新宿大久保
    (最寄り駅:東京メトロ西早稲田駅、または都営地下鉄東新宿駅)

入社予定日:2024年5月(応相談)

試用期間:2か月

審査方法:書類審査を通過した場合、面接を実施

応募:以下の書類をご提出ください。

  • 履歴書
  • 職務経歴書

PR:

弊社では未経験でも活躍できるようフォローアップ体制を整えています。
海外の生産現場や食に興味があり、営業や輸入業務を通して「民衆交易」を担う一員として活躍して頂ける元気な方を募集しています。

<書類送付先>

〒169-0072 東京都新宿区大久保2-4-15サンライズ新宿3F

株式会社オルター・トレード・ジャパン 管理部 宛

食のギャラリー/コーヒー「アイスコーヒー②」

2024年4月18日

和風ガスパチョ

2024年4月15日

洋風茶わん蒸し ビスクソースがけ

2024年4月12日

エビトースト

2024年4月12日

【バナナニュース349号】動画『バランゴンバナナは友情の証』 ~ネグロス島生産者からのメッセージ~

2024年4月2日

バランゴンバナナの民衆交易発祥の地、フィリピン・ネグロス島の生産者3名をインタビューしました(動画:約11分)。

民衆交易当初からの生産者サミュエルさんと、農家2代目の若手生産者ライリーさんは、ネグロス島の中部にそびえるカンラオン山の麓にある産地ラ・グランハの生産者です。

もうひとりは、ネグロス島の北西部に位置する産地ランタワンの女性生産者ルイサさんです。ルイサさんが所属する生産者協会では多くの女性生産者が活躍しています。

ルイサさん

「バランゴンバナナは生産者と消費者をつなぐ架け橋です。交易にとどまらずそこには友情があり、バランゴンの向上と成功のために一体となっています。」とサミュエルさん。生産者それぞれが思う民衆交易について話してくれました。

ぜひ、ご覧ください!

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よろしければ、このニュースを読んだ感想をお聞かせください。
生産者へのメッセージは生産者に伝えていきます。よろしくお願いいたします。
なお、すべての質問項目に関してご回答は任意です。

つながる、共感する、支え合う ~民衆交易フォーラム報告〜

2024年3月18日

2023年10月8日(日)、連合会館(東京都千代田区)にて民衆交易フォーラムを開催しました。民衆交易の開始から30年以上の年月を経て、生産者、消費者を取り巻く社会情勢、経済状況なども変わってきました。

あらためて、オルタナティブな貿易の仕組みとして、民衆交易がどのように始まり、どのような経過をたどって現在に至っているのかを振り返りつつ、今いる私たちがお互いに現在の状況を共有し合い、これからの民衆交易を一緒につくっていくため、本フォーラムを企画しました。

フォーラムには会場122名(フィリピン、インドネシア、パレスチナ、パキスタン、ネパール、韓国からの海外参加者24名を含む)、オンライン39名、計161名もの方にご参加いただきました。

午前の報告の部では、これまでの民衆交易の歩みをまとめた動画「ATJの歩みと商品紹介」上映の後、行岡良治氏(現・一般社団法人グリーンコープ・ワーカーズ・コレクティブ連合会顧問)による民衆交易が始まった経緯のお話に次いで生産者側より各商品の交易の歩み、そして日本と韓国の生協団体から民衆交易や産地交流の取り組みを発表してもらいました。

<報告内容>

・バランゴンバナナ、マスコバド糖:ノルマ・ムガール氏(オルタートレード・フィリピン社 ATPI)
・エコシュリンプ:ハリー・ユリ・スサント氏(オルタートレード・インドネシア社 ATINA)
・パレスチナのオリーブオイル:サリーム・アブガザレ氏(パレスチナ農業復興委員会PARC ※ビデオ報告)
・パレスチナのオリーブオイル:カレッド・ヒデミ氏(パレスチナ農業開発センター UAWC ※ビデオ報告)
・パプアのカカオ:ハンス・ルマロペン氏(カカオキタ社)
・パルシステム生協連合会:松野玲子氏
・生活クラブ生協連合会:伊藤由理子氏
・グリーンコープ生協連合会:日高容子氏
・韓国PTCoop:アン・ミンジ氏(韓国生協の取り組み)

▼「ATJの歩みと商品紹介」

午後は8つの小グループに分かれて交流しました。各グループには産地からの参加者が加わり、生産者、消費者からの質問にそれぞれ答える形で交流しました。折しも前日(10月7日)ハマスとイスラエルによる武力衝突が起き、それを受けて最初にUAWC代表のフアッド・アブサイフ氏よりパレスチナ情勢について報告がありました。イスラエル占領下での人権侵害や武力衝突によるガザ地区での被害を危惧するコメント、国境封鎖のおそれがあるため早急に帰国しなければいけないという説明に参加者はパレスチナの人びとが直面する困難に心を痛めました。

参加者からは「民衆交易の歩みを知ることができた」、「産地の皆さんと直接お話でき、他の日韓生協の取組みや理念を伺うことができて有意義だった」、「たくさんの出会い、気付き、交流に感謝したい」との感想が多数寄せられました。

多くの方が印象に残ったとコメントしたのが、行岡氏の報告でした。

▼民衆交易が始まって間もない頃の苦労やその覚悟など、初期から関わってきた行岡氏による当日の報告が動画でご覧いただけます。

・「マスコバド糖の交易はよいことだけではない。悲惨な状況を憎みゲリラとなった兄や姉の銃に化けるかもしれないが、子どもたちが死んでいるのだから、それでもやるのだ」というお話に大変感銘を受けました。背筋がより伸びましたし、そこまで覚悟してやっていたのだなと、とても感動しました。

・現地視察に行った組合員理事は、現地の子どもが紙袋のように軽いことに衝撃を受けて、「もっと何かできることがあるはず」と考えて、バランゴンバナナを取り扱うことになったというのも心に残りました。

・「フェアトレードがまずモノありきで行われる貿易であるのに対し、民衆交易はまず人ありきで、人との連帯から始まる」という言葉がすとんと腑に落ちました。

パレスチナの状況を懸念する感想もご紹介します。

・パレスチナのフアッドさんの発言には涙してしまいました。ひとりひとりの顔が見えることで、その後のニュースが本当につらいですが、顔が見える交流はとても大事なことであると再認識しました。

・パレスチナ問題は、あまりにも複雑すぎるような気がして、正直、私は避けてきました。けれど、同じ空間にいる彼からのお話が衝撃的で、目を背けてはいられないという気持ちになりました。帰宅してニュースを見ると、他国がパレスチナかイスラエルのどちらかを非難するというような報道がされていました。それらの報道からは、フォーラムで発言されたような、地域に根差してふつうに暮らしを営んでいる市民のことを感じ取ることはできませんでした。今回のフォーラムに参加していなければ、もっと表面的なものの見方しかできていなかったかもしれません。私自身も関心を持ち続けておきたいと思います。

フィリピンの参加者から「民衆交易が世代を超えて続いていくために、このようなフォーラムが継続的に行われ、成果と課題が共有され、次世代も民衆交易に関わっていくことができるよう願っています。」とのコメントがありました。今後も生産者と消費者が顔を合わせて交流するこのような機会を作り、民衆交易の輪を広げていきたいと考えております。

【動画】エコシュリンプを支える「監査人」

2024年3月7日

エコシュリンプ産地の今を伝える動画の第四弾のご紹介です。

エコシュリンプが決められた養殖基準に沿って育てられているかどうかを確認していく監査人の仕事は、 縁の下の力持ち的なポジションなので目立つことはありませんが、おいしくて安心安全なエコシュリンプを届けるために非常に重要な役割を担っています。

<監査人の仕事>

日が昇り、今日もイスマイルさんの1日が始まります。バイクにまたがり向かう先は養殖池!

今回の舞台であるピンラン県には、イスマイルさんを含む3名の監査人がいて、その3名でピンラン県にいる 約1000名の生産者を監査しています。1日3名ほどの養殖池を回り、日々監査を行っています。

監査人は、生産者と養殖方法について話し合い、よりよい養殖ができるようサポートも行っています。 生産者の頑張りだけでなく、監査人のサポートもあってこそのエコシュリンプなのです。

2人の娘のお父さんでもあるイスマイルさん。

続きはぜひ動画でご覧ください▼▼

エコシュリンプ産地の今を伝える動画は、今後も定期的に配信予定です。 次の動画も楽しみにお待ちください!

第一弾は、こちらから→ 粗放養殖ってどんな養殖?生産者が語る、その難しさやこれからの課題

第二弾は、こちらから→ エコシュリンプ生産者に聞いてみた!~課題や悩み、イマドキの養殖事情~

第三弾は、こちらから→ エコシュリンプの若手生産者にインタビュー!inインドネシア・スラウェシ島~

エコシュリンプ産地の今を伝える動画は、今後も定期的に配信予定です。次の動画も楽しみにお待ちください!

▶エコシュリンプとは?

「ガザの飢餓を止めろ」キャンペーン報告②

2024年2月13日

パレスチナ農業開発センター(UAWC) 2024年1月28日 

イスラエルによる大量虐殺が始まって113日がたちました。死者の数は27,000人、負傷者は7万人を超えました。なかでも最も被害を受けたのは、最も弱い立場にある子どもたちと女性です。ガザ地区の状況は、イスラエル軍による封鎖によってさらに悪化しています。

封鎖によって、食料、清潔な水、医薬品といった必要不可欠な資源の入手が著しく制限され、今や200万人以上のパレスチナ人が、深刻な飢餓に直面しています。

こうした状況下でUAWCは、人道危機を少しでも和らげるため、活動を継続しています。

《活動進捗と成果》

キャンペーンでは食料パックや食事、野菜、衛生用品、衣料品など、さまざまな物資を合計84,000人もの人びとに届けました。

  • 食料や水:合計5,000個の食料パックを困窮した5,000世帯に届け、7,000世帯以上に毎日の食事を提供しました。また、15万人以上に水を配給しました。
  • 衣類と衛生用品:衣類と衛生用品をそれぞれ1,000世帯に提供しました。
  • 病院支援:地域医療を強化するため、ラファとハンユニスにある病院に食事を提供し、医療スタッフと患者の双方を支援しました。

このキャンペーンは、ジャバリア、ハンユニス、ガザ市の3つの地域に集中して行われ、援助を最も必要としている人びとに確実に届くようにしています。
この他に、約4,000人の羊農家に、家畜の飼料を支援しました。

《支援継続に立ちはだかる壁》

「ガザの飢餓を止めろ」キャンペーンは、現在、大きな困難と課題に直面しています。
封鎖と戦争により食料、水、医薬品など命を支える重要な物資は驚くほど不足し、急速に減少しています。また、高い需要に対して供給が全く追い付かない状況下で、これらの物資の価格が高騰しています。キャンペーンは物資を確保する困難に直面し、たとえ入手できる可能性があっても非常に高い価格で調達せざるを得ません。さらに、イスラエル軍の継続的な爆撃が、支援物資を配布したり受け取ったりする人々の安全を脅かしています。

戦争が長引き、封鎖によって救援物資がガザに搬入することが認められなければ、人道危機がさらに深刻化することは明白です。現在ある物資は、ほとんどが戦争前にガザ地区内で備蓄されていたものですが、急速に枯渇しています。物資を補充できないことは、住民の命に重大な脅威をもたらします。特にガザ地区の中部と北部では、住民の飢餓が憂慮すべきレベルに達しています。

食料不足の状況は、キャンペーンがなし得る能力をはるかに超えており、被災した人びとの緊急かつ膨大なニーズにすべて応えることは非常に難しい状況です。人びとが希望を持てず、支援も絶対的に不足しているガザ地区において、皆さまからのご寄付が支えるUAWCの活動は単に物質的な支援だけでなく、被災した人びとへの精神的支援にもなっています。希望と物質的なニーズが少しでも人びとに行き渡るようUAWCはその使命に全力を尽くす所存です。

……………………………………

<募金報告>

これまでに寄せられた支援金額は3,200万円を超えました。UAWC及びもう一つのオリーブオイル出荷団体であるパレスチナ農業復興委員会(PARC)には、これまでに各1,500万円を送金し、支援活動に活用されています。

オンラインセミナー「パレスチナのオリーブ生産者は今」報告

2024年2月9日

2023年10月7日のハマスによる越境攻撃をきっかけに始まったイスラエル軍によるガザの大量破壊・ジェノサイド攻撃は4ヶ月に及び、ガザ地区では多数の死者、負傷者が出ています。また、食料や水、電気、燃料、医薬品が極度に不足し、ほとんどの住民が避難生活を強いられているガザ地区の深刻な状況はメディアでも報道されています。

その一方で、ATJオリーブオイルの産地であるヨルダン川西岸地区の緊迫した状況はかなか情報が届きません。収穫期を迎えたオリーブの産地はどうなっているのか。産地や生産者の現在を伝えるため、ATJと姉妹団体のAPLAは12月13日(水)にオンラインで現地とつないで、「パレスチナのオリーブ生産者は今」を開催しました。パレスチナとの時差(7時間)のため、19時から21時という遅い時間帯での開催にもかかわらず、278名(事前登録者数は409名)の方々にご参加いただきました。

以下、報告の要旨をまとめました。

1)ヨルダン川西岸地区の人びと、農民が置かれている一般的状況について

パレスチナ農業開発センター(UAWC)代表 フアッド・アブサイフ氏

1993年に交わされたオスロ合意に基づき、ヨルダン川西岸地区はA、B、Cの三つのエリアに分かれた。このうち、面積の60%以上を占め、行政も治安もイスラエルが実権を握るエリアCには、イスラエル人入植者70万人、パレスチナ人30万人が住んでいる。オリーブ生産者のほとんどがこのエリアCに住んでいる。

エリアCに建設されている高さ11メートルの分離壁(現地ではアパルトヘイト壁と呼ばれている)は全長750キロに及び、パレスチナ人の家族や土地を分断している。自由に移動することが難しく、教育や医療へのアクセスといった基本的なことさえままならない。

また、オリーブ生産者はイスラエル軍や入植者の日常的な暴力にさらされてきた。2023年は暴力が増え、23年上半期には591件、10/7以降は毎日40-50件の暴力事件が発生し、オリーブ生産者はほぼ移動できない状況である。

2)2023年10月7日以降の西岸地区の状況及びオリーブ収穫について

アルリーフ社(パレスチナ農業復興委員会・PARCのフェアトレード事業会社)代表 サリーム・アブガザレ氏

パレスチナには900㎢もの土地にオリーブの木が植えられているが、入植者にオリーブの木が抜かれたり、農民への暴力が起きていた。例年10月-11月が収穫期だが、2023年はガザ地区での紛争と重なってしまった。入植者による収穫中の農民への280件もの攻撃、また、オリーブを運搬する車両を燃やす事件が起きている。10月28日には、アル・サウィヤ村で収穫中の農民、ビラール・サーレフ氏が入植者によって銃撃され、亡くなった。

収穫ができなかったオリーブはオイルにして1500トン相当、金額にして1050万ドルもの大きな損失が出た。自分の土地にとどまり、オリーブを収穫するという当たり前の権利が奪われてしまった。

3)オリーブオイル民衆交易事業の意義について

○ フアッド・アブサイフ氏
フェアトレードは生産者の暮らしを支える大切な取り組みだ。だが、パレスチナのオリーブは他の産地、商品とは違った重要性がある。生産者はイスラエル占領下で貧しくされた小農民で、入植者の暴力によって常に危険にさらされている特殊な状況下でオリーブを生産している。生産者、労働者、消費者にとって公正な価値、価格で取引されるべき。民衆交易は農民がオリーブ生産を続けることを保証し、尊厳を保ち続けるために非常な重要な手段である。
 
○ サリーム・アブガザレ氏
この21年間、日本や韓国の消費者からは遠いパレスチナからオリーブオイルという商品だけでなく、占領下に住む人びとの物語も伝えようとしてきた。パレスチナ人が農業や土地を愛し、土地にとどまり、耕し続け、質の良いオリーブオイルを生産し、消費者に届けたいという農民の姿もその一つだ。

この後、UAWCフアッド・アブサイフ氏、PARC事業部長のイザット・ゼダン氏より、ガザ地区・ヨルダン川西岸地区における緊急支援の進捗報告がありました。報告内容は両団体のこれまでの報告と重なりますので、以下の報告をご覧ください。

パレスチナ・ガザ地区で緊急支援物資配布が開始されました。

「Stop Gaza Starvation(ガザの飢餓を止めろ)」支援進捗報告

▼セミナーの様子はこちらよりご覧いただけます。

また、報告のうち西岸地区の一般的及び10月7日以降の状況、及びオリーブオイル民衆交易の意義を語ってくれた部分を20分程度のダイジェスト版にしました。ぜひ、ご覧ください。

セミナー後にご記入いただいたアンケートには、「現地の声を、当事者の言葉で、直接聞くことができてよかった」、「メディアからは分からないパレスチナでの現状、現実を知った。パレスチナ問題が身近になった」、「一刻も早い停戦のために自分にできることをしたい」、「ヨルダン川西岸地区ではこれまでも日常的にイスラエル軍や入植者による暴力行為があり、10月7日以降増加していることを初めて知った」、「困難な状況下で栽培されているオリーブオイルを利用することで、少しでも力になりたい」、「国は関係なく、人と人がつながる民衆交易の大切さを改めて感じた」、「胸が張り裂けそう。安心してオリーブオイルが生産できる平和な日が一日も早くきますように」、「救援カンパにも協力したい」といった感想、現地へのメッセージが多数寄せられました。

中でも印象的な感想、メッセージをご紹介します。

<感想>
「私たちが購入することで、不戦の意思表示をし続けたいと思います。」
「土地を奪われ傷つけられ、その加害者は正当に裁かれない。人としての尊厳が奪われている中、オリーブオイルを通して、パレスチナの誇りを届けて下さっているのだと思いました。」
「暴力におびえながらの農作業、命がけでオリーブを収穫している姿を目に焼き付きました。決して忘れることなく、心に留めます。そしてオイルをありがたくいただきます。」
「人は数であらわすものではなく、ひとりひとりに名前があり生活があることを繰り返しメッセージと
して伝えておられたことが印象に残りました。」

<現地へのメッセージ>
「オリーブの収穫寸前での攻撃に心がズタズタに切り裂かれてしまったことかと思います。どうかご無
事で。日本でみなさんのオリーブオイルを待っている組合員がたくさんいます。希望を失わないでく
ださい。」
「様々な攻撃、妨害がある中で、土地を愛し、耕し続け、その結果であるオリーブオイルを世界に届けていることは、大変勇敢な戦いであるのだと思います。」
「迫害や暴力により恐怖と不安の日々の中、私たちにオリーブオイルを届けてくれています。救援カン
パはもちろんですが、命がけで作ってくれたパレスチナのオリーブオイルを利用することもずっと続
けていきたいです。」
「私たちが民衆交易を続けることが強く平和を祈り、暴力に抗議する力になると信じます。」
「日々、報道されるパレスチナの状況に心を痛めながらも、今、何ができるか、焦燥感に駆られていました。当面、PARC、UAWCを支援することに努めたいと思います。」

パレスチナのオリーブオイルをATJに紹介し、パレスチナとの連帯のきっかけを作って下さったコリン・コバヤシさん(フランス在住の美術家・著述家・ジャーナリスト)にもご参加いただき、現地へのメッセージを頂きました。
「1日も早く戦争を終わらせて、古来から悠久に続いていたオリーブ生産が安心してできる日が来るのを心から祈ります。そのためには、パレスチナーイスラエル紛争の根源的な解決が不可欠です。皆さんの勇敢で強い意志に敬服し、心から声援を送ります。」

感想、メッセージをパレスチナの報告者の方々に伝えたところ、「コメント、ご支援・ご理解に励まされました。皆さんの連帯は私たちにとってかけがえのない貴重なものです」との返事がありました。

今後も現地の状況について適時、報告してまいります。

広報室 小林和夫

パレスチナでオリーブを栽培し続けるということ ―オリーブオイル民衆交易の意義

2024年2月8日
UAWCが建設した農道

パレスチナでは、4000年以上も前からオリーブの栽培が行われてきており、オリーブは文化の象徴でもありますが、そのオリーブの木がイスラエル軍や入植者に焼かれる、根こそぎにされるということが起きています。

守られぬ合意、継続する暴力

1967年、第三次中東戦争でイスラエルがパレスチナを軍事占領して以来、ヨルダン川西岸地区ではイスラエル人の入植が増加し、多くのパレスチナ人が土地を追われました。1993年にようやく和平交渉が始まり、イスラエルとパレスチナはオスロ合意にて、ガザ地区およびヨルダン川西岸地区の一部におけるパレスチナの段階的自治を定めました。

しかし、その後もパレスチナ自治区へのイスラエル人による入植は続いており、2023年末時点では、オスロ合意以前の3倍以上の土地が占有されています。イスラエル人は入植をするだけではなく、パレスチナ人による反発がおきても鎮圧できるようにイスラエルとの分離壁をパレスチナ人の土地の中に建設し、さらに検問所を設けることで、パレスチナ人の移動を制限しました。

オスロ合意によって、ヨルダン川西岸地区はA、B、C地区に分類されました。A地区はパレスチナに行政権と警察権がありますが、B地区では行政権だけ、C地区では行政権と警察権はイスラエルが握っています。分離壁やフェンスがいたるところにあるC地区に住むパレスチナ人は、自分の農地に行く時にも壁の所々に設けられているゲートでチェックを受けます。言われなき理由で通行できない日もあり、移動には大きな困難が伴います。

ガザ地区と西岸地区を合わせたパレスチナ全体の31%は農地で、そのうち54%がオリーブ畑です。C地区には、ほぼ全域にオリーブの木が植えられています。オリーブ以外にもアーモンドやデーツ(ナツメヤシの実)など多くの農産物がパレスチナの土地で生産されています。

そうしたパレスチナの農業と農家を支援するために、PARC(パレスチナ農業復興委員会)とUAWC(パレスチナ農業開発センター)がそれぞれ 1983年、1986年に設立されました。PARCはアル・リーフ社、UAWCはマウント・オブ・グリーン社という事業会社を設立し、オリーブを含めたパレスチナで収穫される農産物や農産加工品のフェアトレード事業にも取組んでいます。オルター・トレード・ジャパンは、この2つの事業会社からオリーブオイルを輸入しています。

自分たちの土地を守る

パレスチナの人びとは、自分たちの土地を守るために、農地を開墾します。そして人びとは今でも年間1万本のオリーブの木を植え続けています。開墾されておらず使用されていない土地は、イスラエルによって接収が正当化されるからです。

PARCやUAWCでは、農地を持続的に管理するための農道の建設や井戸の修復、灌漑用水路の維持管理に取組んでいます。農業に欠かせない水源の90%はイスラエルにより独占されているため、農業用水確保のために雨水を貯める大きな貯水槽や用水路の建設、また水が全くない村には水源から水をパイプで引いてくるなど、その村に合わせた方法で水の確保の支援をしています。

雨水用貯水槽の建設

しかしその努力の一方で、水源の重要性を知るイスラエルは、水源や貯水槽を意図的に攻撃し、破壊することもあります。農地へのアクセスを困難にし、水源を奪い、パレスチナ人が農地を放棄するよう仕向けます。

農村地域に住む多くのパレスチナ人は、日常的な暴力の下で生活しています。特にオリーブ収穫期の2023年10月以降、収穫間近のオリーブの実を盗む、木を伐採する、またパレスチナ人への直接的な暴力がさらに増加しています。元来オリーブの収穫は、家族総出で収穫に取り組む賑やかな年中行事です。

オリーブオイルの民衆交易は単にオリーブオイルを適正価格で購入し、生産者の生活を支える以上に意味があります。パレスチナのオリーブオイルを利用することは、パレスチナの人びとの土地を守り、文化の象徴であるオリーブとともに生き続けるパレスチナ人たちとの連帯を表明することにつながります。

鐘ヶ江良亮(かねがえ・りょうすけ/ATJ)

PtoP NEWS vol.60

2024年2月5日

PDFファイルダウンロードはこちらから→PtoP NEWS vol.60

<今月のおいしい!>乾季にはこれ!「サユールアサム」

2024年2月2日

「今月のエナック!(おいしい)」は、インドネシアのスープ「サユールアサム」。

※「エナック」はインドネシア語で「おいしい」という意味です。

酸っぱい野菜スープという意味のサユールアサムは、エコシュリンプ加工場工員、スハルニンさん(51歳)の家庭で最も人気の高い料理です。スハルニンさんの家庭ではさわやかな味が好まれて、暑い乾季には毎週1回は朝かお昼の食卓にあがる程です。この酸味は、一緒に煮込むタマリンドという木の実から出ます。味付けにはキャンドルナッツやガランガルといった東南アジア特有のスパイスも欠かせません。

もう一つの人気の理由は材料が手に入りやすく、安価なこと。八百屋さんではサユールアサム用にホウレンソウ、キャベツ、ハヤトウリ、もやしとピーナッツがセットになって売られています。また、自家製のスパイシーなトマト・サンバルを加えることもあります。

~サユールアサムの作り方~

【材料】
〇サユールアサム用野菜セット 1パック(空芯菜、スプラウト、キャベツ、ハヤトウリ、落花生)
〇スパイス

  • タマネギ 5個
  • ニンニク 3片
  • クミリ(キャンドルナッツという木の実の種子)3個
  • トウガラシ 2つ
  • ガランガル(ショウガ科の植物の地下茎) 2センチ
  • タマリンド (マメ科の植物の果実)1個

〇調味料

  • 砂糖

【レシピ】
①すべてのスパイスを臼ですりつぶす。
② 1リットルお湯を沸かし、ピーナッツとスパイスを入れる。
③ 10分ほど野菜が柔らかくなるまでゆでる。
④ 塩と砂糖を加えて味を調えて完成。
⑤ お好みによって自家製トマト・サンバルを加える。

~スハルンニさん家の食卓風景~

①果物 地場産のジェルック(オレンジ)とジャンブーアイル(グアバの一種)
②ごはん インドネシアの主食です。
③レンソと揚げ魚 レンソは緑豆のナゲットです。
④サユールアサム
⑤トマト・サンバル トラシ(エビのペースト)やトウガラシ、塩・砂糖を石臼(チョベ)ですりつぶしたサンバルは、欠かせない調味料です。料理の度に石臼でサンバルを作ります。
⑥クルプック 食事に必ず添えられる揚げせんべい。

~スハルンニさんの家族~

Q:ご家族は?
スハルニン:夫のヌル・アフマド(53歳、警備員)、娘のデラ・ヌール・アイナ(19歳、大学生)との3人家族です。
Q:普段は誰が料理をしているのですか?
スハルニン:私がしますが、時々娘がお手伝いしてくれます。
Q:1日に何回、誰と食事をしますか?
スハルニン:1日3食、家族全員で食事をとります。

インドネシアでは伝統的に食事は床に座ってとります。スハルニンさんの家では座卓もなく、主食のお米やスープ、おかずを大皿からそれぞれが取り分けたお皿を床の上に直接置いて食べます。

まとめ:小林和夫(ATJ広報室)

◆コラム「今月のおいしい!」では、産地の食事や食文化について紹介していきます。
前回の記事はこちら→フィリピンでも「ずいき」を食します。
フィリピンの代表的な家庭料理、醤油と酢で素材を煮込んだ「アドボ」が登場します。

【動画】パレスチナ・オリーブ生産者インタビュー

2024年1月16日

※このインタビューは、2023年10月7日ハマスとイスラエル軍の武力衝突前に撮影されたものです。

ガザ侵攻が始まって以来オリーブ産地のヨルダン川西岸地区でも緊迫した状態が続いています。現地パートナー団体によると今年収穫出来たオリーブは予定収量のうち35%のみで、65%は収穫できずそのままとなっているそうです。日常的に土地の不当な没収や暴力にさらされ、そもそもが理不尽な環境下だった人びとの暮らしがより厳しい状況になっています。

そうした状況だからこそ、生産者のことを知ってもらいたいという気持ちも込め、インタビューを掲載することにいたしました。

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これまで、男性生産者が登場する機会はありましたが、女性生産者は、実は今回が初めてです。

お話いただいたのは、ヨルダン川西岸地区にあるオリーブオイルの産地アル・ヤムン村に住む、ヌハ・アフマド・タイェブ・ホシイェさん。ホシイェさんの家族は、夫と5人の娘と4人の息子。9人の子どもがいるお母さんです。

自分たちの土地で色々な野菜を育て、家畜の羊や牛のミルクからチーズやヨーグルトを作り自家消費用にしています。そうした生活のなかでオリーブは大切な収入源です。

家族総出で作業する収穫の時期は、オリーブの木の下で薪をくべて家族みんなで料理をしたり、ピクニック気分で一家が一緒に楽しむことができるお祭りのような季節なのだそうです。「オリーブの収穫は大好き」と話すホシイェさんのうきうきした表情からは、家族との楽しい時を過ごしながら収穫作業をしている様子が伝わってきます。

生産者にとってオリーブ畑は、単に収入源のためのオリーブを育てるというだけでなく、家族との時間を共有できるかけがえのない場所でもあります。「私たちにとって土地はとても大事なもの」、そう語る彼女の「とても大事」の言葉の重みが心に響きます。

パレスチナ・ヨルダン川西岸地区の状況について

2024年1月15日

2023年12月20日

アルリーフ社

(パレスチナ農業復興委員会(PARC)のフェアトレード事業会社)

ヨルダン川西岸地区のパレスチナ人の都市・村落・難民キャンプに対する連日の侵攻

過去2カ月間、連日、イスラエル占領軍は、ヨルダン川西岸地区の各地、特にジェニン、ナブルス、トゥルカルム、ジェリコの難民キャンプに軍事侵攻を続けてきています。その主な目的は、抗議活動に参加したり、積極的に各種メディア・プラットフォームでイスラエルの占領による犯罪を暴露したりしているパレスチナ人の男性、女性、子どもを拘束することです。

10月19日にイスラエル占領軍により攻撃された西岸地区北部のヌル・シャムス難民キャンプの様子。
攻撃により3人が死亡し、多数の負傷者が出た。

2023年1月からイスラエル軍に殺害された(西岸地区の)パレスチナ人は505人以上となり、特に10月7日以降だけで302人以上が殺害されています。2023年は(西岸地区の)パレスチナ人にとって最も殉教者の多い年となってしまいました。イスラエル軍がガザ地区で2万人以上のパレスチナ人(その多くが子どもと女性)を殺害し、5万2586人以上を負傷させ、170万人以上の住民をガザ地区南部に避難させたことで、大規模な人道的大惨事と虐殺に見舞われていることは言うまでもありません。2023年のこの75日間が、イスラエルの占領下で暮らすパレスチナ人にとって、過去75年間を通しても最も恐ろしく残虐なものであったことは否定できないのです。こうした状況にもかかわらず、すべてのパレスチナ人は、解放のため、そして私たちの土地の占領と植民地化を終わらせるための闘いにおいて、立ち直る強さと粘り強さを失っていません。

ヨルダン川西岸地区におけるイスラエル占領軍のパレスチナ人拘束キャンペーン

10月7日以降、イスラエル占領軍はガザ地区での人質事件への対抗として、ヨルダン川西岸地区で4575人以上のパレスチナ人を拘束し、2221件の「行政拘禁(注)」を命じました。イスラエル占領軍とパレスチナの抵抗勢力との間の人質交換取引によってイスラエルの刑務所から最近釈放されたパレスチナ人の報告によると、パレスチナ人被拘禁者には、食料、衣服、毛布などが十分に与えられず、看守による継続的な激しい暴行や身体的嫌がらせを受け、ひどい状況で生活しているといいます。これは、イスラエルの占領政策である「緩慢な死」の一環であり、パレスチナ人被拘禁者に対する継続的な拷問と医療怠慢という形で長年にわたって続いてきたことです。

イスラエルの刑務所でパレスチナ人が耐えている恐ろしい状況と拷問により、刑務所内でパレスチナ人拘禁者が死亡するケースが複数発生しています。被拘禁者・元被拘禁者問題委員会によると、イスラエルの刑務所には現在、子ども255人、女性150人以上を含む7800人のパレスチナ人被拘禁者がいます。特に、イスラエルの看守による虐待、拷問、脅迫と闘わなくてはいけない女性の被拘禁者に対する状況はより深刻です。

この侵攻と逮捕・拘束のキャンペーンは、パレスチナ人に対する嫌がらせと虐待、被拘禁者の家族への脅し、パレスチナ人の財産の破壊、侵攻した地域のインフラに破壊を引き起こしています。

ヨルダン川西岸地区の経済状況の悪化

イスラエルによるガザ地区への攻撃が続くなか、イスラエルは、ヨルダン川西岸地区のパレスチナ自治政府の主な収入源となっている税収(イスラエル政府が代理徴収している)の移転を停止しました。その結果、パレスチナ人公務員は2カ月以上にわたり、月給を受け取っていません。そのうえ、イスラエル側で働く約13万9000人のパレスチナ人も仕事を続けることができなくなっており、パレスチナ市場に経済的災難をもたらし、失業率は急速に上昇しています。

これらイスラエルの占領がもたらす全てが、ガザ地区への侵略に反対するヨルダン川西岸地区での広範な抗議行動を阻止するために利用され、その結果、パレスチナ人の生活の多方面にわたるイスラエルによる支配が拡大しているのです。

西岸地区全体でイスラエル軍による検問所の数が激増し、強度を増しているため、以前に増してパレスチナ人の移動に制限がかかっている。

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イスラエルによる抑圧的なやり方と、ガザ地区における残忍な民族浄化が明らかにしているものは何でしょうか。

それは、イスラエルによるパレスチナ人の土地の占領を終わらせ、国際法に従ってパレスチナ人に独立国家を保証する真の政治的解決をめざし、パレスチナ人の闘争を人道・安全保障問題としてではなく政治問題として扱うことによってのみ、このすべてを終わらせることができるのだということです。

パレスチナ人は75年もの間、そのために闘ってきたのです。しかし、それにもかかわらず、いまだに犯罪者扱いされ、特にガザ地区では集団処罰の対象になっているのです。

注:起訴・裁判などの司法手続きを経ないまま収監・拘禁する制度